神様でなくなったアオダイショウの独り言 | 黄昏黒猫屋敷ー布人形とイラストの小部屋

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世間からかなりずれている管理人、黄昏黒猫堂こと黒猫が自作人形やイラストを発表しつつ、ニート、ひきこもりなど生きずらさを考える。(画像一覧で作品を見ていただけるとうれしいです。)

オレはアオダイショウだ。茅葺屋根の古民家の屋根裏に棲んでいる。名前はない。

この家には若い陶芸家の夫婦とまだ小さな子供が住んでいる。

オレがうっかり梁から滑り落ちて、子供の前に落ちてしまった時のこと。

「しまった、ガキに悪さをされたらたまらん。さっさと逃げよう。」と思った。

すると、近くにいた、父親が言ったのだ。

「アオダイショウはこの家の守り神だから悪戯したらダメだぞ。」

久方ぶりに聞いたこの言葉。

そうだ、オレ達、アオダイショウは遠い昔から、

田んぼを守る水の神で、家を守る屋敷神だったのだ。

人間たちはオレ達を畏敬の念で見ていたものだ。

「うん、わかった。じゃあ、ヘビさん、バイバイね。」

その子供の声を後ろに、オレは退散した。そうだ、オレ達は神様だったのだ。

それが今じゃどうだ。ちゃんと親が子供に伝えなかったことで、

こんなことを言う人間が出てきた。

「ヘビが庭にいました。子供が噛まれるといけないので、駆除して下さい。」だと。

ああ、眩暈がする。何もしていないのに神様から転落して、まるで悪魔扱いだ。

人間の爺様や婆様たちがちゃんと伝えなかったせいでオレ達は駆除されるのか。

そんなことがあってたまるか。オレ達は先祖代々この土地に住んでいるのだ。

でも、市役所の広報を知って安心したよ。それによると、次のようだ。

「ヘビは生態系をなす自然の生き物なので、市では捕獲、駆除、追い払いは行いません。」

この後に、人間とオレ達蛇との付き合い方が具体的に書かれているらしい。

神様という言葉はなくなったが、どうやら人間は同じ地球の生き物として、

オレ達と付き合っていくつもりらしい。

まあそうしないと、最後には人間が自分で自分を駆除することになるからな。

で、なんでオレがそんなことを知っているのかって。それはだな、

この家の主の陶芸家夫婦がオレ達生き物と話ができるからだよ。

奴らのような、オカルトでいうところの異能者からオレ達はいろいろ情報を仕入れるのさ。

それじゃ、今日はこのへんで、失礼するよ。

 

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