黄昏森の秋                   三度目だが毎回違う白滝道 | 黄昏黒猫屋敷ー布人形とイラストの小部屋

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世間からかなりずれている管理人、黄昏黒猫堂こと黒猫が自作人形やイラストを発表しつつ、ニート、ひきこもりなど生きずらさを考える。(画像一覧で作品を見ていただけるとうれしいです。)

 

過行く秋に冬の先駆け

山が冬の眠りにつく前の樹々の輝き

きれいだね うん とてもきれいだ

黄昏森のポン太とサヨ

今年もこの季節が来たんだね

 

(画像と本文は直接の関係はありません)

 

 

 山歩きをしていると、尾根の不自然な人工的な切れ込みに出くわすことがしばしばある。どうも自然地形と思えない、といぶかしんでいると、後でそこが中世から戦国期にかけての山城や砦跡であったことがわかったりする。山城の分布図を見ると、山中どこもかしくも山城で、山が武者で埋まっているような錯覚を覚える。戦国期までは、今でいうのどかな山里などなかったのではとも思える。

 天下泰平の江戸時代になると、物流が活発になり、現在は山奥のようなところに大きな街道あったりしたという。埼玉の秩父地方などは山のどん詰まりのような印象だが、往時は江戸と上州、信州、甲州を結ぶ一大交通の要衝で、2000m級の秩父の山をたくさんの人や牛馬、物資が山を越えていったという。関所もあり、当時の山は相当に賑わっていたらしい。

現在、ツキノワグマの害が問題となり、その肉食性が注目されているが、山に人が多くいた時代、街道周辺で、猟師が立派に生業として成り立っていた時代、仮にツキノワグマに人を襲うような肉食性があったとしても、ツキノワグマからしたら、「人に食われることを怖れなければならない。」状態だったろう。

 現代は人が次々と山を去り、しかも街で脆弱に暮らしている。野生動物からしたら、かつての恐ろしき動物(人間)がおとなしい家畜のようになったのかもしれない。まあ、かつて人間は彼ら野生動物の害悪でしかなかったが、今後彼らとのより良い付き合いを考えていく必要がありそうだ。

 

 

 古い時代の筑波山登山のメインルートだった白滝道は今では辿る人も少ない道標もろくにない途切れ途切れの、忘れられつつある道だ。昨年、2回程この道を辿ったのだが、埋もれゆく道の風情がゆかしいので、11月3日(金)、筑波山麓の六所皇大神宮跡地から筑波山中腹の白滝神社まで歩いてみた。標高差240mの山歩き。

 六所皇大神宮跡地の駐車場に相棒の排気量110ccの小型自動二輪、スーパーカブ110プロを停める。ここが標高60m。昔はこのあたりが登山口だった。筑波山は標高877mだから、標高差800mの結構な登山だ。今ではケーブルカーやロープウェイで山頂まで行ける。

 筑波山麓の六所の里。昔は栄えた土地だったのかもしれないが、今はすっかりひなびた山里だ。

 駐車場からすぐに六所皇大神宮跡地に。明治維新までは筑波山中腹の中禅寺と結びつき、神仏習合の一大修験道の道場だったが、中禅寺ともども明治政府から廃され、中禅寺跡地には筑波山神社が建っているが、六所皇大神宮は再建されることもなく、現在はとある神道系の団体によって跡地が管理されている。社殿はないが、清々しい気を保った気持ちの良い場所だ。

 六所皇大神宮跡地の裏手から古道、白滝道がはじまるが、山仕事の杣道が錯綜するので、さっそく道を間違えたのだが、宮山ピーク(標高126m)直下の磐座(いわくら)の正面に出た。これはラッキー。長さはおよそ10m、高さは3mの巨石。神の御座所と言われている。山と里を行き来する神様の休憩場所、ベンチのような感じだろうか。磐座の右手から、秋のすっかり薄くなった草藪を抜けて白滝道に戻る。

 どうも踏み跡が不明瞭で、昨年通った道とは違う感じがしたが、軌道を修正しつつキャンプ場の端に着いて一安心。そして沢に沿った道をしばらく辿っていく。夏場は涼しげな沢も、11月に入ると、やはりちょっと寒い。

 白滝道はいったん沢を離れ、林道に出る。「白滝」という小さな看板の矢印の方向に5分も歩くと「白滝」の懸かる沢に入り、また白滝道が続く。

 白滝は上下二段の滑滝。岩の大きさのわりに水量が少ないが、神域に入ったような不思議な冷気を感じる。写真は下段の滝。

 上段の滝には水行用の樋が掛かっているのだが、今でも水行をする人はいるのだろうか。上段と下段の滝の間の一枚岩を水が流れる。

 石段を登ると、ここにも磐座のような巨石が。一見危なそうだが、意外と足場が良く、普通に健康な人ならたいして苦も無く登れる。この岩の先が白滝神社だ。

 これまた巨石の上にお社が。ここが白滝神社(標高300m)。岩を登るのは足元が気になる。自信のない人は左側の巻道を行けば社の前に出られる。筑波山神社が管理している小さなお社だが、とても荘厳な感じがする。この社の裏手にも道が続き、観光道路終点でロープウェイ駅のある「つつじヶ丘」(標高500m)に出られるのだが、これが曲者で、昨年はとにかく下草が薄くて、なんとなく人が歩いた形跡を辿りながら、手探りで登って行く感じだった。昨年はつつじヶ丘まで登ったが、この日は時間の関係で、白滝神社から戻る。

 帰り道、古道、白滝道。ずっとこんな感じならよいのだが、道が不明瞭な部分が多く、おまけに山仕事の道と思われる道に釣り込まれて、三度目だが毎回違ったルートを歩いているような気がする。

 筑波山が良く見える広場に出た。昨年は無かった。たぶん道が違ったのだろう。電波状況がよいので、スマホで現在位置を確認しながら軌道修正できるし、最悪、横切る林道をエスケープルートにして、かなりな遠回りになっても元の場所には戻れる。とはいえ、深山ではないといって侮ると痛い目にあうので、スマホだけでなく、地図と方位磁石は持っていた方がいいと思う。白滝道の場合、それでも狐につままれたように迷う。不思議なものだ。そういえば、白滝神社の大岩のところで、祭囃子が聴こえたような・・・・。

 

 

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