戦後ドイツでは隠蔽されていたナチの残虐犯罪――知るべき実話映画3本+1本 | 黒柴恭ちゃんと映画とアトリエ製作の日々

黒柴恭ちゃんと映画とアトリエ製作の日々

2017年11月東京から徳島に電撃移住♫
元気過ぎる黒柴♪右恭(うきょう)の甘えん坊&暴れん坊ぶりを
主に綴っています。
時々、愛する映画のレビューと
自宅アトリエでのバッグ製作にも触れています。
Webショップ《iichi もんてきいだ》にて販売中〜。

『顔のないヒトラーたち』(’14独)
自国では当然そうするかもしれない。
世界大戦後のドイツではナチの行った残虐行為をなかったことにしていた。
若い世代はほとんど知らなかった隠された事実。
若き一人の検事がジャーナリストの訴えに、戦犯の調査を始める。
被害者たちの証言は書記の女性を打ちのめすほどに凄まじい。
そこら辺に暮らす教師など一般市民が
ナチ党員で非道な行為を行っていたのだ。
警察は政府の方針で隠蔽すべく協力的。
観ようと思う人はこのあたりから《ネタバレ》
やがてその調査は自分の尊敬する父親や、恋人の父親の過去を暴くことに。
その時代、ほとんどの人が洗脳されたり風潮に流されていた。
彼らを裁くことは正義なのか、残酷な行いなのか…
1963年にはフランクフルト・アウシュビッツ裁判が開かれることに。

『黄金のアデーレ 名画の帰還』 (’15)原題WOMAN IN GOLD
タイトルのかたさとは違ってエンタメ性バツグン
俳優たちの演技もみどころの秀作と言える。
油彩に金箔をあしらった宝石のような名画
このモデルはオーストリア名家のアデーレ・ブロッホ=バウアー。
夫が支援するクリムトに描かせた妻の肖像画だった。
アデーレは1925年に病死しているのだが
絵は世界大戦中にナチス政府により略奪されていた。
その後’43にオーストリア国立ベルベデーレ美術館に展示された。
戦時中にアメリカに命懸けで亡命した姪が
大好きだった叔母の想い出の絵を取り戻そうと
同時にナチに奪われた自身の過去を取り戻す決意をする。
依頼する駆け出しの弁護士ランドル・シェーンベルクもまたオーストリア出身で
亡命した祖父が有名な作曲家であり、
最初は絵の価値(1億ドル!)に惹かれて着手したものの
オーストリアで自身のルーツに触れ、本気になる。 
ストーリーについてはで必見!
姪マリアを演じたヘレン・ミレンのキュートなキャラクターは魅力的。
弁護士役がライアン・レイノルズってのが結構違和感ありで、
その妻を演じるのはT・クルーズ元妻のケイティ・ホームズ
これまでになくたくましくいい役だった(*´罒`*)
結末がさっわやかー(°∀°)b なので是非ともご覧アレ。
オーストリアにはヒトラーが受験した美術学校があったり
(映画 『アドルフの画集』(’02)も必見!)
ヒトラーがなぜ、才能豊富で裕福なユダヤ人たちを
粛清しようとしたのかが推し量れる気がした。
《ある意味ネタバレ》
後に、アデーレの肖像はエスティ・ローダー社長に売却され
現在はニューヨークのノイエ・ギャラリーに展示されている。

『ヒトラー暗殺、13分の誤算』 (’15)
1939年、ひとりの家具職人ゲオルク
時限爆弾によるヒトラーの暗殺を企てるが
演説が13分早く終了したため失敗に終わり、逃亡中に逮捕される。
共犯者(黒幕)の名を吐くよう、拷問による取り調べが続く。
ナチ政権下で社会情勢が変わっていく中でも信念を貫いた
一般市民が存在したということ。
音楽家であり、人妻との恋愛などを描いていて、
ヒトラー暗殺に至るほどの明確な理由ははっきりしないが
ゲオルクはヨーロッパ各国に侵攻するナチの敗退を恐れ
何とか止めようとしたのだ。彼の先見の明がスゴ過ぎるので
一目おかれて7年も収監されていたようだ。
エンディングでの↓本人の写真。
《ネタバレ》 ゲオルクは終戦間近にひそかに銃殺された。
70年間ドイツで隠された事実が映画化で明らかになったらしい。

『さよならアドルフ』 (’12) 原題 LORE
これは実話ではありません。
ナチ幹部の子供たち4人が、両親が逮捕された後
自分たちだけで祖母の家を目指すストーリー。
14歳の長女ローレが母親から渡されたわずかな宝飾品を手に奮闘する。
戦時中とは打って変わった周囲からの蔑み、憎しみの目。
裕福な日常から泥水で手を洗うホームレスになり
やがて知る父親の蛮行。
他国の包囲網の中、命懸けの旅となる。
 
《ネタバレ》 さまざまな逆境とストレスに耐えて
やっとたどり着いた祖母の家での祖母の厳しい態度に
とうとう感情をあらわにするローレ。
どこに何をぶつけていいかわかりません。
戦争というものが、
人の生活も心も破壊してしまうということです。