虹色の童話 (角川文庫)の感想レインボーハイツを舞台にそこの住人達が奈落の底へ堕とされていく…。住人のそれぞれが抱えている心の闇がネットリした文体も交えて明らかにされていくにつれレインボーハイツに不穏な空気が立ち込めていく。人間ふとしたきっかけで狂気に駆られていく、人間の心の奥底にある闇も怖く…。その闇の箍を外すのが留衣という存在。そして千加子の闇というのも実は誰もが持っているもので。後味も悪く…だが人間の暗黒面と怪異が巧みなのには圧倒された。
読了日:09月14日 著者:宇佐美まこと
祝言島の感想皐月はスタイリストの母と2人暮らしのデザイン学科の大学生。ある日突然母がしばらく出かけると行ったまま失踪する。皐月は母が残したメモに名前のあった大倉を頼り母の行方を探そうとするが。母の失踪が冒頭で描かれた祝言島の都市伝説や2006年の殺人事件とどう展開していくのかと思ったら母は呆気なく帰ってくる。そして皐月は母から紹介されたアルバイト先の映像制作会社でのテープチェックをする中で見たテレビ番組での2006年の連続殺人事件がメインとなっていく。⬇︎
読了日:09月15日 著者:真梨 幸子
十角館の殺人 限定愛蔵版の感想十角館の殺人 限定愛蔵版には特別付録として33名の豪華執筆人によるエッセイ「私の十角館」がある。このエッセイ集を読むだけでも十角館の殺人がどれほど素晴らしい作品かということを語り尽くしたい。その他にも綾辻さんの三十年目の想いを始めとし十角館のお宝情報も収められていて私の頰は緩みっぱなしだった。十角館の殺人がどれほど多くの人に影響を与えたか、その凄さを改めて感じさせる一冊。この時代に生きていてミステリー小説を読んでいて良かったと心から思えた。
読了日:09月16日 著者:綾辻 行人
ワルツを踊ろうの感想溝端了衛は有名大学を卒業し外資系金融会社に就職したがリーマンショック以降会社の業績悪化に伴い解雇される。そして時を同じく父親が他界。空き家となっていた実家に戻るが…。了衛の実家は7世帯しかない限界集落。了衛は近隣の人達に馴染もうとするが全てが裏目に出てしまう。老人達は全てを了衛の責任にし了衛の貯金までも巻き上げ、誰かしらによる嫌がらせが続きエスカレートし極貧の中耐えるが唯一の心の支えを奪われた了衛は…。登場人物全てが嫌な人というか嫌な部分をきっちり浮き彫りに描かれ救いすらない。非常に辛い内容だった。
読了日:09月17日 著者:中山 七里
騙し絵の牙の感想主人公に大泉洋をあてがきにして出版業界、雑誌の編集部を舞台に過度期の真っ只中であるエンタメ業界をリアルな筆致で描かれている。出版社とは特殊な職種であるがそこで働いている人達はほぼ皆がサラリーマン。中間管理職の編集長は匂わされる担当雑誌の休刊のことで上司と部下の板挟み。派閥争いも見え隠れし仕事に振り回されるだけではなく家族との関係まである。いわゆる一般的な中高年男性と何ら変わりがない。物語の中で大泉洋が扮する速水の臨場感溢れる姿には共感できる。そしてラスト速水が投げ入れた一矢にはそうくるかと驚かされた。
読了日:09月19日 著者:塩田 武士
7人の名探偵 新本格30周年記念アンソロジー (講談社ノベルス)の感想名探偵という同じテーマでありながら作家さんによってここまで違う内容になってしまうとは改めて驚いた。個人的には推理小説として有栖川有栖さんの「船長が死んだ夜」物語としては綾辻行人さんの「仮題・ぬえの密室」が好き。ミステリ好きなら読んで間違いないというか手元に置いておきたいアンソロジー。それぞれの作家の持ち味が良く分かる非常に贅沢な一冊だった。
読了日:09月19日 著者:綾辻 行人,歌野 晶午,法月 綸太郎,有栖川 有栖,我孫子 武丸,山口 雅也,麻耶 雄嵩
緑の窓口 ~樹木トラブル解決します~の感想区役所で働く天野は生活課から環境対策課の緑の窓口へと異動になった。早速1件の相談がそれは庭にある大きな杉の木が邪魔だから伐採してほしい、でも義母が猛反対しているので困っているというものだった。天野達は大河内さんの家へ向かうがそこには先客が樹木医の柊紅葉がいた。緑の窓口は樹木医の紅葉が樹木に関するトラブルを解決していく6話の連作ミステリー。探偵役の紅葉と主人公であり緑の窓口の天野、イケメンの岩浪先輩そして受付の荻村さんらが緑の窓口に持ち込まれた相談をその樹木が持つ特別な性質を駆使して真相を突き止めていく。
読了日:09月20日 著者:下村 敦史
沈黙法廷の感想東京で一人暮らしの初老男性の絞殺死体が発見された。捜査を開始すると彼の周りから数名の女性の名前が挙がった、その中で家事代行業をしている女性が事件があったと思われる日に被害者の家を訪ねていることが分かった。その女性は埼玉で起きた男性不審死事件でも名前が挙がっていた。2件の事件に名前が挙がったことで埼玉・東京いずれも彼女が黒星だと断定しかし埼玉では証拠を集めきれず釈放その後すぐに警視庁が女性を逮捕した。しかし女性は取調べ中ずっと無罪を主張し続けた。⬇︎
読了日:09月21日 著者:佐々木 譲
さらさら流るの感想菫はネット上に自分の全裸の写真がアップされているのを見つけてしまう。それは6年前に当時交際していた光晴が撮ったものだった。自分の裸の写真を見つけてしまった菫は精神的に追い詰められもう二度と今までの暮らしには戻れないだろうと絶望するが親友の美術教師・百合に相談し家族にも打ち明け、百合に紹介してもらった弁護士に対策をしてもらったりと次第に立ち直る。菫目線での内容、何故光晴がこんなことをしたのかという怒りを感じながら光晴の目線に切り替わる。写真をネットにアップしたのは光晴の意志ではなかったことが分かるが⬇︎
読了日:09月22日 著者:柚木 麻子
いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件の感想闇サイトで集まった凶漢が帰宅途中の女性を拉致し命を奪った。悪辣で人とは思えない所業で。被害者女性の母親、親族、最愛の人から伝え聞いた女性の生涯を通して事件に迫る。事件は名古屋で起こったと言うだけではなく被害者が幼い頃から住み育った所、通った学校そして拉致現場や遺体を遺棄された場所。心の底から揺さぶられ震えが止まらなくなった。こんな事件が二度とあってはならない。ご遺族であるお母さんと婚約されていた方のきっと言い表せないほど悩み抜いて本として発表した勇気に畏敬の念を抱き月日は流れていくものだと痛感した。
読了日:09月23日 著者:大崎 善生
雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫)の感想この世の地図からは隠された地「穏 オン」春夏秋冬の他にもう一つ雷の季節を持つ世界。いらなくなったものを始末する鬼衆の存在、廃墟である墓町、支配者が住んでいるという誰も辿り着けない天上家。空棲生物である風わいわいなど主人公の視点から語られる穏の世界がまさにあの世とこの世の狭間という感じで魅力的。風の魔物「風わいわい」憑きの少年・賢也に降りかかる数奇な出来事とその残酷な運命を生き延びた少年の物語。賢也は残酷な異界を生き延びた。しかし彼の進んだ道は彼の意志や力によって拓けたものではない。⬇︎
読了日:09月24日 著者:恒川 光太郎
密偵手嶋眞十郎 幻視ロマネスクの感想大正12年東京、防諜組織として設置された内務省保安局第6課に所属する手嶋眞十郎。異能力を持つ眞十郎がその能力を生かしながら軍のクーデタを防ぐ為暗躍するスパイアクション。眞十郎の持つ異能力はドッペルゲンガーあるいは離魂病と呼ばれる類のもので相手に眞十郎の幻を見せるというもの。しかしこれは眞十郎が自在に操れるものではないようで。物語は汚職から始まり軍のクーデタそして遠くない未来に引き起こされる戦争へと向かってゆく。その中で眞十郎と対立するのはかつての彼の親友であった高柳芳彦という存在。⬇︎
読了日:09月26日 著者:三雲 岳斗
ヴィオレッタの尖骨の感想表題作のヴィオレッタの尖骨、声楽を学んでいる絵梨は先生の勧めで音楽科のある高校へ進学。そこでバイオリンを学んでいるひづると出会う。互いの奏でる音楽に惹かれ合ったことで2人は親しくなる。そんなある夏の日、美術科が使って棟に忍び込んだ2人はそこで紫菫と名乗る美しい少年と出会う。彼を見ていると声楽の先生が言っていた人間の身体は楽器という言葉を思い起こす絵梨。特に彼のくるぶしから突き出た丸く尖った骨に目を奪われていた。そしてそれはひづるも同じで彼女は手首の骨から目が離せないのだという。⬇︎
読了日:09月26日 著者:宮木 あや子
ママは何でも知っている (ハヤカワ・ミステリ文庫)の感想NYPD殺人課に勤務する刑事デイビィが毎週金曜日の夜に妻のシャーリィを連れてママの元へ食事に行く。一人で住んでいるママそしてデイビィは若干呑気というかぼやっとした印象この二人の会話に妻のシャーリィが何かとママの意見にある意味常識的なツッコミを入れつつ、そのツッコミが気に入らないママの皮肉たっぷりの反撃があったりして、どう見ても嫁姑の仲は良くなさそうな言葉の応酬がスパイスのようにピリッと効いて扱う事件は殺人事件なのに妙にほんわかしている。⬇︎
読了日:09月27日 著者:ジェイムズ ヤッフェ,James Yaffe
三階に止まるの感想ホラー色の強いミステリ8編の短編集。タイトルにもなっている「三階に止まる」は七階に住む夫妻の話。一階に行く時も帰宅して七階に行く時も押してもいないのにエレベーターが三階で止まる。管理会社にみてもらっても故障ではないと言われるだけ。それでも気持ちが悪いから引っ越したいという妻の主張。問題がないことを2人の友人に検証してもらうことに、結論としては見えざるものが人を三階に行くように仕向けているのではないかと。三階の住人が…。事件以降は三階に止まる現象はなくなったが、しばらくして夫が帰宅する時に今度は四階に止まる
読了日:09月28日 著者:石持 浅海
神様が殺してくれる Dieu aime Lion (幻冬舎文庫)の感想大学時代にルームメイトだったリオンが大女優の殺人現場で両手首を拘束されて見つかる。彼が「神様が殺した」と証言し神に「僕」の名前を挙げた。インターポールに勤めている僕ことレオナルドはリオンとは卒業以来会っていなかった。ルームメイト時代、特に親しかったわけでもないのに何故自分の名を挙げたのか不思議に思うレオナルドだったが、いつしかリオンの美に魅了され殺人事件に深く関わることになる。そして第二の殺人事件が起こる。美貌のリオンを巡るフランス、イタリア、台湾、日本と世界を跨ぐ殺人事件。⬇︎
読了日:09月29日 著者:森 博嗣
マスカレード・ナイトの感想練馬で起きた一人暮らしの若い女性トリマー殺人事件に関して警視庁に密告状が届く。警視庁はホテルへの潜入捜査を計画、新田刑事をホテルのフロントクラークに仕立てて送り込む。コンビを組むのは厳格なアシスタント・マネージャーの氏原。前回コンビを組んだ山岸尚美はコンシェルジュに昇格していた。犯人の意図がはっきりしない中、潜入捜査は始まる。年末のホテルには様々な怪しい人物がやって来る。警察は容疑者を絞り込めないまま大晦日を迎えようとしていた。一方本庁の刑事・能勢は新田の助言で関連事件を調べていたが過去に⬇︎
読了日:09月30日 著者:東野 圭吾
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