”今日における帝国主義戦争の必然性の貫徹形態の変化” | 糸色望のブログ

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 私が北井信弘のブログに投稿したコメントに対して、「今日における帝国主義戦争の必然性の貫徹形態の変化」と言う内容で、記事が掲載されていた。


 以下は、その内容の全容となる。

 この提起に踏まえ、変容する現代社会を分する方法論的基準をも確立すべく、大いに論議しよう!

 糸色望さんから、「現代世界と無縁な「解放」記事」という私のブログの記事に次のようなコメントをもらった。

 「電脳社会における戦争の貫徹形態のあり方も、また分析の対象に入れないと旧来のドンパチだけが戦争の形態では無くなっていると思います。

 そうした社会的基盤の変化も考慮しつつ、過剰資本の一挙的な破壊的更新、市場分割戦がどのように行われるのか、「現代帝国主義の腐朽」で明らかにされた方法論的基準を今日的に深化すべく再学習に努めたいと思います。」

 これはヴィヴィッドで創意的な問題提起である、と私はおもう。

 2020年代の現代世界においては、インターネット技術が諸産業および人びとの生活の基盤となったこと、そしてこの世界が中国とアメリカとの国家的な実体的対立を基軸として運動していること、これらを物質的基礎として現代における戦争の形態は変化している。

 核軍事力や海軍力をもって両者は対抗しあうばかりではなく、相手国のインターネット網とそれをささえる人工衛星網を破壊するとともに自国のそれらを防衛するための技術を開発することが、両国の権力者の焦眉の課題となっているのであり、これをめぐって両者はしのぎをけずっているのである。

 相手国によって、何らかの電磁的手段を使ってインターネット網に侵入されこれを破壊されるならば、軍事力も経済的基盤も人びとの日常生活も一瞬にして攪乱されその機能を停止し、これをコントロールする政治は大混乱に陥れられてしまうのである。このことにかんする数々の研究が発表されているのであるが、裏を返せば、その研究は、相手国の軍事力・経済力・政治力をそのようなかたちで破壊するための研究にほかならない。

 いま、ハッカ-という形態をとって、この部面における戦闘が日々くりひろげられているのである。

 いまその感染症が蔓延しているところの新型コロナウイルスも――糸色望さんが言うように――生物兵器である可能性がある。これについては、具体的な分析を要する。

 このコロナウイルスの感染をめぐっては、中国は、米欧日など以外の・ワクチンを自国で開発できない国ぐににたいして、中国製のワクチンの提供を手段として、これらの諸国をみずからの勢力圏に組みこむ策動をくりひろげているのである。

 このようなことがらにかんして、現代における、帝国主義戦争の形態変化・および・その根拠をなすところの帝国主義戦争の必然性の貫徹形態の変化にかかわる問題として考察しほりさげなければならない。

 かつて20世紀後半に、このような問題について論議された。米ソの角逐という物質的諸条件のもとでうみだされていたところの、米ソの核軍事力増強競争、アメリカ帝国主義のいわゆる社会主義国への侵略戦争、米ソ代理戦争、そして反米国家の軍事的転覆などなどを、帝国主義戦争の形態が変化したものとして分析するとともに、その根拠は、帝国主義戦争の必然性の貫徹形態の変化にある、というように理論的にほりさげたのであった。

 帝国主義戦争の必然性は、――全世界的規模において資本主義が帝国主義段階に突入したことを物質的基礎として、――帝国主義国ドイツと帝国主義国イギリスとの実体的対立を措定して明らかにされなければならない。第二次大戦以後の現代世界にかんしては、スターリン主義国家ソ連あるいはソ連圏と、アメリカ帝国主義を盟主とする帝国主義陣営との実体的対立を措定して、帝国主義戦争の必然性の貫徹形態の変化を論じなければならない。――このようなことが論議されたのであった。

 では、21世紀現代世界にかんしてはどうか。

 現代における物質的生産と軍事力と政治的支配ならびに人びとの生活がインターネット技術を基盤とするものとなったことを物質的基礎として、中国国家とアメリカ国家との対立を基軸とする戦争の形態が変わってきていることを分析するとともに、この戦争の必然性を、われわれは明らかにしなければならない。

 一方の側たるアメリカ国家にかんしてはわかりやすい。この国家は、世界の覇権を中国に奪われるのをくいとめるために、「反中国」の排外主義的ナショナリズムをイデオロギー的支柱としているとしているのであり、政治的にはトランプの岩盤支持層であった部分とこれに反対する部分との対立と分裂をはらみつつ、経済的には、現代帝国主義の政治経済構造をなす・腐朽を深める国家独占資本主義という形態をとっているのであって、ITを駆使した軍事力の増強に過剰資本の処理の方途を求めているのである。いま、脱炭素に舵を切った国家権力者バイデンのもとで、これに群がるIT産業や新エネルギー源の開発・生産の独占資本家どもと、石炭・石油・天然ガスなどの旧来のエネルギー産業や鉄鋼業などの資本家どもとの対立が激化しているのである。資本の人格化たる彼らが求めるのは、過剰資本のIT兵器としての消費なのである。

 では、他方の側の中国国家はどうか。中国のスターリン主義党=国家官僚であった者どもは、「共産党」という名の党を維持したままで、スターリン主義政治経済体制を解体し、米欧日の国家独占資本主義の経済形態を模倣して、自国の経済構造を資本制的なものに変えたのであり、みずからは党員のままで資本家的官僚あるいは官僚資本家となったのである。このゆえに、現代中国の政治経済構造は、米欧日の帝国主義経済と同じ矛盾をはらむこととなったのであり、膨大な過剰資本を抱えこむこととなったのである。リーマンショックをのりきるために国家が財政資金を投入したことにもとづく累積債務の増大と生産設備の過剰は、

その端的なあらわれにほかならない。

 資本家的官僚や官僚資本家は、このような国家資本の人格化にほかならず、労働者たちや農民たちを国家として統合するために排外主義的な中華ナショナリズムをみずからのイデオロギーとしているのであり、その内実は世界の覇権をアメリカから奪うことを目的とするものなのである。まさに「一帯一路」というような膨張主義的な国家戦略は、価値法則の貫徹された・今日の中国の政治経済構造をその物質的基礎とするのである。

 このような現代中国を、スターリン主義政治経済体制の破壊のうえに成立した帝国主義というように規定するのかどうかということは、論議する必要があるとしても、帝国主義国アメリカにたいして新たな形態での戦争にうってでる経済的必然性を、この国家はもっているのであり、これを正当化するイデオロギーをうちだしているのである。

 糸色望さんの問題提起をうけとめて私が考えたことは以上である。

 反スターリン主義運動を再創造し、21世紀現代においてプロレタリア世界革命を実現するために、このような問題にかんしてほりさげていこう!