第31回『新人公演』3日目雑感 | 野村眞里子のブログ <オラ・デル・テ>

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昨日は、日本フラメンコ協会主催『新人公演』の3日目、すなわち最終日だった。前日久々フラメンコシューズを履いて踊ったので足首の状態が悪化していないか気になったが、朝起きると意外にも「普通に痛い」程度だった。でも一応大事をとって、タクシーで会場に向かった。到着すると、コロナ禍にもかかわらず、会場内は最終日の熱気に包まれていた。

 

まずは、ロビーで待ち合わせていた大阪のバイラオール出水宏輝さん(第1回『全日本フラメンココンクール』努力賞、第28回『新人公演』奨励賞、第10回エルスール財団新人賞)と打ち合わせをする。この日出水さんはパルメロとしてのご出演があったため、大阪からみえていたのだ。打ち合わせ後はいっしょに記念撮影も。私はバストンを持っているが。(笑)

 

 

 

 

 

その後も、数人のアーティストと待ち合わせていたため、25人の出場者全員を客席で拝見できず、何人かはロビーのモニターで拝見した。ごめんなさい。以下昨日の出場者。

 

1.小林浩子「タラント」

2.川田久美子「シギリージャ」

3.大塚淳子「アレグリアス」

4.松本美緒「ティエント」

5.山口麻里子「アレグリアス」

6.平川亜紀「ソレア」

7.中山みのり「ソレア・ポル・ブレリア」

8.林由美子「タラント」

9.齋藤朋之「アレグリアス」

10.浜井麻衣子「ソレア」

11.鵜野沢武美「タラント」

12.諸藤ふみ「ソレア」

 

(休憩20分)

 

13.清水真由美「アレグリアス」

14.鶴幸子「ソレア」

15.中里眞央「ソレア・ポル・ブレリア」

16.小林由佳「ソレア」

17.鬼頭幸穂「ソレア・ポル・ブレリア」

18.後藤春美「アレグリアス」

19.折橋恵子「タンゴ・デ・マラガ」

20.菊原まり「タラント」

21.三宅由紀「ソレア」

22.仙場なお美「ティエント」

23.伊藤美恵「ソレア」

24.寺嶋いずみ「ソレア」

25.稲沢静「ソレア」

 

最終日の熱気は、舞台上も客席もすごかった。31回も『新人公演』を続けて来られた日本フラメンコ協会に、まずolé!

 

すべての出場者のパフォーマンスに心打たれたが、客席で座って拝見した方のうち特に印象に残った数人について、少しだけ感想を書かせていただく。

 

4番の松本美緒さんの「ティエント」。舞踊団員として多くの劇場公演を経験されている松本さんだが、意外にも『新人公演』は初出場。そのためか最初は表情が少し硬いように感じられた。でも、細やかな表現と研ぎ澄まされたテクニックはさすが。とりわけ、後ろ回転のさいの腰の使い方がお上手で、キレがいい。ブルーグリーンの衣装が美しく、とてもよくお似合いだった。

 

12番の諸藤ふみさんの「ソレア」。舞台センターに暗転板付きから、サリーダでゆっくりと手を上げていく。もうこの時点で、諸藤さんは客席の空気を支配し始めた。3段ボランテの黒い衣装にマントンシージョを巻きつけた諸藤さんが、次第に「爆発」の気配を漂わせる。そして「爆発」! 何というフラメンコ体質の方なのだろう。エスコビージャも「ブレリア」も魅せた。これからもご自身の個性を大切にしつつ、素敵なフラメンコを踊って欲しい。

 

15番の中里眞央さんの「ソレア・ポル・ブレリア」。冒頭、足を大きく開き腰を深く落とした姿に、客席がざわざわ。そう、けっこうきつい動きなのだが、中里さんはいとも簡単にやってのけた。モスグリーのハイネックのワンピースに金茶色のフレコを個性的に付けた衣装で、舞台上をのびのびと踊る。体幹の強さと高い技術には目を見張った。カンテも、バイレも、どちらも頑張って欲しい。

 

17番の鬼頭幸穂さんの「ソレア・ポル・ブレリア」。鬼頭さんの「ソレア・ポル・ブレリア」を拝見するのは、今年5月に続き2度目。始まりはセンター後ろ向きで、美しいシルエットが浮かび上がった。6段ボランテのついた黒系の柄物衣装に紅色のマントンシージョが映える。前回は少しだけ「クセ」のようなものがあって気になったが、短期間で見事に修正されていた。全体を通してとてもよく体が動いていて、すべての点で「ワンランク上がった印象」を受けた。エスコビージャも見事で、とりわけラティゴのキレがよく、耳に心地よい。「練習は裏切らない」ということがよくわかる。さらなる精進に期待したい。

 

20番の菊原まりさんの「タラント」。今年の『新人公演』で「タラント」を踊られた方は多かったが、菊原さんの「タラント」には独特の味わいがあった。冒頭、黒地に大きなオレンジの水玉の衣装を着て正面を向いた立姿とキレのよいサパテアードは、この曲の持つ「鉱山」の雰囲気を観客に伝えるのに役立ったように思う。歌振りも、コンテスタシオンもよかったが、とりわけエスコビージャに驚かされた。「足が得意な方」とお見受けしていたが、一瞬にして超高速のエスコビージャ。フラメンコ体質でありながら、おしゃれだ。菊原さんなりの一つの表現なのだろう。他の曲種も拝見してみたい。

 

他にも素晴らしい方ばかりだったが、私の記憶力が限界なのでごめんなさい。すべての出場者のみなさま、お疲れさまでした! 素敵なパフォーマンスをご披露いただき、本当にありがとうございました。

 

終演後は、知り合いのみなさんにご挨拶をしてから「お一人様夕食」に向かった。コロナ禍だし、怪我もしているので大勢で夕食に行くのは控えたのだ。そこで、お気に入りの蕎麦屋「さらしな総本店」中野南口店にうかがった。すると、知り合いとばったり。フラメンコ協会理事の先生お二人とそのご家族だ。親しくお付き合いさせていただいているみなさんだったが、お邪魔してもいけないので合流せずカウンターに座った。

 

注文したのは下記。生ビール。突き出し。

 

 

 

 

 

卵焼き(ハーフ)。天ぷら。さらしな。

 

 

 

 

 

 

 

さすがにさらしながおいし過ぎる。ごちそうさまでした!

 

帰りがけ、「せめて一杯だけでもごいっしょにいかがですか?」と誘っていただいたが、ありがたくご辞退し、11月12日の出版記念イベントのことをお知らせして一足先に失礼した。

 

帰りも大事をとってタクシーで帰宅。3日間は無理かと思われたが、何とかうかがえてほっとしている。出場者、共演者、スタッフのみなさま、本当にお疲れさまでした!