(立っている)

片倉景綱(伊達政宗の家臣)
「(周りを見回しながら)政宗さまー!政宗さまー!
 どこにいらっしゃいますかー!(男の前を通り過ぎる)」


「・・・ふふふ。片倉め、気づいてないな。
 何を隠そう、私が伊達政宗。
 たまにこうやって変装して城下での生活を楽しんでいるのだ。」

片倉
「(周りを見回しながら)政宗さまー!政宗さまー!(政宗の前を通り過ぎる)」

政宗
「・・・バレてないな。
 眼帯を外すというこの変装、完璧だ!
 さて、今日は何をしようか・・・。」

片倉
「(切羽詰まった顔で走りながら)政宗さまー!どこですか?!
 至急、城に戻っていただきたいのです!
 政宗さまー!!(政宗の前を通り過ぎる)」

政宗
「・・・随分、切迫詰まってる感じだったな。
 まぁ、いいか。
 さぁ、どこに行こう。」

館内放送
「ピンポンパンポーン。
 仙台城からお越しの伊達政宗さま。至急お城にお戻りください。
 お連れさまがお待ちです。
 ピンポンパンポーン。」

政宗
「・・・なんだろう。そんなに急用なのかな。
 いったん帰るか・・・。」

片倉
「(走ってくる)政宗さまー!!」

政宗
「(片倉の前に立つ)どうした?!」

片倉
「ええい!どけぃ!!(走っていく)」

政宗
「いやいやいや!政宗だよ!!
 『ええい!』じゃないよ!!
 ちょっと!!・・・行っちゃった。
 長い人生で初めて言われたよ、『ええい!』って。
 あ、戻ってきた。」

片倉
「(走ってくる)政宗さま!どこですか?!」

政宗
「(片倉の前に立つ)ストップ!!」

片倉
「・・・ん?なんだ、お前は?」

政宗
「(自分を指差し)ワタシ!ワタシ!」

片倉
「・・・誰?」

政宗
「まさむね!」

片倉
「・・・マサムネ?」

政宗
「だて!」

片倉
「ダテ?」

政宗
「そう!」

片倉
「マサムネ ダテ?」

政宗
「欧米か!」

片倉
「誰ですか?」

政宗
「ワタシワタシ。(手で右目を隠す)」

片倉
「あ、政宗さま!」

政宗
「いや気づけよ!主なんだから!」

片倉
「すみません。」

政宗
「で、なにがあった?(右手を隠すのをやめる)」

片倉
「あれ、政宗さまー?政宗さまー?(あたりを探す)」

政宗
「ここ!ここ!(手で右目を隠す)」

片倉
「政宗さま、どこに行ってたんですか。」

政宗
「目の前だよ!」

片倉
「政宗さまに急用がございまして・・・。」

政宗
「急用・・・?(右手を隠すのをやめる)」

片倉
「政宗さまー?!政宗さまー?!」

政宗
「ああっ!もう!(手で右目を隠す)」

片倉
「政宗さま!突然いなくならないでください!」

政宗
「いるんだよ、ずっとここに!!
 もうめんどくさいなぁ!(ポケットから眼帯を出して、右目につける)」

片倉
「あぁ、いつもの政宗さまだー。」

政宗
「ワタシ、そんなに素顔の印象ない?」

片倉
「眼帯が本体だと思ってます。」

政宗
「オマケの部分多すぎだろ!
 え、試しに眼帯をお前につけてみると・・・。(片倉に眼帯をつける)」

片倉
「伊達政宗だが、何か用か?」

政宗
「なんでお前が伊達政宗名乗るの?

 外すと?(片倉の眼帯を外す)」

片倉
「政宗さまー?政宗さまー?」

政宗
「つけると・・・?(片倉に眼帯をつける)」

片倉
「いかにも、ワタシが伊達政宗だ。」

政宗
「どういうこと?!
 『伊達政宗』って何?概念?
 眼帯をつけた人に贈られる称号?
 とりあえず、これ返して。(片倉から眼帯を外して、自分につけようとする)」

サル
「キキーッ!!(政宗から眼帯を奪い逃げていく)」

政宗
「あぁっ!ワタシの眼帯!!」

片倉
「(サルを追いかける)政宗さま!政宗さま、お待ちください!!」

政宗
「(片倉を追いかける)そいつは政宗じゃないからね。
 さっき、眼帯が本体と思ってるって言ってたけど、本体、ワタシだからね!」


(5分後)


片倉
「(高いところを見上げて)政宗さまー!政宗さまー!」

政宗
「(走ってやってくる)はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。走るの早いよ。」

片倉
「(高いところを見上げて)政宗さまー!降りてきてください!!」

政宗
「(片倉が見上げている方を見る)あ、さっきのサル、電柱の突端に座ってる。眼帯つけて。」

片倉
「(サルに向かって)政宗さまー!
 危ないですよ!降りてきてください!!」

政宗
「そのセリフ、おかしいと思わない?
 伊達政宗が電柱の突端に居座ったことないでしょ?!」

片倉
「(サルに向かって)政宗さまー!政宗さまー!」

サル
「(下に向かって)キキーッ!!」

片倉
「ちょっと何言ってるかわからないです!」

政宗
「わからないよね。ワタシもわからないもん。」

片倉
「(サルに向かって)政宗さまー!
 危ないですから、電柱から降りてきてください!!」

政宗
「言葉だけ聞いてると、『政宗、どうかしちゃったのかな』って思われるから、
 あんまり大きな声で呼びかけないで。」

サル
「キキーッ!(眼帯を外し、政宗たちの方向に投げる)」

政宗
「あ、眼帯!!」


(次の瞬間、突然飛んできたカラスが眼帯を咥えて飛んでいく)


片倉
「あぁっ!政宗さまー!!
 お待ちください!!(カラスを追いかけ走り出す)。」

政宗
「なんでいろんな動物に盗られるの、あの眼帯?!」


(5分後)


カラス
(眼帯をつけて、ゴミを漁る)

片倉
「政宗さま!
 ゴミなんか漁ってないでお城にお戻りください!」


(5分後)


キリン
(眼帯をつけて、のんびり木の葉っぱを食べている)

片倉
「政宗さま!もっとまともな食事をお取りください!」


(5分後)


ヒラメ
(眼帯をつけて、のんびり水槽の中を泳いでいる)

片倉
「政宗さま!泳いでる場合じゃないです!
 早く城へお戻りください!」


(5分後)


マネキン
(眼帯をつけて立っている)

片倉
「政宗さま!!
 なんとか言ってください!!」


(5分後)

片倉
「はぁ・・・。はぁ・・・。はぁ・・・。
 政宗さまを追い回していたら疲れた・・・。」

政宗
「こっちも疲れたよ・・・。」

片倉
「政宗さまはどこに・・・。」

政宗
「ここだよ、ここ!(右目を隠す)」

片倉
「あ、政宗さま!
 こんなところにいたんですね。」

政宗
「いた!ずっといた!」

片倉
「政宗さまに至急、城に戻っていただきたくて。」

政宗
「なにかあったの?」

片倉
「新しい眼帯が届いたそうです。」

政宗
「こんなに走る意味なかったじゃん!!」

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

伊達政宗が眼帯を外すだけの変装、という発想から広げたコント。

眼帯、隻眼などの言葉を絡めたオチにしたかったのですが、思いつかなかったのでこんなオチになりました。

 

【上演メモ】

人数:2人~

政宗

片倉

 

所要時間:5分~6分
上演難易度:★★★☆☆
備考:最低でも政宗と片倉の2人がいれば成立すると思いますが、終盤のいろんな動物が眼帯をつけていくコントは舞台上では難しいです。

ここだけアニメーションにするとか、ぬいぐるみを置くなどの工夫が必要になります。

ただテンポが大事なので、素早い転換が必須です。

 

眼帯を政宗と片倉が交互につけるシーンはちょっと衛生上よくないので、何らかの工夫が必要です。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】夏目漱石
【コント】自由研究#4
【コント】断捨離
【コント】今後の活動に関する記者会見
【コント】松岡修造が消えた日

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

・内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。

・お題をいただいてから、公開までに数か月かかることがあります。

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