本当に中嶋勝彦はこのまま全日本マットから撤退してしまうのだろうか？
確かに闘魂スタイルの理屈はかなり強引だったし、版権権利者からのクレーム以降、闘魂の2文字の上に✕✕とテープを貼り、未練タラタラな姿勢はみっともなさや惨めさすら感じていた。
最終的には、まさしく道化師と化してしまった訳だが、それでもプロレスラー・中嶋勝彦という存在力と、あの刺激的なファイトは現代プロレスが失いつつある魅力を、最大限に秘めている貴重な存在。このまま全日本マットから完全撤退してしまうには、余りにも惜しい。
私が色々な人から聞いた話では、やはり黒幕は存在したという。もしそれが事実ならば、責められるべきはその黒幕であり、中嶋個人ではないはず。もちろん、マリオネットのように操られていたとしたら、それは中嶋個人にも責任は伴う。
しかしもし、中嶋が様々なしがらみから解き放たれ、鎖から解き放たれた野獣と化してきたら、これほど魅力的な存在はない。そもそもレジェンドレスラーの真似事をして勝負しようとする現代レスラーの安易さと、それを推進しようとするブレーンの存在が、一番の問題点だと私は思う。
昔の学生プロレスではないのだから、なぜ安易に他人の真似に走るのか？もっと純粋に自分の能力や個性を高める努力をしないのか？『虎の威を借る狐』ではないが、他人の光明を借りて自分の輝きを増し、それで本当に嬉しいのだろうか？プロとしてのアイデンティティーはそれで保たれるのだろうか？
レジェンドたちの映像を見て、研究勉強をするのは素晴らしいことである。それを自分のファイトに取り入れて魅力が増すのであれば、それはドンドンやればいい。ただ技術を学ぶのはいいことだが、明らかにその人と分かるパフォーマンスや、その代名詞をそのまま使うのはどうだろう？
やるのであれば、自分の能力のなかの１つとして他人に気付かれず、自分のファイトに取り込んでしまう、ぐらいのしたたかさが欲しい。要は他人の技術を盗むのはいいが、その人の名前で勝負するな、ということ。
これは私の個人的な希望だが、中嶋は洗脳から解けた別人、いや本来の中嶋勝彦として、再び全日本マットに戻ってきてほしい。闘魂などという他人の威光ではなく、新たな自分だけの代名詞を引っ提げて、王道マットに舞い戻ってほしいものだ。
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