ガサ入れ300回 元マルサの税理士 飯村正三 です。
前回はマルサの4Kについてお話ししました。そんな職場は誰でも辛く嫌ですよね。
そのため国税組織の中でもそんな辛い仕事を行うマルサへの希望者はほとんどいませんでした。
私もマルサを希望したわけではありません。職務命令でした!
しかし、今はマルサの仕事をやってきて本当に良かったと思っています。
マルサの仕事を通じて得たものが今の自分にしっかりと活かされているからです。
それがマルサの4K(その2)です。
この厳しい職場環境の中で生きていくに必要なものです。
4K ⇒ 健康、気力、根気、経験
・心身ともに健康な体力!
・仕事に真っすぐ向かう気力!
・最後まで諦めず根気よく頑張る力!
・色々な場数を踏んで培う経験力!
これらが備わればマルサでやっていけます。どこの職場でも同じですよね。
でもこれがなかなかできない。
特に一番目の健康が重要です。
私がいた実施部門は、脱税の疑いがある人又は法人(「嫌疑者又は嫌疑法人」といいます。)の調査を行って検察庁へ告発するところです。
相手がすぐに「すみません。脱税やっていました。」という人は殆どいません。
なんだかんだと言って逃れようとします。実際に現場から逃亡した者も結構いました。
それはまた機会を作ってお話します。
そんな人たちに真実を話してもらうために
こちらは、心身ともに健康で気力が充実し、粘り強く根気よくやっていかなくてはなりません。
そのためにどうするのか。それは相手を知ることです。
では、どうやって相手を知るのか。
その方法が「物読み」です。
物読みとは、押収したメモ、帳簿書類、資料などから、脱税の手法や金額だけでなく、相手が育った環境、家族や取引先との関係、お金に対する考え方などなど、押収したあらゆるものから今に至る経緯、相手を形作った経緯を可能な限り情報収集し、相手と対峙するための武器とする大切な作業です。
人の行動は必ず動機があり、動機は心の欲するところから始まっています。
「物」は相手を知る宝の山なのです。これは根気のいる作業です。
この物読みができれば「実施マルサ」としての自信が付きます。
でもこれだけでは、まだまだ一人前ではありません。
もう一つ重要なことがあります。それはまたの機会にお話しします。
いずれにしてもマルサで生きていくためには、4K(その2)が重要です。