あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた
でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ
あいつはどんな思いで命を絶ったのだろう
そして、のこされた家族は、僕のことを許してくれるだろうか
吉川英治文学賞受賞作

中学2年の9月4日、幼馴染みの同級生だが中学生になってからは疎遠だった藤井俊介(フジシュン)がいじめを苦に自宅の柿の木で自殺した
遺書に書かれた「親友になってくれてありがとう」と真田裕に遺された言葉
藤井さんとも呼べないでいる俊介の父親(あのひと)に向けて書く20年分の記憶
今では一児の父親でもある自分が理不尽や後悔、諦念の人生の物語
幼馴染みではあったが親友と一方的に書かれてしまう裕
一度は断った誕生日プレゼントを贈られ「幸せになってください」と書かれた中川小百合
この2人は遺書に書かれ、まったく望んでいなかったのに他のクラスメイト達とは比べものにならないくらい重い十字架を背負わされてしまう
裕は俊介の父親や弟の健介から、何故救えなかったのかと責められる
俊介は学校の図書室で世界の旅をよく読んでいた
現実逃避で異国の地へ心だけは旅発っていた
彼の旅の最終地はスウェーデンの森の墓地
その丘には十字架がある
裕は、自分の子供が3年生になりその行動を見て何故俊介から親友と呼ばれたのかの意味を悟る
親友という言葉の意味を悟った裕に共感と共に涙しました