セマナ・サンタとアギラール・デ・ヘレスのサエタ | 野村眞里子のブログ <オラ・デル・テ>

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ヘレス出身のカンタオール、アギラール・デ・ヘレスが亡くなってからもうずいぶん時が経った。彼は、私が一番多く共演したスペイン人カンタオールだったかもしれない。写真は、DVD「Familia Campallo en Japón」(2006)発売記念ライブ後のパーティーでのもの。左からアギラール・デ・ヘレス、私、ラファエル・カンパージョ、フアン・カンパージョ、金田豊。撮影:中尾務。

 

 

 

 

 

数日前、彼の歌った「サエタ・ポル・マルティネーテ」のYou Tubeを紹介してくださった方がいて、懐かしくて泣けた。

 

そこで、今日はスペインの重要な宗教行事であるセマナ・サンタ(聖週間)のことについてまとめてみようと思う。

 

キリスト教の行事には、クリスマスのように日にちが決まったもののほか、イースター(復活祭)のような移動祝祭日がある。すなわち、春分の日の後の最初の満月の次の日曜日がイースターとなるため、セマナ・サンタも毎年日付が変わることになる。以下は、春分の日が3月20日だった今年のセマナ・サンタの日程。

 

3月24日(日):聖枝祭(DOMINGO DE RAMOS)キリストがエルサレムへ入城した日。受難の始まり。棕櫚の枝を持って歩く日。

3月25日(月):聖月曜日(LUNES SANTO)

3月26日(火):聖火曜日(MARTES SANTO)

3月27日(水):聖水曜日(MIÉRCOLES SANTO)

3月28日(木):聖木曜日(JUEVES SANTO/MADRUGÁ)洗足木曜日。最後の晩餐の日。

3月29日(金):聖金曜日(VIERNES SANTO)キリストの受難と死を記念する日。

3月30日(土):聖土曜日(SÁBADO SANTO)

3月31日(日):復活祭(DOMINGO DE PASCUA/ DOMINGO DE RESURRECCIÓN)イースター。十字架にかけられて死んだキリストが三日目に復活したことを記念する、キリスト教において最も重要な祭。

 

次に、セマナ・サンタにかかわりのあるスペイン語を整理してみたい。

 

●procession 行進

●costalero/a 台を担ぐ人たち、最近では女性の担ぎ手もいるとか

●nazareno/a 三角の長い帽子のようなものをかぶった信者たち

●hermanos 信者たち

●capillita 追っかけ

●banda コスタレーロと共に歩く音楽隊

●saeta 聖母像、キリスト像を乗せた輿の行列に向かって歌われる歌

●saetero/a サエタ専門の歌い手

 

「サエタ」は「矢」という意味のスペイン語で、プロセシオンのマリア像、キリスト像を乗せた輿に向かって歌われる宗教歌のことをさす。輿はその重さから、休み休み進む。そして、サエタはプロセシオンが止まった時に歌われることが多い。

 

行列が進む通りに面したバルコニーから歌われることが多いが、出発する教会の前や広場や通りにいる群衆から歌われることもある。つまり、「サエタ」は行進の行われている間いつでも歌われる可能性がある。「サエタ」が歌われている間、楽隊の音楽はやみ、静寂があたりを包む。そして感動の涙を流す人も多い。

 

「サエタ」はキリストの受難を歌う宗教歌のため、その歴史は古い。十九世紀末ぐらいから各地の古い「サエタ」にインスパイアされてフラメンコの歌い手が歌い始めた「サエタ」は、歌の形やリズムは古い「サエタ」とはまったく違うものだそうだ。共通点は、無伴奏で歌われることと、セマナ・サンタの行列に向かって歌われることだけだ。フラメンコの「サエタ」は、「マルティネーテ」「シギリージャ」「カルセレーラ」の形で主に歌われ、「ミの旋法」が用いられている。

 

以下は2003年4月18日の聖金曜日のアギラール・デ・ヘレスの「サエタ・ポル・マルティネーテ」。

https://youtu.be/2SVthdeA6Jc?si=mon2rCAwproNcK71