三大メジャーに課された使命 | 俺ってデビルマン!?

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知ってる人は知ってるし、知らない人はまったく知らない…私、元・週刊ゴングの鈴木淳雄と申します。かつて所属していたプロレス業界に限らずに、今現在の私をありのままに記していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 ようやく三大メジャーが、いずれも若い力の台頭、そして世代交代を本気で後押しする気になったようだ。このブログでその必要性を散々解いてきた私に言わせれば、既に遅すぎるきらいがあるが、それでもその流れになってきたことは、見る側にとっては本当に喜ばしいこと。


 だって業界がジリ貧傾向から復活を果たすときは、いつだって若い力の台頭が必須だったから。それは過去の歴史を見れば一目瞭然。それを分かっていながらそこに踏み出せないのは、現状がジリ貧傾向にある事実を、現在仕切っている御偉方たちが認めたくないからなんじゃない?そして現在のトップ選手たちも、この現状を変えたくない、という思いがそこにあったからなんじゃない?


 そもそも、一番の問題は新日本、全日本、ノアと各団体を仕切っている人間(ブレーンといわれる頭脳を担う人間)たちが、その団体の核心、大事な部分を本当に理解しているのかな?という疑問。目先の話題性、奇抜さばかりを重視して大事な部分をないがしろにしてしまった結果が、今のジリ貧傾向を生み出していることは明らかでしょ?


 WWEを見てごらん、団体もファンも、過去に多大なリスペクトをして、なおかつ新しいことにも挑んでいく、そういう姿勢を常にキチンと示している。一方の日本は、過去にこだわるファンを批判して新しいことを強引にやろうとするから、オールドファンが離れていく。かといって新しいファンが爆発的に増えている訳でもないから目減りしていく、その結果が今でしょ?


 外部の力を使って一時的な利は得ても、それが本当の団体に定着した人気にはならない。一時的なものは、あくまで一時的な価値でしかない。本当の人気は、そこに永く根付いたもの、それを増加させてこそ、生み出されてくるもの。それも過去の歴史を見れば分かること。


 では外部の力は不要なのか?というと、それも決してそうではない。限られた戦力、限られた能力だけで競っていては、コップのなかの嵐で終わってしまう。平凡は時に退屈となる。より多くの目耳を集めるために、大きな刺激となる外部戦力は絶対に必要。フリーも外国人選手も、世界を拡げるためには絶対に必要だ。要は誰がイニシアチブを握るか、オーケストラのタクトを振るのは誰なのか?そこである。


 歴史ある団体で真の主役となりえるのは、やはり生え抜きのスターである。外様は一時の主役となり得ても、正統継承者にはなり得ない。外様が真の主役になりたければ新たな団体を創り、0から歴史を築いていかなければならない。


 例えば高山善廣は、プロレス界の帝王として歴史に名を残した。日本人で初めてグランドスラムを達成(三大メジャー王座獲得)し、今でもファンの心に強烈に印象に残っている。


 だが、どの王座も外敵として獲得したものであり、所属選手として獲得したものではないため、団体の歴史を振り返るときにあまり語られることはなく、真の主役とはなり得ていない。三銃士、四天王に続く歴史の継承者になっていてもおかしくない存在だが、そうなっていないのは城を持たない将だったからだろう。


 オカダカズチカが外様ながら新日本の継承者になれたのは、それはかつての所属である闘龍門(現ドラゴンゲート)で何の実績も残せていないド新人に過ぎなかったから。まだ色の付いてない若手が新弟子から始め直したからこその抜擢だったといえる。


 でも、人気面で内藤哲也を上回れなかったのは、やはり新日本の本質を理解しきれていなかったからだと思う。そもそも新日本が好きで新日本に入ってきた人間と、自らの可能性を拡げるために移ってきた人間とでは、根底で違いが出てくるのも当然。


 棚橋や内藤も新日本の色を変えた張本人ではあるが、それでも生え抜きならではの精神や技術が時折顔を覗かせている。現在の新日本はルチャ化し、エンタメ路線に走っている傾向にあるが、それでもその根底にあるストロングスタイルを、決して完全に捨てきれてはいない。それは生え抜きの若手を見れば分かること。


 新日本には猪木の、全日本には馬場の、ノアには三沢のイズムが宿っている。そして、それをずっと支持してきたファンがいる。 それをないがしろにされれば、ファンは怒りを露にする。例えそれが生き残るための手段であったとしても、他にも方法はあるはず、見る側の人間には常にそういった理屈が常に頭に渦巻いている。


 多少毛色の違う選手であっても、それが生え抜きであればファンは支持をする。それはその選手の根底には、その団体に根付いている愛情、精神が垣間見れるからである。一方、外様の選手が無理矢理色を変えようとすれば、オールドファンは露骨に拒否反応を示す。だから新世界を築こうとするのだが、それを強行するとファンは背を向ける。


 オールドファンと新規のファンを共に掴むには、生え抜きの新世代選手が時代を司ること。その選手が心からの団体愛を見せれば、これまでと違った傾向に走ろうとも、ファンはそれを支持してくれる。だからこそ生え抜き選手の台頭が重要なのである。


 もちろん、皆が皆そううまくいくとは限らないが…。例えばいくら生え抜きであっても、あまりに外部かぶれしているような選手となれば話は別。「何のために最初にこの団体を選んだの?そんなにそっち系の選手になりたければ、そっち側に行けばいいのに」では支持される訳がない。


 逆に外様であっても、その団体の本質を深く理解し、常にそこをアピールするしたたかさがあれば、支持者を増やすこともできるとは思うが、その道は極めて困難だろう。


 愛着や愛情は深くなればなるほど、その思いは強くなる。その本質を理解せずに無理に改革しようとすれば、その愛情が深い分だけ怒りの感情は増し、やがて憎しみに変わることもある。団体が変革をしようとするのであれば、より繊細な計画が必要だ。


 誰がするのか、どのようにするのか、その選択を間違えなければ、必ずや支持者は増えていくはず。だから三大メジャーには三大メジャーの、大事なものをしっかりと継承し、なおかつ理想の団体に近付いていってほしい。



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