4年生に読み聞かせした本です。
このなまけんぼうときたら、いつも、さくらんぼうがひとりでに口の中に落ちてきて、それを誰かが噛んでくれるのを、待っていました。
怠惰というより、不潔ですね。
あるとき、どうしたら働かなくても暮らしに困らないか、やさしい魔法使いのところへ行って、聞いてみようと思い立ち、旅に出ます。
道の途中で、はげはげのおおかみに会いました。
なまけんぼうが魔法使いのところへ行くと知り、それならどうしたら毛がふさふさになるか聞いてほしい、と頼みます。
また道の途中で、葉の枯れたぶどうの木に会いました。
なまけんぼうが魔法使いのところへいくと知り、それならどうしたら新しい葉っぱが出てくるか聞いてほしい、と頼みます。
また道の途中で、のどが膨らんだ魚に会いました。
なまけんぼうが魔法使いのところへ行くと知り、それならどうしたらのどが治るか聞いてほしい、と頼みます。
さて、魔法使いはこう答えます。
「おおかみに伝えなさい。どうにもしかたのないなまけんぼうの心臓を食べれば、毛がはえてきますと」
「ぶどうの木に言いなさい。昔、根本に埋めた金貨のはいった壺を掘り出せば、葉が出ますと」
また魚には「のどに宝石がぎっしり詰まっているので、誰かがのどをかき切って宝石を取り出せば楽になります」と。
そうして、来た道を引き返し、ちょっと頭を使えば、なまけんぼうもしあわせに暮らせると、魔法使いは言いました。
そうです。
なまけんぼうが、ぶどうの木の根本の金貨を掘り出してやり、魚ののどの宝石を取り出してやれば、そうしてそれを持って帰れば、一生、楽に暮らせると、魔法使いは教えてあげたんですね。
なのにこのなまけんぼうときたら、めんどくさがって、やってあげなかったんです。
結末?
どうにもしかたのないなまけんぼうは、おおかみにぱくりと食べられてしまいましたとも。