坂本龍一さんの訃報を伝えた「ル・モンド」の記事 | 野村眞里子のブログ <オラ・デル・テ>

野村眞里子のブログ <オラ・デル・テ>

ブログの説明を入力します。

坂本龍一さんが、3月28日火曜日に東京で亡くなった。71歳だった。

 

癌の公表により、覚悟はできていたとはいえ、やはり日本の音楽界の大きな宝を失ったことは残念でならない。

 

多くのメディアが坂本さんの訃報を伝えた。世界中のメディアがと言っても過言ではない。そんな中、フランスの新聞「ル・モンド」の見出しが印象に残った。

 

Avec la mort de Ryuichi Sakamoto, le monde de la musique perd un passeur entre art populaire et avant-garde.

坂本龍一の死により、音楽界は前衛音楽と大衆音楽の架け橋を失った。

(2023年4月3日「ル・モンド」より)

 

そう、まさしく坂本さんの死を一言で表現すればそういうことになる。YMOの音楽、CMソング、映画音楽……と、坂本さんの音楽はいつも驚きと親しみがいっしょに来る、自分と同時代の音楽だった。

 

さらに、夫と私が結婚当初住み始めた渋谷区のマンションの隣は、公開はされていなかったが「坂本さんの日本の家」だったと思う。瀟洒な2階建てのその家はほとんど人の出入りもなく、坂本さんの姿を見たこともなかったが、表札がかかっていた。同姓同名の方だったかもしれないが、私たちは「坂本さんの家に違いない」と思い込み、ピアノの音か何か聞こえて来ないかなと、ドキドキしながら前を通ったものだ。

 

2022年12月のソロ・コンサートの配信は、夫も私も観た。凄みのある演奏に釘付けとなった。そして、今年1月にはニューアルバムも発表。死を覚悟しながらも、けっして衰えなかった坂本さんの音楽への姿勢には、見習うべきものがあると感じた。

 

「Ars longa, vita brevis.(芸術は長く、人生は短し)」

 

坂本龍一さん、闘病まことにお疲れさまでした。どうぞ安らかにお休みください。合掌。