「オルボスにえさと水をやったの?」
「やったわ、ママ」と咄嗟に嘘をついてしまったリビー。
「ほんとうのことをいってごらんなさい」と詰問され、リビーは嘘を認めます。
苦しくて、涙があふれてきます。
リビーは生まれて初めて嘘をついたのでした。
そして「これからは、ほんとうのことだけをいおう」と誓います。
親友のルーシー・メイに「くつしたにあながあいているわ」とみんなの前で言い、地理の時間には「ウィリーは宿題をやっていないんだって」と先生に言いつけます。
デイジーがクリスマスの舞台でセリフを忘れて恥をかいたことも、チャールゼッタが先生の家の木から桃を取ってお尻を叩かれたことも、トーマスにお昼ごはんを買うお金がなかったことも、得意げに話してしまいます。
学校が終わる頃には、だれもリビーと口をきいてくれなくなりました。
本当のことを言っているだけなのに、どうしてこんなにおなかが重いのかしら。
ママに相談すると、ママはこうアドバイスしてくれました。
「ときどき、ほんとうのことを、いわなくてもいいときいってしまうことがあるのよ。いいかたがわるかったり、いじわるでいってしまったりね。そうしたら人をきずつけてしまうの。でも、おもいやりをもってほんとうのことをいうのは、ただしいことなのよ」
その後、リビーは可愛がっている馬のオルボスを「そんな役立たずの馬じゃ、1ドルにもならないわ」と本当のことを言われて、傷つきます。
そうして悟りました。
本当のことをいうとは、どういうことか。
ルーシー・メイの靴下に穴が空いていることは、みんなの前ではなくて、こっそり教えてあげればよかったんです。
ウィリーが宿題を忘れたことは、リビーが言いつけるのではなくて、ウィリーが自分でいうのを待つべきでした。
リビーは、本当のことを言って傷つけてしまった人たち、みんなに謝りました。
この本を読み聞かせると、みんな、なるほどなーという顔をします。
ほんとうのことを言う、の意味がとっても理解しやすく書かれているからです。
ですが、私はあえて、こう付け加えています。
実践するのは、難しい、と。
なぜなら、何を言われると傷つくか、人によって違うために、もしも自分がその人だったら、と想像したところで、その想像が合っているかどうか、わからないからです。
自分は思いやりをもって言ったつもりでも、相手にはとってはお門違い、ということはよくあることです。
リビーが一番偉かったところは、間違いに気づいたとき、みんなに謝ったことではないかしら。
謝るのもまた難しいことです。
難しいからこそ、実践することに価値があるんですね。