「岩波の子どもの本」シリーズは、とーってもお勧めです。
名作揃いな上、お話も印刷技術も装丁もノスタルジックで滋味にあふれています。
私はおばあちゃんに本を読んでもらった経験がありませんが、なんだかおばあちゃんが読んでくれているような錯覚に陥るんです。
この本の初版発行日を見ると1954年。
当時配本になった24冊のうち、20冊は今も増版されています。
さて、お蕎麦の茎はなぜ赤いのでしょう。
冬のある寒い日、大きな川のそばで、お蕎麦と麦が話をしていました。
そこへおじいさんがやってきて、おぶって川を渡してくれといいます。
本来あった橋が、嵐で流れてしまい、渡れなくなってしまっていたのです。
麦は即座に断りました。
この寒さですもん、川へ入ったら凍えてしまいます。
でもお蕎麦は、やってみましょう、と請け負いました。
着物の裾を高くあげると、おじいさんを背負い、川を渡ります。
流れが強く、川底には石がごろごろ、何度も転びそうになりながら、それでもお蕎麦はがんばりました。
とうとうおじいさんを対岸まで渡しきったとき、お蕎麦の足は凍えて真っ赤になっていました。
以来、お蕎麦の茎は赤くなったのです。
このおじいさん、実は穀物の神様だったのです。
お蕎麦に、ご褒美をくれました。
「これからおまえは、夏の間、お日様のもとで、すくすくと育つ穀物にしてあげよう。けれども、あの不親切な寒がりの麦は、冬の寒さをがまんしなければ育たない穀物にしてしまおう」
麦が寒い冬に芽を踏まれるのは、天罰だったんですね。
お蕎麦の茎がなぜ赤いかについては、もっと怖いお話もあります。
えー、もうお蕎麦食べなくない、と思うような、ぞっとするお話です。
おいおいご紹介しますね。