ルーブル美術館散歩〜ナポレオンの戴冠…これは絵ではない | 東京都港区でアトリエK六本木(旧白金高輪)を主宰しております石井香生里のブログです。

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ポーセリンペインティング( 磁器絵付け)を中心に、国内外( フランス・パリ、東京・銀座)での展示会出展を中心としたアーティスト活動を行っております。また、少人数制のポーセリンペインティング教室、アトリエKを六本木で開催しております。(教室歴20年以上)

一カ月程前イベントに出展する為、パリに行きましたが、オフの時間、ルーブル美術館をお散歩しました。
今日から少しずつ、そのルーブル美術館のお散歩の様子を名画の解説を交えて書いていきたいと思います。

一回目の今日、本当は現在フェイスブックのカバー写真にもしている勝利の女神ニケにしようと思ったのですが、時勢もあって、ナポレオンの戴冠を取り上げたいと思います。

皆様もよくご存知のこちらの絵は、1804年、ナポレオンがパリのノートルダム大聖堂で皇帝としての戴冠式をした時の言わば記録画です。
宮廷画家であり、新古典主義を代表する画家であったジャック・ルイ・ダビッドによって描かれたものですが、実はこの絵、記録画と言っても事実をそのまま描いたものではないようです。
ナポレオンは跪いてローマ教皇に冠を乗せてもらうのが嫌なので、自分で頭に冠を載せてしまうのです。
そして皇帝は祝福のサインではないサインをしていたと言われています。
しかし絵では教皇も祝福のポーズをしておりますし、この席に欠席したナポレオンの母が描き入れられていたり、皇妃に嫉妬していた皇帝の妹達の表情を喜びに輝かせたり、小男だったナポレオンを大きく見せるように構図を工夫したり、ダビッドの気苦労がそこかしこに偲ばれる絵だったりします。

でも当のナポレオンはこの絵を大変気に入り「これは絵ではない。中を歩きまわることが出来るではないか」と言って、画家の労を労ったそうです。(『ルーブルの名画はなぜこんなに面白いのか』他 より)

いつの世も、為政者が自分をより大きく見せようとするなど、似たような事があるものだ…と思わず苦笑してしまいますが、やはり実物の存在感は圧倒的で、タイムスリップして、自分もこの戴冠式に立ち合っているかのような臨場感のある絵でした。
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なるべく間を空けずにまた、ルーブル美術館のお散歩の記事を書いていきたいと思いますのでお楽しみに。