アタローの読書 -21ページ目

アタローの読書

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2017年2月の読書メーター

毒殺協奏曲毒殺協奏曲感想
毒をテーマにしたアンソロジー。学校で起きた合唱部顧問毒殺未遂事件の真相「伴奏者」毒入りの餌で猫を殺された飼い主の執念「罪を認めてください」アルコール依存の男と同居する主婦が図書館に駆け込み毒の本を借りる所を見てしまったママ仲間は…「ナザル」他8話の短編集。シチュエーションも様々で粒揃い全くタイプの違う毒殺という共通のテーマだがどの話も良かった。印象的だったのは「猫は毒殺に関与しない」「ナザル」「三人の女の物語」だった。
読了日:2月15日 著者:
共犯レクイエム―公安外事五課 (ハルキ文庫)共犯レクイエム―公安外事五課 (ハルキ文庫)感想
プロローグから猟奇的なシーン、そして杉並署少年係の刑事である篠原早紀が登場し少年殺害事件に遭遇し何故か警視庁外事五課へ異動。全く予想の出来ない展開が続く。誰が味方で誰が敵なのか?モグラは誰なのか?緻密に計算され全ての伏線が回収されまとめられている見事なスパイサスペンスだった。
読了日:2月15日 著者:麻見和史
蜜蜂と遠雷蜜蜂と遠雷感想
舞台はピアノコンクール。ピアノの神様から愛された天才と呼ばれる4人を焦点に当てられ国際ピアノコンクールの上層位、現実世界でも神に選ばれし天才が占められているのを本の中で体験出来た。コンテストで優勝を目指しぶつかり合う塵、亜夜、マサル、明石と高校生から社会人の人物が登場それぞれの内面を描き出す文章と人物の造形が相まって絶妙に心に響いた。この物語で風間塵が核だと思った。天真爛漫な性格でピアノを弾かせると聴き手の感情を大きく揺さぶる、ときには人は激怒し、ときに人に涙を流させる。
読了日:2月17日 著者:恩田陸
すばらしい日々すばらしい日々感想
父と母、子ども、ペットと様々なものの生きること死ぬことについて書かれたエッセイ。震災、子どもへの愛、両親の死それらの経験を濾過して一瞬一瞬の大切さや素晴らしさに気づかされ心に響く言葉たち。すばらしい日々、生きているだけで生きていてほしいと思い会える人がいるだけでじんわりと心に響く一冊だった。
読了日:2月18日 著者:よしもとばなな
アルパカ探偵、街を行く (幻冬舎文庫)アルパカ探偵、街を行く (幻冬舎文庫)感想
悲しみを抱えた人たちの日常の謎を解いていくミステリー。悩みを持つ人の前だけに現れ心の引っかかりを取り除く探偵のランスロット姿はアルパカ。従者に黒ずくめの人と謎だらけ。だがランスロットの自らの毛で編んだマフラーなどをプレゼントしてくれたり…。夢のようなふんわりした優しい雰囲気が心地良く。謎だらけのアルパカ探偵に会って見たい。
読了日:2月18日 著者:喜多喜久
サーモン・キャッチャー the Novelサーモン・キャッチャー the Novel感想
場末の釣り堀から事件が始まり冴えない6人の人生が絡まり合いもつれ展開する釣り堀でバイトする女の子、神と呼ばれるおじさん、引きこもりの青年と妹、健康ランドに住んでいる便利屋のおっさん、孤独の末何かしたくてたまらないおばさんと一見無関係な彼らには様々な繋がりがある。彼らが見せる繋がることの奇跡は感動を呼び起こす人の人生は他人との繋がりによって生まれる強い繋がりとは全ては連鎖する君の人生は大したものじゃないでも捨てたものでもない前向きに生きていけそうでサンキャッチャーの消えてしまう虹が降り注ぐイメージがぴったり
読了日:2月19日 著者:道尾秀介
シャルロットの憂鬱シャルロットの憂鬱感想
閑静な住宅街に住む共働きで不妊治療に疲れた夫婦がひょんな縁から元警察犬のジャーマンシェパードのシャルロットを飼うことに。シャルロットと浩輔・真澄夫妻の日常そしてふと紛れ込む小さな謎を解き明かしていく短編集。シャルロットがどれだけ愛おしく可愛いく大切だということを読んでいて伝わってくる。そして近所の人達、ある人は溌剌としある人は親しみがありある人には秘密があって…。シャルロットの賢さ、物語のカギを嗅ぎ当てたり警察犬の本能を取り戻し勇敢な姿を見せるシャルロットの活躍がもっと見たい。
読了日:2月20日 著者:近藤史恵
あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇 (時代小説文庫)あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇 (時代小説文庫)感想
惣次との婚礼をし五代目徳兵衛の嫁となった幸。惣次の商いの才能を尊敬しご寮さんとして五鈴屋を支える。惣次は幸自身と才能にも惚れ込んで微笑ましくこのまま仲むつまじく商い共々と思っていたが次第に幸の才能や商才に嫉妬し惣次は夫として店主として焦りを感じていく。そして大問題が…。幸は商才があり人情味もあるが惣次は商売熱心だが情が伴わずと五鈴屋と夫婦関係これからどうなってしまうのか次巻を早く読みたい。
読了日:2月21日 著者:〓田郁
潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官感想
伊豆諸島の神の出島でミイラ化した女性の遺体が見つかる。首吊りの跡があったことから自殺と断定。警視庁から岩楯警部補が派遣され通常とは違う遺体の状況から赤堀が出動、彼女は遺体に虫の被害が少ないことに疑問を抱く。今作はウジはあまり出ないがその代わりの存在がうじゃうじゃと。想像するだけでゾッとする虫描写が上手い。何故短期間に遺体がミイラ化したのかウジが少ない謎など。犯人は予想通りで動機が微妙だったが物語に惹きつけられるのは流石だと思った。早く次も読みたい。
読了日:2月22日 著者:川瀬七緒
世にも奇妙な君物語世にも奇妙な君物語感想
世にも奇妙な物語のファンである朝井リョウさんが触発されて書いた5編の短編集。「シェアハウさない」シェアハウスの住人の静かな不気味さが怖く住人の彼らは一体何をシェアしているのか。急展開でのラストが秀逸で一番世にも奇妙な物語っぽいと思った。どの作品もブラックな笑い、そしてシュールな結末の物語を集めた短編集。この世界観はまさに世にも奇妙な物語で読み応えがあった。
読了日:2月23日 著者:朝井リョウ
君にさよならを言わない 2 (宝島社文庫)君にさよならを言わない 2 (宝島社文庫)感想
幽霊が見える明。娘を愛する幽霊の小梅、在る少女の生霊、そして去っていった彼らが戻って来るお盆の話。娘を愛する小梅はかつて住んでいた場所から動けぬ地縛霊、20年の時が経った今娘がどうしているのか知りたいと願い…。明の行動力のおかげで幽霊たちが未練を解消出来るという救いをしてあげる明。主人公である明の複雑な家庭事情に少しだけ踏み込んだ描写もあり、ラストもハッピーエンドと読了感も爽やかだった。
読了日:2月24日 著者:七月隆文
猫なんて!猫なんて!感想
谷崎潤一郎から角田光代まで47人の作家や著名人による自分と猫との関わりを綴ったエッセイ。猫を飼ったことによる心境の変化、猫に名前をつけることについて語ったり、どんな野良猫が生き残るかを観察したりなど。ひたすら自由気ままな振る舞いを見せる猫に刺激され夏目漱石の吾輩は猫である、宮沢賢治の童話などが描かれたことが伝わってくる。装丁から可愛く猫好きにはたまらない。
読了日:2月24日 著者:角田光代,片岡義男,村上春樹,堀江敏幸,吉本ばなな,丸谷才一,鹿島茂,小林まこと,横尾忠則,穂村弘,浅田次郎,幸田文,吉行淳之介,長谷川町子,半藤末利子,加藤典洋,谷崎潤一郎,寺田寅彦,柳瀬尚紀,金井美恵子,池澤夏樹,柴田元幸,武田花,大島弓子,小池真理子,いしいしんじ,小倉千加子,伊集院静,平川克美,佐伯一麦,高橋源一郎,平出隆,佐々木幹郎,水木しげる,澁澤龍彦,安西水丸,斎藤環,野坂昭如,中井久夫,中島らも,田村由美,麿赤兒,保坂和志,アーサー・ビナード,田中小実昌,伊丹十三,町田康
サイレンスサイレンス感想
アイドルになりたく雪之島を出た深雪は断念し気の進まない恋人の俊亜貴を連れ結婚の許しを得ようとするが…。田舎ならではの風習や雪之島で深雪に起きた出来事は島の人間たちの善意なのか悪意なのか。それぞれ個人の視点から話が展開されていくが、それぞれの心の内が知れ同じ時別の当事者は何を思っていたのか何が起きていたのかというのも分かり読み進めていくうちにゾッとする。そういうことだったのかと一気読みさせられるのだが私としてはもの足りなかった。
読了日:2月25日 著者:秋吉理香子
向田理髪店向田理髪店感想
財政破綻した炭鉱の町・夕張と思われ何かしら感慨深いものがあった。主人公は閑古鳥がなく理髪店の康彦、彼の目を通して町に起こる様々な出来事や事件が描かれていく。寂れた町の中にある一軒の理容室にいる心配性の店主が関わる。過疎の町で起こる騒動の数々。町の人々の暮らしぶりが全て筒抜けな小さな過疎化の町辛い時はその心遣いが温かくもありでも時には息苦しさを感じずにはいられない良くも悪くも町の人全員が家族のようなそんな共同社会の苫沢町。それと康彦達の親世代と息子の子供世代の対比が描かれ胸が熱くなった。
読了日:2月26日 著者:奥田英朗
円卓 (文春文庫)円卓 (文春文庫)感想
小学3年生の琴子こと「こっこ」と愉快な仲間達をコテコテの関西弁で描かれている。祖父母、両親、三つ子の姉と8人で公団住宅で暮らすこっこ。居間には潰れた中華料理店で貰った真っ赤な円卓がある。孤独に憧れ眼帯に憧れるこっこの賑やかな日常と緩やかな成長。感銘を受けた事を毎日ジャポニカ学習帳にメモするが筆圧が強く時々破れる。読んでいる最中何度も笑い吃音の友人ぽっさんの存在が特に光って良い男の子。日本がこういう時期で何気ない日常の幸せを気付かせてくれる話に心が染み渡ってホンワカした気分になった。
読了日:2月27日 著者:西加奈子
サロメサロメ感想
学芸員の甲斐は未発表版サロメについての相談を受ける。サロメの挿絵で一躍有名になったオーブリー・ビアズリーの姉によるもので…。表紙にも使われている「お前の口に口づけしたよ、ヨカナーン」19世紀末のイギリスの画家ビアズリーの生涯。退廃的で蠱惑的で美しいその絵を描いた。短い生涯と画業そしてオスカー・ワイルドこれらにビアズリーの姉メイベルが絡み愛憎はより深まる。それはまるでサロメのように運命の女になりたかったメイベル。それぞれが思い描いたサロメその差が招いた悲劇だったのかも。史実とフィクションを巧く混ぜた物語。
読了日:2月28日 著者:原田マハ