新日本 シカゴ、台湾大会TV観戦記 | 俺ってデビルマン!?

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知ってる人は知ってるし、知らない人はまったく知らない…私、元・週刊ゴングの鈴木淳雄と申します。かつて所属していたプロレス業界に限らずに、今現在の私をありのままに記していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 コロナ渦で中断されていた新日本プロレスの海外戦略が。再び大きく動き出した。今回はアメリカ・シカゴと台湾・台北での興行。しかもその両方をCSテレ朝チャンネル2で生中継する!という熱の入れよう。


 特に今回は同じブシロードグループのスターダムの選手もこの2興行はもちろん、それ以外の興行にも参戦しており、同グループが本気で海外に進出しようという熱意が伝わってくる。そうなるとこれはこの2団体に限らず、日本マット界全体にとっても大きなプラス材料といえるのではないだろうか!?


 日本マットへの注目度が今以上に高まれば、当然、日本の他団体にもその視線は向けられる。そこでその団体が門戸を解放していれば、その団体にとっても少なからず恩恵に授かれるだろう。海岸進出はその当事者団体だけに限らず、日本マット界全体にとっても悲願といえる。


 だからこそ、この海外興行は何としても成功してほしいところ。そういった意味から好意的な目で、今回の海外二連戦をTV観戦してみた。


 まずは2024.4.13(現地時間)シカゴ大会。観衆は6028人(公式発表)ノーマークだったが、さすがにNJPWのアメリカ支部が定期的に興行をおこなっているだけあって、会場の雰囲気は大歓迎ムードで終始熱気に包まれていた。


 そして舞台はアメリカということもあり、ハードコア・スタイルも女子プロレスも、何の違和感もなく受け入れられている。それはやはり今日の米マットにおいて、すべてWWEがスタンダードであり、そこでやっているものは“すべてOK、むしろない方が不自然”という理屈なのだろう。


 当然、そこは新日本のプライドなのか、リングマットには『NJPW STRONG』という文字が刻まれてはいるが、実際にリング上で行われている闘いは近年の新日本そのまま。とてもかつてのストロングスタイルをイメージさせる闘いではない。つまり『STRONG』の文字は一種のブランド名であり、そこに深い意味はない、といった感じだ。


 でも世界戦略という意味においては、むしろそれでいいと思う。『郷に入っては郷に従え』ではないが、余所の国に行って日本流を貫き、現地のファンにそっぽを向かれていたのでは意味がない。


 例えば日本で燻っている選手が、或いはアメリカに行けば大コールを受けるかも知れない。要はその国に合った選手で、その国に合ったスタイルをすればいい、ということ。


 だからHOTなどは、意外に海外向きの選手たちなのかも知れない。昔の日系ヒール・レスラーのように、小細工ばかりで正統性ファイトをしようとしない小狡い軍団は、勧善懲悪、アメリカン・ヒーローを支持する米マットでこそ、華開く気がする。内容よりも正義が勝てばそれでヨシ的な、かつてのハルク・ホーガン的な世界の敵役にピッタリだ。


 でも日本ではこれまでの輝かしい歴史があるから、そんな単純には割りきれない。これも『郷に入っては郷に従え』で、日本でWWEの真似事をしても、簡単に受け入れられるはずがない。それは近年の新日本マットを見れば、一目瞭然。そこに真の『ストロングスタイル』が根付いてしまっているのだから、拒否反応が起こって当然だ。


 つまり新日本プロレスとNJPWは看板は同じだが、売っている商品は別物のお店、と考えた方がいい。どこの国でどんなスタイルが求められているのか、これをしっかりと見極める必要がある。


 で、今回のメインだが、新日本の最高峰・IWGP世界王座がモクスリーに奪われてしまった。せっかく先日の辻戦から、内藤と新世代勢の世代闘争が本格開戦する!…と思っていたのに、まさかの海外流出。しかも主力選手に続き、大事な至宝までAEWに奪われた。


 しかもモクスリーといえば、ノーDQファイト(ハードコア)がウリの選手。海野や成田との防衛戦が既に予定され、それは国を越えた世代闘争といえなくもないが、新日本来のストロング・スタイルとは掛け離れた試合展開になるのは目に見えている。しかし今の新日本プロレスというのは、本当に悪い意味でことごとく期待を裏切ってくれる団体だ。


 いずれにしても、今回の米国興行に関しては、成功といえるのではないだろうか? 何をもって成功か失敗かはその物差しによって変わってくるが、いいムードのままいい感じで興行を終えた、という点でいえば、充分に成功だった気がする。


 で、続く台湾興行。会場となったZepp New Taipeiを調べてみると、座席設置で収容人員は1025人。プロレス興行においてリングを設置する関係で座席数は削られるので、公式発表にある800人(満員)というのは無難なところ。


 ただ実際の中継を見ると照明はリング上だけに限られており、客席は暗くなっていてどれだけお客さんがいたのか、そしてそのお客さんがどんな反応をしていたのか、まったく分からない。これではせっかくの海外興行を観戦している意味がない。


 しっかりと支部まで作って根付かせているアメリカ興行と違って、始めたばかりのアジアサーキットでは、思惑通りにいかないことは多々あるだろう。それでも企画自体は素晴らしいことだし、何とか今後も継続していってほしいし、成功してほしいところ。


 ならばその国特有の色を出し、その国ならではの新日本プロレスの興行というものを、しっかりと築いていかなければならない。今回の台湾興行に関していえば、日本の地方大会をそのまま持っていった、という結果になったような気がしてならない。


 もちろん、始めたばかりのアジアサーキットだから、今回が失敗だとか、やる意味がない、なんていうつもりは毛頭ない。問題はここからどう発展させていくか、である。


 いずれにしても、これが日本が誇るメジャー団体、といえる興行を海外でも連発していって欲しい。まさに新日本の底力、と胸が張れる興行を。



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