情報提供者
「(空を指さして)あれですね。」

ディレクター
「(上空を見ながら)あー、あれですか。
 あの大きい雲の左側の・・・。」

情報提供者
「そうですそうです。」

ディレクター
「確かに点のようなものが見えるけど・・・。
 (カメラマンに)映ってる?」

カメラマン
「(上空にカメラを向けながら)んー・・・。
 遠くて見えない・・・。」

ディレクター
「ズームにしたら?」

カメラマン
「そうするとブレちゃって映らない。」

ディレクター
「カメラにおさめるのは難しいかなぁ。
 (上空を見て)・・・アレ、どのくらいの高さなんでしょう?」

情報提供者
「地上25mはあるかと・・・。」

ディレクター
「そんなところに・・・。」

情報提供者
「はい。
 最初に見つけた時はビックリしました。」

ディレクター
「昼間なのに肉眼でハッキリ見えますけど・・・。
 アレ本当にそうなんですか?」

情報提供者
「間違いないです。」

ディレクター
「まさかあんなところに・・・。」

情報提供者
「はい。」

ディレクター
「幽霊が・・・。」

情報提供者
「そうなんです。
 最初は風船か何かかと思ったのですが、ずっと動かなくて。」

ディレクター
「なるほど。」

情報提供者
「で、望遠鏡で見てみたら幽霊でした。」

ディレクター
「今、望遠鏡お持ちですか?」

情報提供者
「はい、こちらに。
 ちょっと角度調整しますね。」

ディレクター
「お願いします。
 (カメラマンに)映ってる?」

カメラマン
「このカメラじゃ無理かも。」

情報提供者
「あ、望遠鏡の準備できました。
 どうぞ。」

ディレクター
「では、失礼して・・・。
 (望遠鏡を覗く)あー、これか。」

情報提供者
「ハッキリ見えますよね。」

ディレクター
「えぇ。
 頭に三角のヤツつけてますね。」

情報提供者
「白い着物着てますよね。」

ディレクター
「そもそも何故あんなところに幽霊が?」

情報提供者
「あの辺、昔、墓地だったみたいです。」

ディレクター
「え、墓地?
 あの高さに墓地?」

情報提供者
「すごく昔の話です。
 長い時間かけて大地が浸食されて
 墓地はなくなっちゃったんですけど。」

ディレクター
「そうなんですね。
 でも、そういう場合、幽霊って降りてこないんですか?」

情報提供者
「ごめんなさい。
 私、幽霊にそこまで詳しくないので。」

ディレクター
「いや、私も詳しくないですけど・・・。」

情報提供者
「とりあえず、昔墓地だったので、
 あそこに幽霊がいてもおかしくないかと。」

ディレクター
「なるほどです。
 ありがとうございました。」

情報提供者
「望遠鏡、片付けますね。」

ディレクター
「・・・昼間に望遠鏡で幽霊見るとは思いませんでした。」

情報提供者
「これ、テレビで取り上げていただけますか?」

ディレクター
「映像に残せればいいのですが・・・。
 (カメラマンに)どう?」

カメラマン
「一応、許可はもらってるので、
 ドローン飛ばしてみようかと。」

ディレクター
「なるほど。」

カメラマン
「ここから真上ですね。」

ディレクター
「そうだね。
 顔、至近距離で見えるかな。」

カメラマン
「近くまで飛べれば。」

ディレクター
「じゃあお願い。」


(ドローン真上に飛んでいく)


ディレクター
「(上を見ながら)どうかな?」

はたき落とす音
「バチン!!」

ドローンが落ちる音
「(ドローン落ちてくる)ポトッ。」

ディレクター
「(落ちてきたドローンを見ている)・・・。」

カメラマン
「・・・。」

ディレクター
「・・・見た?」

 

カメラマン
「見ました。」

ディレクター
「飛んできたドローンを片手ではたき落としたよね。」

カメラマン
「えぇ。
 コバエをあしらうように。」

ディレクター
「・・・え、アレ本当に幽霊ですか?」

情報提供者
「幽霊ですよ。」

ディレクター
「ドローンはたき落としましたよ?
 実体がありますよ?」

情報提供者
「幽霊だって近くをドローンが飛んだらはたき落としますよ。」

ディレクター
「はたき落とせないんですよ。
 すり抜けちゃうから。」

情報提供者
「幽霊じゃないのなら、アレなんなんですか?」

カメラマン
「(上空を見ながら)・・・マジシャンじゃないですか?」

ディレクター
「・・・え?」

カメラマン
「マジシャンですよ。
 空中浮遊マジックの練習中。
 あそこなら誰にも邪魔されないですから。」

ディレクター
「・・・ごめん。
 幽霊にしてもマジシャンにしてもぶっ飛んでるから賛同できないわ。」

カメラマン
「(上を見ながら)・・・確かに飛んでますね。」

ディレクター
「あ、違う。
 『ぶっ飛んでる』って『発想』が。」

情報提供者
「しっ!静かに!」

ディレクター
「・・・なんですか?」

情報提供者
「あの幽霊、何か言ってません?」

ディレクター
「え・・・(耳をすませる)?」

飛んでいる物体
「・・・1枚・・・2枚・・・。」

情報提供者
「1枚2枚って言ってる!
 1枚2枚って言ってる!
 皿数えてるんですよ!
 幽霊です!」

ディレクター
「(上を見ながら)・・・あそこで皿数えますか?」

情報提供者
「幽霊に理屈は通用しないんです!」

ディレクター
「・・・確かに幽霊の議論してる時点で、
 理屈もへったくれもないですけど。」

カメラマン
「あ。
 ドローン、もう一度飛ばせそうです。」

ディレクター
「音撮れる?」

カメラマン
「撮れます。」

ディレクター
「ちょっと幽霊から距離をあけて飛ばして。
 はたかれないように。」

カメラマン
「わかりました。」


(ドローン浮かび上がる)


ディレクター
「(スマホを見ながら)いいよ。いい感じだよ。」

カメラマン
「まもなく同じ高さになります。」

情報提供者
「声聞いてみましょう。」

ディレクター
「・・・。」

飛んでいる物体
「51枚・・・52枚・・・。
 はい、タネも仕掛けもないトランプだとわかりましたね・・・。
 では、1枚引いてください・・・。」

ディレクター
「・・・うん。
 マジシャンですね。」

情報提供者
「皿じゃない。
 トランプ数えてた。」

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

あり得ない幽霊の目撃情報というところから、

昼間の上空に幽霊が見えるという設定を思いつき、広げていきました。

 

セリフがある役は4人いますが、上空に浮いている人は舞台上には出てこないので、

実質3人で実演できます。

ほぼ上を向いたままの演技になりますが。

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】探偵
【コント】ドッキリ#3
【コント】三年寝太郎
【コント】将棋#2
【コント】金の斧、銀の斧#4

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

【実演したい方へ】

本ブログのコントは自由に演じていただいて構いません。

アレンジや改変も自由です。

アメブロのメッセージ機能やtwitterのDMで一言いただけると、励みになります。