ひと月ってあっという間に過ぎていき、もうクリスマスの飾り物が売られていたりと今年ももうダラダラと終わってしまいそうです
先月は体調を崩したりといまいちだったのですが、本だけは好きなものばかり読みました
10月の読書メーター
読んだ本の数:26
王都炎上・王子二人 ―アルスラーン戦記(1)(2) (カッパ・ノベルス)の感想
西北方よりルシタニアが大国パルスに攻め入った。国王アンドラゴラス率いる無敗のパルス軍だったが、そこで待ち受けていたのは臣下の裏切りそれによるパルス軍の敗北だった。さらに追い討ちをかけるようにパルス国の王都エクバターナも侵攻してきたルシタニアグイによって陥落してしまう。アルスラーンは武勇のみを認める父・アンドラゴラス三世から認められず母のタハミーネからも興味を示されず孤独な子供時代を過ごしてきた。114歳で初陣を臨むことになり敗北したアルスラーンは武将ダリューンと共に戦場から逃げ延びダリューンの親友⬇︎
読了日:10月01日 著者:田中 芳樹
桜風堂ものがたりの感想
老舗百貨店内に店を構える銀河堂書店に働いていた月原一整は、とある万引き事件をきっかけに今までの職場を離れることに。全面的に推して売り込んでいきたいと思える素敵な作品の発売を間近にして慣れ親しんだ書店を辞めざるをえなくなった一整は酷く傷つきながらも人の縁に導かれるように桜風堂書店に足を運ぶことになる。そこでの出会いをきっかけに一整は自分にとっての書店や物語の在り方わ再確認してゆく。今まで働いていた書店を追われた一整だけでなく親の元には居づらい少年、地元の人たち、迷い猫にとっても桜風堂書店が掛け替えのない⬇︎
読了日:10月03日 著者:村山 早紀
亡者は囁く (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)の感想
25年前に一度だけ会った女性を探してほしい。名前は深水弥生。盲目の天才女性バイオリニストの依頼を受けた探偵・槇野は捜査を開始する。25年前そのバイオリニストは盲導犬を引き取りに行こうとしたが台風に足止めされ仕方なく宿泊した宿で同じように足止めされた女性と相部屋になった。その女性が弥生だった。弥生に自分がここにいると恋人のサタケユウスケという男性に伝言してほしいと懇願されたが犯罪に巻き込まれるのでは?という恐怖心から弥生との約束を反故にした。調査を進める内に弥生の恋人サタケユウスケが4年前に起きた⬇︎
読了日:10月04日 著者:吉田恭教
この闇と光 (角川文庫)の感想
レイアが9年間過ごした王国は閉ざされた闇の中であっても父という光の元で極上かつ本物の美しさに囲まれていた世界。その世界から解放され手術で本来の光を取り戻しても、その目に映る光や輝きは次第に色褪せていってしまう。私達が生きる世界は美しいだけではない。物語の中にしかいなかった醜悪な人々が実在し親を含む周囲の人間の醜さに辟易し侮蔑するようになる。その感情を認めることは自分の中の闇を認めることである。闇を知らなければ光も知ることは出来ない。だとしたらその両方を知った後は?⬇︎
読了日:10月05日 著者:服部 まゆみ
静かな雨の感想
行助は勤めていた会社が畳まれ失職、帰宅途中に通りかかった店でたい焼きを買って食べたらその美味しさに勇気づけられる。たい焼きがあまりに美味しくたい焼き屋のこよみの事も気になり毎日店に立ち寄るようになり2人の距離は徐々に縮まっていくところがこよみが交通事故に巻き込まれ意識不明の重体その後やっと意識を取り戻したが記憶を1日しか留められないという障害が残る1日しか記憶がもたないこよみに対し虚しい苛立ちを感じる記憶を分かち合うよりも思いを分かち合えることの方が大切という行助の言葉に静かな2人の姿が胸に染み込んでくる
読了日:10月06日 著者:宮下 奈都
二歩前を歩くの感想
6編の短編集。家に帰るとスリッパが一人で歩いた形跡がある「一歩ずつ進む」周りの人からは男が突然二歩分くらい先に進んたように見える「二歩前を歩く」など。どの短編も超常現象としか思えない話ばかり。どの話も独立しているが登場人物達は会社の社員で全編を通して探偵役として会社の研究所の研究員の小泉か謎を明らかにしていく。小泉の性格、研究者という職業柄なのか極めて論理的な思考の持ち主。非科学的な話なのに最後に何故か納得してしまうのは小泉の当たり前に考える思考力とその行動からかも。
読了日:10月07日 著者:石持 浅海
ネバーランド (集英社文庫)の感想
それぞれの事情からお正月にもかかわらず帰省せずに学校の寮に残ることになった美国、光浩、寛司の3人そして自宅から通学している統が加わり告白大会をすることに。他人の話で心に重い荷物を背負いたくないということから話には嘘を1つ加えることに。4人がそれぞれ心に深い傷を持っている。そして4人が寮での生活の中で傷つけあい心の中をさらけ出し理解し合っていく過程が描かれていく。高校時代にこんな友人を持てるなんて彼らはなんて幸せなんだろうと思った。
読了日:10月07日 著者:恩田 陸
錆びた太陽の感想
原発事故後の日本の未来。立ち入り禁止されている区域が日本全土の20%の世界。登場するのは人間一人、国税庁の財護徳子と後はロボットやゾンビとよく分からない生命体。それとロボットにはネズミのアルジャーノ。ロボットは7体だが1体行方知れずのシンコ。徳子とロボット達のやり取りがユーモラスで緊迫した状況下なのになんだか楽しく不思議な物語。徳子が1人この地を訪れた訳はなるほどと思ったがシンコはどうなったのか?原発事故は恐ろしいと再確認した。再稼働は止めてほしいと思う。
読了日:10月08日 著者:恩田 陸
教場0: 刑事指導官・風間公親の感想
教場、教場2は警察学校が舞台だったが本作は警察学校の教官になる前の風間が新米刑事を現場で育てる風間道場が舞台。「毒のある骸骨」昇進目前の法医学教授が服毒自殺した。遺体を司法解剖する際、事故を起こし助教に大ケガを負わしてしまう。誰が事件をおこしたのかではなく事件は何故起きたのかを追う。それぞれの短編には緻密に計算された伏線が仕掛けられ回収された真相の先にさらなる驚きが。ひねりが効いていて心か揺さぶられる。
読了日:10月12日 著者:長岡 弘樹
お文の影 (角川文庫)の感想
6編の江戸怪異譚。壺の絵に怪現象が起こる「坊主の壺」影踏みをして遊ぶ子ども達の中にぽつんと現れたひとつの影その正体とそして因縁があまりにも切ない。ぼんくらの政五郎親分とおでこが活躍する「お文の影」など。欲深さ、嫉妬、邪な心そんな気持ちを妖怪譚にした「討債鬼」「ばんば憑き」は特に面白かった。それぞれの物語が怖いが切なくちょっと悲しくて面白い。
読了日:10月13日 著者:宮部 みゆき
UFO大通り (講談社文庫)の感想
ガス会社に勤務する男性が辞める直前に上司を殴ったとして警察が捜査していた。殴られた方の聴取を担当した警察官はその上司の方が男性に何かしたのではと疑っていた。その男性・小寺が自宅で死んでいるのを婚約者の女性が発見した。だが死んだ小寺の状況は異常だった。白いシーツを体にぐるぐると巻きヘルメットとゴム手袋という重装備だった。同じ頃御手洗と石岡は小寺の近所に住むラクという老女の家を訪ねていた。この老女は自分の家の前をUFOが行き交っているというのだ。UFO特集の番組でもインタビューされ証言していた。⬇︎
読了日:10月14日 著者:島田 荘司
オムライス日和 BAR追分 (ハルキ文庫)の感想
新宿三丁目の奥にあるねこみち横丁商店街その路地の一番奥にあるのがBAR追分、昼間は美味しいごはんを提供するバール夜は本格的なバーとふたつの顔を持つBAR追分に集まる人々の物語。「猫の恩返し」ねこみち横丁の地域猫デヴィがこの頃他所で餌を貰っているらしい。デヴィの肥満を心配するバールの料理人桃子とねこみち横丁の管理人宇藤とともに餌をあげた人にわかるようデヴィのリボンにメッセージを送るところが数日後デヴィの首には助けての文字が。どこの誰かも分からない助けを求める人を探す為ねこみち横丁のメンバーが立ち上がる。⬇︎
読了日:10月15日 著者:伊吹有喜
情熱のナポリタン―BAR追分 (ハルキ文庫)の感想
表題作の「情熱のナポリタン」宇藤や純にやたらとちょっかいを出してくるギシュウ。宇藤の脚本をけなしても才能は買っていてしきりと脚本部へ誘うは、あわよくば純もまとめて手元に置きたいらしい。そんな天才ギシュウもメディアミックスの一大企画に頭を悩ませていた。ギシュウの腹心・空開はなんとか宇藤を説得しようと画策をはじめ…。才能と情熱、天才と凡人。宇藤とももちゃんも、ねこみち横丁のみんなに愛されているし道半ばとはいえそれぞれ料理や脚本の才能に長けているだがいつまでもここにはいられないって思っている。⬇︎
読了日:10月15日 著者:伊吹 有喜
ホワイトラビットの感想
仙台で人質立てこもり事件、通称白兎事件が発生。人質になっているのは母親と息子そして事件に巻き込まれる事になった泥棒の黒澤。だがこの立てこもりは単純な事件ではなかった…。誘拐業者の兎田は最愛の妻を誘拐されてしまう。妻が解放される条件は自社の資金持ち出しに関わったと思われるコンサルタントの折尾を見つけ出すこと。タイムリミットはたったの1日。どこにいるかも分からない折尾を探し出す為兎田は人質立てこもり事件を起こし警察に折尾と人質の交換を要求する。この一見被害者に見える兎田の生業が堅気ではないところだったり⬇︎
読了日:10月17日 著者:伊坂 幸太郎
よろこびの歌の感想
御木本怜の母は有名なヴァイオリニスト自分も音楽への道を進むつもりだったが音大の付属校の入試に落ち音楽科のない新設の私立女子校に入学する。挫折感から同級生との交わりを拒み学校で孤立していたが合唱コンクールの指揮をすることになり同級生との関わりの中で少しずつ変わっていく。他の同級生の少女たちもそれぞれに自分のいるべき場所ではないという思いや周りに話せない悩みを持ちながらそれでも自分の居場所や自分の進むべき道を見つけていく。ひとりひとりの心の動きが丹念に描かれ切ない気持ちになったり応援したくなったりと爽やか。
読了日:10月18日 著者:宮下 奈都
悪寒の感想
仕事で苦労しその後は妻の犯罪で苦労しと賢一が翻弄される。自分の妻が自分の会社の上司と不倫を疑われる状況で殺人の容疑をかけられるという会社員としては非常に辛く混乱した立場に立たされた中でひたすら家族を信じるということは、何かと突き付けられる様子が克明に描かれていく。事件が次第に動き始め賢一が妻を信じようと腹を括った後自分でも捜査をし事件の真相を掴み始める。真壁刑事の一見冷たそうだが人間味のある捜査態度にいつしか教えられながら家族の再生を図ることが出来た賢一一家の姿には良かったと思わずにはいられなかった。
読了日:10月19日 著者:伊岡 瞬
共犯関係の感想
「Partners in Crime」秋吉理香子、ナルシストを気取った妻帯者がバーで出会った女性。夫に隠れ浮気を楽しむW不倫の関係に。際どい恋愛ゲームを楽しんでいたはずが女性の方が執着し始めた。深刻になるまえに別れたい。だが女性は次第にストーカーに変貌してゆく。ラスト共犯関係の鮮やかな逆転劇に眼がくらむ。「代償」芦沢央、デビュー後ヒット作に恵まれずにいたミステリ作家だが今回描いた作品は自分でも自信作と太鼓判がおせる。いつものように妻に真っ先に読んでもらうと意外な事実が。⬇︎
読了日:10月20日 著者:秋吉理香子・芦沢央・乾くるみ・友井羊・似鳥鶏
冤罪犯の感想
船橋署捜査一課の巡査部長香山は畑の中で幼女の死体が見つかったとの知らせを聞き駆けつける。死体は上半身に赤いTシャツを首を通しただけの状態で身につけ後は裸だった。死因は扼殺、上にはブルーシートがかけられ小さな足だけが見えていた。被害者は深沢美穂5歳と判明。聞き込みにより2人組の背の高い男性の目撃情報が出たがなかなか見つけることが出来なかった。7年前に起きた田宮事件に状況が酷似していることから模倣犯の仕業ではないかと捜査会議ででる。捜査は難航するがやがて被疑者として田宮が浮上し逮捕された。⬇︎
読了日:10月21日 著者:翔田 寛
ギフトの感想
家族や友達、好きな人から贈られるギフトに纏わる短編集。私を巡る彼、友達、父母と私との距離感が絶妙。自分のやりたいことをやれない屈折。だが必ず待っててくれる人がいる。そして周りに自分を大切にしてくれる人がいるということが何よりも幸せなことなんだと感じた。
読了日:10月22日 著者:原田 マハ
槐(エンジュ)の感想
水楢中学校の野外活動部は毎年夏休みにキャンプをする。部長の公一以下部員7人と引率の先生2人の9人で。そしてキャンプ場へ出かけたその夜武装した半グレ集団「関帝連合」に占拠されてしまう。彼らの狙いは振り込め詐欺で騙し取った金40億その大金がこのキャンプ場に隠されていたのだ。関帝連合内部の派閥争いもあり現金回収を急ぐリーダー溝淵はキャンプ場へ遊びに来ていた宿泊客らを皆殺しにし公一達を監禁した。だがその時何者かが関帝連合に逆襲を始めた。携帯の電波も届かず助けを呼ぶ手段もない。金の為に殺人集団と化した悪党達。⬇︎
読了日:10月24日 著者:月村 了衛
屍人荘の殺人の感想
神紅大学ミステリ愛好会の会長・明智と助手の葉村は同じ大学の名探偵少女の比留子の協力を得て映画研究部の夏合宿に加わることに。訪れたのは紫湛荘。映画研究部や演劇部を集め合宿の一日目の夜、肝試しの最中にまさかの出来事に遭遇、紫湛荘に立て籠もることに。そして部員の一人が密室で惨殺死体となって発見された。まさかの出来事事態も怖くその後のクローズドサークルでの惨殺死体という展開。奇想天外な状況に置かれた中での不条理な殺人がちゃんと真相解明されるのは面白かった。
読了日:10月25日 著者:今村 昌弘
ラブコメ今昔 (角川文庫)の感想
奥様との馴れ初め話をめぐる二等陸佐・今村と隊内誌記者・千尋の攻防を描く「ラブコメ今昔」大阪のOL歌穂の彼は年下で笑顔が可愛く自衛官、しかも…「軍事とオタクと彼」とにかくラブコメディ。笑えて泣けて不意に胸を突かれる甘いだけではない恋愛短編集。自衛隊という特殊な職業、いつしか命を落とす日が来るかもしれない現実。これがきっちりと書かれていて短い物語をより深くしていて良かった。
読了日:10月26日 著者:有川 浩
主君 井伊の赤鬼・直政伝の感想
「剣と紅」の主人公井伊直虎の後継者である井伊直政の生涯を彼に仕えた木俣守勝の視点から描かれている。守勝が直政に仕えていたのは外野から見ればその通りなのだが守勝本人にとってはそうではなかった。元より家康直参であるという思いを強く持ち続けていた守勝にとってあくまでも直政のお目付役それ以上でもそれ以下でもないはずだった。しかし直政と共に生きその不可解な行動や思考回路を見つめ続けてきた守勝は直政にとってかけがえのない人物。守勝も心のどこかではきっとそれを分かっていたはずなのに最後の最後まで⬇︎
読了日:10月27日 著者:高殿 円
老乱の感想
認知症になった義父(介護される側)とその嫁(介護する側)の視点を交互に描き認知症の辛さを双方の視点から丁寧にリアルに描かれている。介護される側とする側の苦悩と苦悶が詳細に描かれているので読んでいて切なく苦しかった。義父の徘徊、排泄の失敗さらには自分の息子を殺しかけるという狂乱にこんな事をされたら介護する側が介護疲れに陥るのも仕方がないし施設に入れるしかないと思ってしまうが施設に入れるということは育ててもらった恩を忘れ親を見捨てようとしていることではないのかという考えも出て介護する側の雅美と知久と一緒に⬇︎
読了日:10月28日 著者:久坂部羊
私の男 (文春文庫)の感想
花の結婚式前夜から物語は遡っていく。花と淳悟にしか分からない、分かり合えない精神的に閉ざされた世界の中がそこにはある。唯一無二の存在、2人が寄り添って壊れていく様子は怖く哀しいような胸にくる物語。約束した時間を過ぎても結婚式に現れない淳悟。時間が迫り父親不在のまま結婚式を始めようとする周囲。花はうろたえながら叫ぶ「だってお父さんがいないもん!どこにも、どこにも、行けないわ」生きるために、幸せになるために淳悟から逃げようとする花。縛りつけるわけでもなく、縋りつくわけでもなく淳悟は淡々とそれらを受け入れる⬇︎
読了日:10月29日 著者:桜庭 一樹
ジゼルの感想
東京グランド・バレエ団の創立15周年記念公演の演目がジゼルに決定し花音は準主役のミルタに抜擢される。このバレエ団には15年前ジゼル役のプリマの真由美が代役の嶺衣奈を襲った末に死亡するという事件が起きジゼルは長い間封印されてきた。公演に向けて準備を始めようという矢先に花音の同期の蘭丸は夜のスタジオでジゼルの衣装を身に纏った真由美の亡霊を目撃する。そして芸術監督の蝶野は事故で大怪我を負いプリマの嶺衣奈は精神的に追い詰められていく。配役の変更で団員の間に不協和音が生じる中、不可解な事件が相次いで…。⬇︎
読了日:10月31日 著者:秋吉 理香子
読んだ本の数:26
王都炎上・王子二人 ―アルスラーン戦記(1)(2) (カッパ・ノベルス)の感想西北方よりルシタニアが大国パルスに攻め入った。国王アンドラゴラス率いる無敗のパルス軍だったが、そこで待ち受けていたのは臣下の裏切りそれによるパルス軍の敗北だった。さらに追い討ちをかけるようにパルス国の王都エクバターナも侵攻してきたルシタニアグイによって陥落してしまう。アルスラーンは武勇のみを認める父・アンドラゴラス三世から認められず母のタハミーネからも興味を示されず孤独な子供時代を過ごしてきた。114歳で初陣を臨むことになり敗北したアルスラーンは武将ダリューンと共に戦場から逃げ延びダリューンの親友⬇︎
読了日:10月01日 著者:田中 芳樹
桜風堂ものがたりの感想老舗百貨店内に店を構える銀河堂書店に働いていた月原一整は、とある万引き事件をきっかけに今までの職場を離れることに。全面的に推して売り込んでいきたいと思える素敵な作品の発売を間近にして慣れ親しんだ書店を辞めざるをえなくなった一整は酷く傷つきながらも人の縁に導かれるように桜風堂書店に足を運ぶことになる。そこでの出会いをきっかけに一整は自分にとっての書店や物語の在り方わ再確認してゆく。今まで働いていた書店を追われた一整だけでなく親の元には居づらい少年、地元の人たち、迷い猫にとっても桜風堂書店が掛け替えのない⬇︎
読了日:10月03日 著者:村山 早紀
亡者は囁く (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)の感想25年前に一度だけ会った女性を探してほしい。名前は深水弥生。盲目の天才女性バイオリニストの依頼を受けた探偵・槇野は捜査を開始する。25年前そのバイオリニストは盲導犬を引き取りに行こうとしたが台風に足止めされ仕方なく宿泊した宿で同じように足止めされた女性と相部屋になった。その女性が弥生だった。弥生に自分がここにいると恋人のサタケユウスケという男性に伝言してほしいと懇願されたが犯罪に巻き込まれるのでは?という恐怖心から弥生との約束を反故にした。調査を進める内に弥生の恋人サタケユウスケが4年前に起きた⬇︎
読了日:10月04日 著者:吉田恭教
この闇と光 (角川文庫)の感想レイアが9年間過ごした王国は閉ざされた闇の中であっても父という光の元で極上かつ本物の美しさに囲まれていた世界。その世界から解放され手術で本来の光を取り戻しても、その目に映る光や輝きは次第に色褪せていってしまう。私達が生きる世界は美しいだけではない。物語の中にしかいなかった醜悪な人々が実在し親を含む周囲の人間の醜さに辟易し侮蔑するようになる。その感情を認めることは自分の中の闇を認めることである。闇を知らなければ光も知ることは出来ない。だとしたらその両方を知った後は?⬇︎
読了日:10月05日 著者:服部 まゆみ
静かな雨の感想行助は勤めていた会社が畳まれ失職、帰宅途中に通りかかった店でたい焼きを買って食べたらその美味しさに勇気づけられる。たい焼きがあまりに美味しくたい焼き屋のこよみの事も気になり毎日店に立ち寄るようになり2人の距離は徐々に縮まっていくところがこよみが交通事故に巻き込まれ意識不明の重体その後やっと意識を取り戻したが記憶を1日しか留められないという障害が残る1日しか記憶がもたないこよみに対し虚しい苛立ちを感じる記憶を分かち合うよりも思いを分かち合えることの方が大切という行助の言葉に静かな2人の姿が胸に染み込んでくる
読了日:10月06日 著者:宮下 奈都
二歩前を歩くの感想6編の短編集。家に帰るとスリッパが一人で歩いた形跡がある「一歩ずつ進む」周りの人からは男が突然二歩分くらい先に進んたように見える「二歩前を歩く」など。どの短編も超常現象としか思えない話ばかり。どの話も独立しているが登場人物達は会社の社員で全編を通して探偵役として会社の研究所の研究員の小泉か謎を明らかにしていく。小泉の性格、研究者という職業柄なのか極めて論理的な思考の持ち主。非科学的な話なのに最後に何故か納得してしまうのは小泉の当たり前に考える思考力とその行動からかも。
読了日:10月07日 著者:石持 浅海
ネバーランド (集英社文庫)の感想それぞれの事情からお正月にもかかわらず帰省せずに学校の寮に残ることになった美国、光浩、寛司の3人そして自宅から通学している統が加わり告白大会をすることに。他人の話で心に重い荷物を背負いたくないということから話には嘘を1つ加えることに。4人がそれぞれ心に深い傷を持っている。そして4人が寮での生活の中で傷つけあい心の中をさらけ出し理解し合っていく過程が描かれていく。高校時代にこんな友人を持てるなんて彼らはなんて幸せなんだろうと思った。
読了日:10月07日 著者:恩田 陸
錆びた太陽の感想原発事故後の日本の未来。立ち入り禁止されている区域が日本全土の20%の世界。登場するのは人間一人、国税庁の財護徳子と後はロボットやゾンビとよく分からない生命体。それとロボットにはネズミのアルジャーノ。ロボットは7体だが1体行方知れずのシンコ。徳子とロボット達のやり取りがユーモラスで緊迫した状況下なのになんだか楽しく不思議な物語。徳子が1人この地を訪れた訳はなるほどと思ったがシンコはどうなったのか?原発事故は恐ろしいと再確認した。再稼働は止めてほしいと思う。
読了日:10月08日 著者:恩田 陸
教場0: 刑事指導官・風間公親の感想教場、教場2は警察学校が舞台だったが本作は警察学校の教官になる前の風間が新米刑事を現場で育てる風間道場が舞台。「毒のある骸骨」昇進目前の法医学教授が服毒自殺した。遺体を司法解剖する際、事故を起こし助教に大ケガを負わしてしまう。誰が事件をおこしたのかではなく事件は何故起きたのかを追う。それぞれの短編には緻密に計算された伏線が仕掛けられ回収された真相の先にさらなる驚きが。ひねりが効いていて心か揺さぶられる。
読了日:10月12日 著者:長岡 弘樹
お文の影 (角川文庫)の感想6編の江戸怪異譚。壺の絵に怪現象が起こる「坊主の壺」影踏みをして遊ぶ子ども達の中にぽつんと現れたひとつの影その正体とそして因縁があまりにも切ない。ぼんくらの政五郎親分とおでこが活躍する「お文の影」など。欲深さ、嫉妬、邪な心そんな気持ちを妖怪譚にした「討債鬼」「ばんば憑き」は特に面白かった。それぞれの物語が怖いが切なくちょっと悲しくて面白い。
読了日:10月13日 著者:宮部 みゆき
UFO大通り (講談社文庫)の感想ガス会社に勤務する男性が辞める直前に上司を殴ったとして警察が捜査していた。殴られた方の聴取を担当した警察官はその上司の方が男性に何かしたのではと疑っていた。その男性・小寺が自宅で死んでいるのを婚約者の女性が発見した。だが死んだ小寺の状況は異常だった。白いシーツを体にぐるぐると巻きヘルメットとゴム手袋という重装備だった。同じ頃御手洗と石岡は小寺の近所に住むラクという老女の家を訪ねていた。この老女は自分の家の前をUFOが行き交っているというのだ。UFO特集の番組でもインタビューされ証言していた。⬇︎
読了日:10月14日 著者:島田 荘司
オムライス日和 BAR追分 (ハルキ文庫)の感想新宿三丁目の奥にあるねこみち横丁商店街その路地の一番奥にあるのがBAR追分、昼間は美味しいごはんを提供するバール夜は本格的なバーとふたつの顔を持つBAR追分に集まる人々の物語。「猫の恩返し」ねこみち横丁の地域猫デヴィがこの頃他所で餌を貰っているらしい。デヴィの肥満を心配するバールの料理人桃子とねこみち横丁の管理人宇藤とともに餌をあげた人にわかるようデヴィのリボンにメッセージを送るところが数日後デヴィの首には助けての文字が。どこの誰かも分からない助けを求める人を探す為ねこみち横丁のメンバーが立ち上がる。⬇︎
読了日:10月15日 著者:伊吹有喜
情熱のナポリタン―BAR追分 (ハルキ文庫)の感想表題作の「情熱のナポリタン」宇藤や純にやたらとちょっかいを出してくるギシュウ。宇藤の脚本をけなしても才能は買っていてしきりと脚本部へ誘うは、あわよくば純もまとめて手元に置きたいらしい。そんな天才ギシュウもメディアミックスの一大企画に頭を悩ませていた。ギシュウの腹心・空開はなんとか宇藤を説得しようと画策をはじめ…。才能と情熱、天才と凡人。宇藤とももちゃんも、ねこみち横丁のみんなに愛されているし道半ばとはいえそれぞれ料理や脚本の才能に長けているだがいつまでもここにはいられないって思っている。⬇︎
読了日:10月15日 著者:伊吹 有喜
ホワイトラビットの感想仙台で人質立てこもり事件、通称白兎事件が発生。人質になっているのは母親と息子そして事件に巻き込まれる事になった泥棒の黒澤。だがこの立てこもりは単純な事件ではなかった…。誘拐業者の兎田は最愛の妻を誘拐されてしまう。妻が解放される条件は自社の資金持ち出しに関わったと思われるコンサルタントの折尾を見つけ出すこと。タイムリミットはたったの1日。どこにいるかも分からない折尾を探し出す為兎田は人質立てこもり事件を起こし警察に折尾と人質の交換を要求する。この一見被害者に見える兎田の生業が堅気ではないところだったり⬇︎
読了日:10月17日 著者:伊坂 幸太郎
よろこびの歌の感想御木本怜の母は有名なヴァイオリニスト自分も音楽への道を進むつもりだったが音大の付属校の入試に落ち音楽科のない新設の私立女子校に入学する。挫折感から同級生との交わりを拒み学校で孤立していたが合唱コンクールの指揮をすることになり同級生との関わりの中で少しずつ変わっていく。他の同級生の少女たちもそれぞれに自分のいるべき場所ではないという思いや周りに話せない悩みを持ちながらそれでも自分の居場所や自分の進むべき道を見つけていく。ひとりひとりの心の動きが丹念に描かれ切ない気持ちになったり応援したくなったりと爽やか。
読了日:10月18日 著者:宮下 奈都
悪寒の感想仕事で苦労しその後は妻の犯罪で苦労しと賢一が翻弄される。自分の妻が自分の会社の上司と不倫を疑われる状況で殺人の容疑をかけられるという会社員としては非常に辛く混乱した立場に立たされた中でひたすら家族を信じるということは、何かと突き付けられる様子が克明に描かれていく。事件が次第に動き始め賢一が妻を信じようと腹を括った後自分でも捜査をし事件の真相を掴み始める。真壁刑事の一見冷たそうだが人間味のある捜査態度にいつしか教えられながら家族の再生を図ることが出来た賢一一家の姿には良かったと思わずにはいられなかった。
読了日:10月19日 著者:伊岡 瞬
共犯関係の感想「Partners in Crime」秋吉理香子、ナルシストを気取った妻帯者がバーで出会った女性。夫に隠れ浮気を楽しむW不倫の関係に。際どい恋愛ゲームを楽しんでいたはずが女性の方が執着し始めた。深刻になるまえに別れたい。だが女性は次第にストーカーに変貌してゆく。ラスト共犯関係の鮮やかな逆転劇に眼がくらむ。「代償」芦沢央、デビュー後ヒット作に恵まれずにいたミステリ作家だが今回描いた作品は自分でも自信作と太鼓判がおせる。いつものように妻に真っ先に読んでもらうと意外な事実が。⬇︎
読了日:10月20日 著者:秋吉理香子・芦沢央・乾くるみ・友井羊・似鳥鶏
冤罪犯の感想船橋署捜査一課の巡査部長香山は畑の中で幼女の死体が見つかったとの知らせを聞き駆けつける。死体は上半身に赤いTシャツを首を通しただけの状態で身につけ後は裸だった。死因は扼殺、上にはブルーシートがかけられ小さな足だけが見えていた。被害者は深沢美穂5歳と判明。聞き込みにより2人組の背の高い男性の目撃情報が出たがなかなか見つけることが出来なかった。7年前に起きた田宮事件に状況が酷似していることから模倣犯の仕業ではないかと捜査会議ででる。捜査は難航するがやがて被疑者として田宮が浮上し逮捕された。⬇︎
読了日:10月21日 著者:翔田 寛
ギフトの感想家族や友達、好きな人から贈られるギフトに纏わる短編集。私を巡る彼、友達、父母と私との距離感が絶妙。自分のやりたいことをやれない屈折。だが必ず待っててくれる人がいる。そして周りに自分を大切にしてくれる人がいるということが何よりも幸せなことなんだと感じた。
読了日:10月22日 著者:原田 マハ
槐(エンジュ)の感想水楢中学校の野外活動部は毎年夏休みにキャンプをする。部長の公一以下部員7人と引率の先生2人の9人で。そしてキャンプ場へ出かけたその夜武装した半グレ集団「関帝連合」に占拠されてしまう。彼らの狙いは振り込め詐欺で騙し取った金40億その大金がこのキャンプ場に隠されていたのだ。関帝連合内部の派閥争いもあり現金回収を急ぐリーダー溝淵はキャンプ場へ遊びに来ていた宿泊客らを皆殺しにし公一達を監禁した。だがその時何者かが関帝連合に逆襲を始めた。携帯の電波も届かず助けを呼ぶ手段もない。金の為に殺人集団と化した悪党達。⬇︎
読了日:10月24日 著者:月村 了衛
屍人荘の殺人の感想神紅大学ミステリ愛好会の会長・明智と助手の葉村は同じ大学の名探偵少女の比留子の協力を得て映画研究部の夏合宿に加わることに。訪れたのは紫湛荘。映画研究部や演劇部を集め合宿の一日目の夜、肝試しの最中にまさかの出来事に遭遇、紫湛荘に立て籠もることに。そして部員の一人が密室で惨殺死体となって発見された。まさかの出来事事態も怖くその後のクローズドサークルでの惨殺死体という展開。奇想天外な状況に置かれた中での不条理な殺人がちゃんと真相解明されるのは面白かった。
読了日:10月25日 著者:今村 昌弘
ラブコメ今昔 (角川文庫)の感想奥様との馴れ初め話をめぐる二等陸佐・今村と隊内誌記者・千尋の攻防を描く「ラブコメ今昔」大阪のOL歌穂の彼は年下で笑顔が可愛く自衛官、しかも…「軍事とオタクと彼」とにかくラブコメディ。笑えて泣けて不意に胸を突かれる甘いだけではない恋愛短編集。自衛隊という特殊な職業、いつしか命を落とす日が来るかもしれない現実。これがきっちりと書かれていて短い物語をより深くしていて良かった。
読了日:10月26日 著者:有川 浩
主君 井伊の赤鬼・直政伝の感想「剣と紅」の主人公井伊直虎の後継者である井伊直政の生涯を彼に仕えた木俣守勝の視点から描かれている。守勝が直政に仕えていたのは外野から見ればその通りなのだが守勝本人にとってはそうではなかった。元より家康直参であるという思いを強く持ち続けていた守勝にとってあくまでも直政のお目付役それ以上でもそれ以下でもないはずだった。しかし直政と共に生きその不可解な行動や思考回路を見つめ続けてきた守勝は直政にとってかけがえのない人物。守勝も心のどこかではきっとそれを分かっていたはずなのに最後の最後まで⬇︎
読了日:10月27日 著者:高殿 円
老乱の感想認知症になった義父(介護される側)とその嫁(介護する側)の視点を交互に描き認知症の辛さを双方の視点から丁寧にリアルに描かれている。介護される側とする側の苦悩と苦悶が詳細に描かれているので読んでいて切なく苦しかった。義父の徘徊、排泄の失敗さらには自分の息子を殺しかけるという狂乱にこんな事をされたら介護する側が介護疲れに陥るのも仕方がないし施設に入れるしかないと思ってしまうが施設に入れるということは育ててもらった恩を忘れ親を見捨てようとしていることではないのかという考えも出て介護する側の雅美と知久と一緒に⬇︎
読了日:10月28日 著者:久坂部羊
私の男 (文春文庫)の感想花の結婚式前夜から物語は遡っていく。花と淳悟にしか分からない、分かり合えない精神的に閉ざされた世界の中がそこにはある。唯一無二の存在、2人が寄り添って壊れていく様子は怖く哀しいような胸にくる物語。約束した時間を過ぎても結婚式に現れない淳悟。時間が迫り父親不在のまま結婚式を始めようとする周囲。花はうろたえながら叫ぶ「だってお父さんがいないもん!どこにも、どこにも、行けないわ」生きるために、幸せになるために淳悟から逃げようとする花。縛りつけるわけでもなく、縋りつくわけでもなく淳悟は淡々とそれらを受け入れる⬇︎
読了日:10月29日 著者:桜庭 一樹
ジゼルの感想東京グランド・バレエ団の創立15周年記念公演の演目がジゼルに決定し花音は準主役のミルタに抜擢される。このバレエ団には15年前ジゼル役のプリマの真由美が代役の嶺衣奈を襲った末に死亡するという事件が起きジゼルは長い間封印されてきた。公演に向けて準備を始めようという矢先に花音の同期の蘭丸は夜のスタジオでジゼルの衣装を身に纏った真由美の亡霊を目撃する。そして芸術監督の蝶野は事故で大怪我を負いプリマの嶺衣奈は精神的に追い詰められていく。配役の変更で団員の間に不協和音が生じる中、不可解な事件が相次いで…。⬇︎
読了日:10月31日 著者:秋吉 理香子