フランス製フィルム・ノワールと下北沢「バルボア・カフェ」のイタリアンディナー | 野村眞里子のブログ <オラ・デル・テ>

野村眞里子のブログ <オラ・デル・テ>

ブログの説明を入力します。

昨日は、後期3回目となる大学の講義のある日だった。

 

923日のフラメンコ公演『アントロヒア・デル・フラメンコ』の5日前だった第1回目の授業は、スペイン人が来日してのリハーサル初日で頭は大混乱。公演2日後だった第2回目の授業は、蓄積疲労で全身ボロボロ。そして3回目の昨日は、ようやく身体も少し回復して行った授業だった。

 

3時間目の初級会話は、後期から登録した2人の学生に授業終了後フランス名をつけた。「セシル」と「サラ」。どちらも、私の大好きなフランス名だ。次回からは他の学生同様、彼女たちもこれらの名前で呼ぶことになる。

 

4時間目はフランス映画。昨日はフランス製「フィルム・ノワール(暗黒映画)」の解説と、『ディーヴァ』のテクスト購読の続きを行った。

 

ところで「フィルム・ノワール」とは、194050年代のアメリカで盛んに制作された映画ジャンルの名称で、ハンフリー・ボガード主演の『マルタの鷹』(ジョン・ヒューストン監督、1941年)を典型とする、暗くクールな美学に貫かれた犯罪映画を指す。フランス人は特にこうしたハリウッドの犯罪映画を好み、このジャンルに「フィルム・ノワール」という名称を与えた。

 

フランス製「フィルム・ノワール」の創始者はジャック・ベッケル(19061960)である。

 

ベッケルの『現金に手を出すな』(1954)では、ジャン・ギャバン演じる初老のギャングの生活――寡黙で、いさぎよい決断をし、鋭敏な行動力を持つ主人公だが、日常生活は質素で、折り目正しい――が、ハードボイルドなタッチで描かれている。

 

ベッケルは2本の「フィルム・ノワール」を製作した。もう1本は遺作『穴』(1960)。全編ほぼ刑務所の中のシーンで、囚人たちの脱獄の試みを執拗に描いている。

 

ベッケルの「フィルム・ノワール」をさらに洗練し、スタイリッシュに発展させたのはジャン=ピエール・メルヴィルである。

 

メルヴィル(19171973)はパリ生まれ。第二次世界大戦後、独立プロダクションを興し、低予算で長編第一作『海の沈黙』(1949)の製作・脚色・監督を行った。スタジオの伝統的な撮影方式に縛られないメルヴィルの自主独立の精神と、長年コンビを組んだカメラマンのアンリ・ドカエによる自然光を取り入れた映像は、後の「ヌーヴェル・ヴァーグ」の作家に大きな影響を与えた。彼は「ヌーヴェル・ヴァーグの先駆」として評価されている。

 

『海の沈黙』を気に入ったジャン・コクトーは、自分の小説『恐るべき子供たち』の映画化(1950)をメルヴィルに一任し、メルヴィルはコクトーの脚色に基づいて、映画化を行った。

 

(メルヴィルの『恐るべき子供たち』は前期の最終授業で鑑賞した。)

 

しかしメルヴィルが、「フィルム・ノワール」を撮り始めたのは、つづく『賭博師ボブ』(1956)と『マンハッタンの二人の男』(1959)から。この二作には、ジャック・ベッケルが描いたどこかノスタルジックなギャングの世界とは異なった、都会の犯罪者たちのクールで孤独な世界が描かれている。

 

その後、メルヴィルは『いぬ』(1962)、『ギャング』(1966)、『サムライ』(1967)、『仁義』(1970)そして遺作の『リスボン特急』(1972)と、フランス製「フィルム・ノワール」のスタイルの純化に最後まで尽力した。

 

ところで、アメリカの「フィルム・ノワール」とフランスの「フィルム・ノワール」は一体どこが違うのだろうか?

 

どちらも暗い「犯罪映画」であることは共通しているものの、フランス製「フィルム・ノワール」では男の友情と裏切りが、そしてアメリカの「フィルム・ノワール」では「ファム・ファタル」――通常は「非情な女」「宿命の女」などと訳されることが多いフランス語だが、「毒婦」「妖婦」「男を破滅させる女」などの訳をつけるとよりわかりやすくなると思う――の存在が重要な役割を果たしている。

 

ちなみに、もっとも幼い「ファム・ファタル」の例としてロリータをあげたところ、学生たちがひどく驚いていた。ロリータは「ロリータ・コンプレックス(略してロリ・コン)」「ロリータ・ファッション」などで日本でも定着しているが、授業で紹介されるとは夢にも思っていなかったらしい。(笑)

 

下校後疲れがどっと出たため、下北沢の「楽門整体」で体のメンテナンスを受けた。通常は中国式の全身整体をやってもらうが、昨日は体の状態がひどすぎたため、施術者の判断で整骨治療になった。けっこう痛い! でも終了後はシャキッとなった。

 

その後、セガフレードでソニアジョーンズの「LATIDO」編集部から送っていただいたA4で12枚のゲラ――すごい大特集でびっくりです!――を拝見した。終了後は夫と待ち合わせて、下北沢「バルボア・カフェ」に夕飯にうかがった。

 

まずはスプマンテで乾杯。注文したのは下記。すべてあらかじめ取り分けて持ってきてくださった。

 

 

 

 

 

 

サンダニエレ産生ハムといちじく。

 

 

 

 

 

野菜サラダ。

 

 

 

 

 

豚肉のラグーのガルガネッリ。赤ワインをグラスで注文。

 

 

 

 

 

 

仔羊のグリル。

 

 

 

 

 

おいしかったです。ごちそうさまでした!