新人賞に関しては、私は昨年、斉藤兄弟を選んでいるので当然今年はなし。で、昨年東スポ大賞で選ばれた全日本の安齊勇馬が、今年の私の選ぶプロレス大賞の新人賞ということで文句無し。
女子に関しては、東スポに選ばれた中野たむにしても、IWGP女子王者の岩谷麻優にしても、あくまで私の感想としては、今年を代表する活躍をしていたとは思えない。むしろその2人はタイトルマッチをやってはいたが、やや影が薄かったように感じる。
毎年、スターダムの赤いベルトを巻いた王者は、守ることを重視しすぎるためか、挑戦者の良さを引き出そうとしすぎるのか、いずれにしてもインパクトが薄れる傾向にある。挑戦者を輝かせ、なおかつ自分も最大の輝きを放って勝利する。それができて初めて“絶対王者”なんだけどな。
中野に関しても岩谷にしても、ベルトを巻いて存在感が薄れた気がするので、今年はこの二人の受賞はなし。むしろ1年を通じて目立っていたのは鈴季すず、舞花、そしてジュリアの3人だったと私は思う。
中でもジュリアは最高峰王座の赤いベルトを3度防衛した後、4度目の防衛戦で中野に敗れて王座を転落してしまったが、7月に新日本の管理するSTRONG王座を奪取。日本&米国で6度の防衛を重ね、常に話題を振り撒いている。
その浮き沈みも含め、ドラマティックなところがある意味、主役を張っていたのではないだろうか。王座の乱立という点においては私は断固反対だが、赤とSTRONG 合わせて9度の防衛は立派だし、話題的にも文句なし。
唯一のネックは昨年も受賞していることで2年連続という重責だが、他の選手らと比較して消去法していっても、やはりジュリアが適任なのではないか。中野に関しては仕方のないことだが、敗れて王座転落ならまだしも、怪我で返上という結果でマイナス要素は多い。
別に個人を責めるつもりはないが、王者が選手権に出てこれなかったということは、その役割を全うできなかったということ。しかもその事実が判明していながら、すぐに返上して王座決定戦を行わずに防衛戦は延期という訳の分からない、当日チケットを買っていたファンに対する裏切り行為ともとれる団体側の不手際も含めて、赤いベルトの価値は凋落した。
次に王座決定戦を行なう鈴季と舞華には、この王座の名誉挽回、汚名返上の活躍を期待したい。そして中野には、いつか最強のチャレンジャーとしてまたこの王座に挑んできてほしい。今の中野に必要なのは、慰めの言葉よりも闘いに挑む戦士への、叱咤激励だと思う。
それにしてもIWGP女子王座って、単なる新日本のビッグマッチの前座を賑やかすためだけに生まれたベルトなの!? 同じ新日本管轄でもSTRONGの方が活発に動いていて、IWGPが動きが少ないというのはいかがなものか!? これはスターダムだけではなく、新日本の方の問題だとも思うけどね。
ただ今後の女子プロレス界を考えると、やはりスターダム一強という形は望ましくない。今年のスターダムの不祥事を振り返れば、強国故の怠慢&傲慢さを感じざるを得ない。こういうときに必要なのは、強力なライバル。その座を脅かす存在だ。
WWE帰りのSaree、ストロングスタイルプロレスのタイガークイーンなど、素材は抜群な選手たちも いるにはいるのだが、どうにもローカルスターの域を抜け出せていない気がする。
SaeewはWWEにいたからその名前は世界規模だが、帰国してからの活動を見る限り、それが活かせていない気がする。やはり個人でやるには限界があるのではないだろうか!?
例えば大企業がスポンサードして新団体を作るのは難しいにしても、ビッグマッチをプロデュースして定期的にイベントを行なう、というのは出来ないだろうか? これにフリーやスターダム以外の選手が結集されるようになれば、強力な対抗組織になるような気がするのだが…。
私はインディーズを否定している訳ではない。でも業界人以外の人たちや、一部マニアの人たち以外にもどこでどんな興行をやっているのか、存在しているのかどうかも伝わっていない、分からないような現状では、正当に評価することもできない。
私がメジャーにこだわっているのは、そういうところである。どんなにいい試合をしていたとしても、それを多くの人に見てもらえなければ評価もされない。こんな状態が続けば、いずれ業界自体も廃れていってしまいかねない。
『小事を捨てて大事をとる』__業界を発展させていくために、今、何が必要なのか? 今こそ、皆で真剣に考えるときなのではないだろうか? 特に女子プロレスという分野は、本当に一大改革が必要だと思う。
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