朝晩大分肌寒くなり、ここに来て早足で秋が深まってきた気が致します。
もうすぐ11月なので当然と言えば当然の気候ですが。
このところ中国のデモの様子が連日のように報じられ、いささかゲンナリという感じです。
自宅レッスンにいらしている生徒様の中にも、ご主人が中国出張の方がいて、セキュリティが厳重になっているということでした。
フランスでも年金制度の年齢引き上げで、学生を中心にデモが起こっているということですが、職がないのもデモの原因になる一方、長く働くこともデモの原因になるということで、こういうニュースを聞くと、働くことに関する感覚が(個人でももちろん違いますが)、国によっても違うなぁと思います。
やはりフランスやヨーロッパは齷齪働くことは美しくない、という感覚が根付いているようにも思います。
デモにしても、もうすぐハロウィンの休暇に入るので、沈静化していくということですし。
ここ十年以上、土曜日に社会人大学の講座で、イタリア美術の講座を取っており、昨日、久々に行ってきたのですが(前タームは仕事などで行けない日も多かった為)、この講義の中で、ヨーロッパ人でも上記とは全く違う芸術家の話が出てきました。
その芸術家の名は、パオロ・ウッチェロ。
彼の講義に入る前はというかこの日も半分は、僧侶から画家になったフィリッポ・リッピをフィーチャアーしておりまして、さすがに彼は有名ですし、私も彼の描く特に聖母マリアは大好き(同じくシスターだった女性と禁断の恋に落ち、破門の後画家になったのですが、この美しいマリアなどの聖女は、シスターだった妻がモデルと言われている)ですが、このウッチェロのことは正直よく知りませんでした。
とにかく遠近法の虜になった画家ということで、バッザーリの『芸術家列伝』には遠近法に夢中になり過ぎたあまり、孤独で、奇妙で、憂鬱で、貧乏な人になってしまったとまで酷評されています。
しかしその我を忘れるまで没頭したと言われる詳密な画法は、なぜか引き寄せられるものがあります。
そしてそこまで打ち込める仕事があるということは、他人からは計り知れない幸福なことなのかもしれません。
これからご紹介するモネの睡蓮も、モネが晩年衰えゆく肉体とは裏腹に精神的な情熱を持って描き続けた渾身の作だということで、その情熱が見る者を圧倒します。
ということで、オランジェリー美術館のお散歩、しばしお楽しみくださいませ。
天窓からの自然光ゆえ、朝の比較的早い時間だったこともあり、光が薄く絵も鮮明には撮れませんでした。
雰囲気をお楽しみいたたせければと思います。
360度見渡せる部屋で、半分ずつ撮影しました。
部屋の中央にある椅子に座って眺めますが、部屋全体で一つの世界が作り上げられていて、この世界観は、ここでしか観ることができないと思いました。
睡蓮だけでもまだ続きますが、明日から一週間、また忙しい日が続くので、更新はしばらく先になってしまうかもしれません。
10/27(水)からは、前回も告知させていただきました、池袋西武でのポーセラーツ作品の販売もございます。私は初日の10/27(水)、7Fの催しもの会場に一日おりますので、よろしかったら、是非お運びください。ちなみに私は、開運招福、クリスマスや年末年始のパーティーなどをテーマにした作品を販売予定です。詳しくはHPをどうぞ。
http://www.aa.em-net.ne.jp/~ishii/
(お向かいにはフランスの手芸用品店、可愛いボタンやリボンのある、ロドグリーもあるそうです。)
フランスから帰って来てからもう1ヵ月になるのに、まだまだ旅のご報告は続いていきますが、気長にお付き合いいただければ嬉しいです。