精神障害を持つ人の看護まとめ | 看護学生時代の勉強ブログ。

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《振戦せん妄》
長時間大量の飲酒を続けていた人が急に飲酒を中止した時に起こる事が多いが、大量の飲酒中に起こる事もある。
飲酒中止後1~3日で出現し、1週間以内に消失する事が多い。
①不眠②夜間不穏③頭痛④易刺激性⑤不機嫌等の前駆症状と意識は混濁し狭窄する。
●3主徴●
①意識混濁があり見当識が障害される。それに伴い気分は不安恐怖苦悶,時に上機嫌。
②幻覚と錯覚:幻視錯視が主、①小動物幻視②小人幻視③情緒的幻視④時にリープマン現象がみられる
③全身性の粗暴な振戦:作業せん妄が見られる事もある

《アルツハイマー型認知症》
①原因不明の脳の一次性変性疾患で脳が全体的に萎縮
 すなわち、神経細胞の萎縮、脱落、脂肪変性が起こる
②発症は通常潜行性で緩徐。記銘力障害で気付かれる事が多い
③病気が進行すると次第に理解力・判断力が低下し、人格水準が低下していく
④夜間不穏、見当識障害、妄想、徘徊、不潔行為が見られるようになり、社会適応が困難になっていく
⑤ダウン症で見られる場合は発症年齢が低い

《統合失調症の幻覚について》
①統合失調症でみられる幻覚は聴覚領域のもの、すなわち圧倒的に幻聴が多い
②対話形式、言語性の幻聴が特徴的で患者を第3人称で言及する
③自分の考えが他人の声となって聞こえる思考化声をとる場合もある
⇨統合失調症の幻覚は幻聴が主だが、器質性精神障害の幻覚は幻視が主である。

《うつ病の症状》
●内因性の症状●
①抑うつ気分
②思考制止
③精神運動制止
④罪業妄想
⑤貧困妄想
⑥心気妄想
⑦うつ病性の混迷
●身体の症状●
①全身倦怠感・易疲労感
②食欲不振・体重減少
③便秘・下痢
④頭痛・頭重感
⑤性欲減退
⑥口渇
⑦肩こり 

《ADHD(注意欠如/多動性障害)》
自己効力感や自尊心低くなりがち、LDや身体運動面、不器用さも併発
薬(コンサータ等)を使った療法もある
①過活動性(多動) 動いてないと落ち着かない、無意識に動いて抑える事できない、意図的ではない
②衝動性 考える前に動く、ブレーキ機能効きにくい⇨怪我が多い
③不注意 ワーキングメモリ(短期記憶)が働かない

《PDD(広汎性発達障害/自閉症スペクトラム)》
保育、指導時は行き過ぎた標準化を求めない。感覚過敏の問題。感覚の鈍さの問題。自律神経系が不安定。
睡眠障害も多い、双極性障害、強迫性障害も多い。未治療だと年齢あがるにつれ併存障害が増える!
ADHD併発で重症化する。1歳児で広めにとる、家族との協力必要
①コミュニケーション障害 会話のキャッチボールが苦手
②社会的相互性の障害 何を言われても動じない
③興味、行動の限局 興味ある事にはとことん突き進む

《LD(学習障害)》
①聴覚的認知の面に困難
②視知覚の認知の面に困難
③社会的近く面の問題
④身体知覚面

《心理検査の基本》
特徴
図ろうとするのは人の精神活動である
より客観性のある情報を得る事を目指している
生理学検査に比べて、結果は相対的なものになる
検査を受ける側の動機付けが必要
結果解釈に検査者の主観や経験が入る
《知能テスト》
⇨WISC-Ⅲ:言語性検査と動作性検査があり、IQだけでなく能力の値の差がわかるのが有用なところ
《投影法》 《質問紙法》
ロールシャッハテスト
⇨:10枚の左右対称のインクが何に見えるか、無意識レベルで多面的・総合的・力動的に把握できる ⇨バウムテスト:家と木と人を描く検査
⇨改訂長谷川式簡易知的機能検査
澤井先生
《注意欠如/多動性障害(ADHD)》
・典型的なADHDタイプは10%位でPDDとの合併が多い、8割が遺伝性、喫煙とアルコールが因子
①過活動性…無意識に、つい体が動いてしまいそれを抑えることができない→活動エネルギーを使わせる
②衝動性…一瞬立ち止まって、考えるブレーキ機能が効きにくいために起こると考えられている
     →飽きさせない、5分間の砂時計
③不注意…ワーキングメモリー(短期記憶)という脳の機能が十分に働いてないために起こるとの考え方
     →短いキーワード、興味を引き出す
・二次性障害…指示に従えないことが多く、劣等感を持ちやすく、自己効力感や自尊心が低くなりがち。
 →かんしゃくをおこしやすくなり、反抗的、挑発的な行動、反対に無力感、不安、情緒不安定になりやすく、うつにつながる

※過去問より
①衝動性の障害は、走ってしまう、座っていることが困難、お友達に手が出てしまう、じっくり遊び続けることの困難がある
②注意散漫さの症状としては、注意集中の困難、次から次に注意が移る、話しかけられても話を聞いていないなどがある
③その他の症状としては、言葉の遅れ、身体運動面での不器用さ、学習障害(LD)などがある
④心理社会的援助や親指導、コンサータ(メチルフェルニデート)による薬物療法が行われる
(コンサータ、アトモキセチンの有効性は証明済み。18歳まで服用可。)

《広汎性発達障害(PDD:自閉症スペクトラム障害)》
①コミュニケーションの障害
②社会的相互性の障害
③興味・行動の限局
・その他…感覚過敏の問題、感覚の鈍さなど
★併存障害…ADHDとの併存はすごく多い。睡眠障害や強迫性障害も多く、双極性障害(躁うつ病)も比較的多い。
※過去問より
①PDDはなんらかの原因による脳機能障害を背景に持ち、環境との相互作用によって症状が出る発達障害と考えられている
②PDD児童の特有な症状としては、対人的相互反応における質的障害、コミュニケーションの質的障害、興味の限局、感覚過敏などがある
③通常発達領域の児童が、1歳以降になって急に自閉症症状が出る折れ線タイプもある

《学習障害(LD)》
・聴覚系の認知の困難さ…聞いて理解するプロセスが上手く機能しない
・視知覚系の認知の困難さ…視知覚における注意選択機能が働かない   
・社会的知覚面の問題…関係を捉えることが苦手
・身体知覚面の問題…姿勢のコントロールやバランスを取ることが苦手
※上履きや洋服を反対にするのが特徴!

《心理テストの基本》
特徴…結果の返し方についても生理学的検査とは異なり、信頼関係、コミュニケーションスキルが欠かせない。
   生活行動面と組み合わせ、考えられる一つの見方とのスタンスで返す
投影法 質問紙法
ローハルシャッハ検査…「左右対称のインク」のしみのような10枚のカードを使用し、何に見えるかパーソナリティの深層部を測る検査。 矢田部ギルフォー性格検査…質問紙法の代表的な検査
「はい」「いいえ」「どちらでもない」で答える
SCT検査(文章完成法)…「私は…」といった文章の後に続けて、思い浮かんだ分を書き文章を完成させる、投影法性格検査。 長谷川式簡易知能評価スケール…高齢者の知的機能検査
※WISE-Ⅲ…言語性検査+動作性検査 個人の能力における「強い部分」と「弱い部分」を知ることができる
 K-ABC…認知処理過程尺度+習得度尺度
加藤先生
【精神看護師の役割】
日常生活の援助者 患者の日常生活のケアを行う。患者のセルフケア能力を判断して、必要なケアを計画する。
相談者 コミュニケーション技術を駆使して患者の心配事の相談にのる
擁護者 患者の人権を守る擁護者としての役割。入院時のインフォームドコンセントは特に重要。
教育者 患者と家族に正確な情報を提供したり、対処方法を提示する
調整者 多職種専門家による医療チームの調整
ロールモデル 患者と家族にとって1つの人生のモデル
グループワーカー 集団としての患者に関与する、医療経済的にも有益
地域連携の担い手 患者と家族が治療を中断することがないように継続ケアの担い手として活動する

【治療的環境の提供】
・入院中の患者に安定した環境を提供すること。
・患者が行動を改善し、治療の成果を効果的にあげることができるような病棟環境をいう。
・物理的環境、心理・社会的環境の側面がある。
★物理的環境
①空間・構造   保護室…患者の状態に合わせて病棟環境を整えていくことも看護師の役割
②音・光・換気  音…足音、職員の声、ワゴンやストレッチャー
③清潔・安全   危険物の管理…自傷他害の恐れのある患者には、刃物、薬剤、火気など
         あらかじめ制限の必要のある場合は患者・家族に説明する

※リスクマネジメント リスクマネージャーと呼ばれる専門家がリーダーシップをとって行動している
 リスクの把握・リスクの評価、分析・リスクの改善と対処・リスクの再評価
★心理・社会的環境
①安心できる病棟環境 ○雰囲気を形作っているもの…①看護師の姿勢(人的環境が大きい)
                         ②信頼関係 ③治療共同体

【人権擁護と倫理】※2つの柱立てが必要!!
1.人権擁護を基盤とした関わり 「個人として尊厳が保たれる権利」「平等で最善の医療を受ける権利」「必要な情報を得る権利」「自分のことは自分で決める権利」「プライバシーが守られる権利」「苦情をお申し立てる権利」
2.全人的理解に基づく看護 「対象そのものの存在」「対象を取り巻く環境」「対象と環境の間でおこる関係性」
→「何の権利を、どの範囲で、どのように充足させるのか」を、患者の行動一つひとつの意味を探りながら明らかにし、組織機構、チーム関係者、家族、地域関係者に適切に働きかける必要がある。
⇒治療的コミュニケーション技術

★リミットセッティングと看護
 リミットセッティング…患者がどのようなことをしてはいけないかの限界を設定すること。
 ※懲罰的な意味合いをもたせると患者の人権侵害にもつながりかねない。そのため、チームで常に話し合いながら治療計画を立て、リミットセッティングを具体的にチームで統一しながら行っていくことが重要である。

★リスクを最小限にする
 ①患者にとっての安全はリスクマネジメントから
  転倒、誤薬、自傷他害(自殺、暴力)、無断離院などの問題⇒隔離・拘束などの行動制限が必要
 ②観察
・患者が監視されているのではなく、気にかけている、見守られているという感覚が持てるように。
・観察を密にして肺塞栓症や尿路感染症などの早期発見。
・隔離は30分ごと、拘束は15分ごと。

★行動制限時の看護
 ①最小限にしなければならない ②ほかに良い方法がない場合に行う ③死亡の危険性もある(肺動脈血栓塞栓症)
 ④看護側の問題としての行動制限 ※算定用件として病院内に行動制限最小化委員会の設置が義務づけられた
 隔離…内側から本人の意思によって出かけることができない部屋の中へ一人だけ入室させることによって、その患者を他の患者
    から遮断する行動制限をいう→隔離室or保護室

★身体拘束時の看護
 カルテへの記載義務…理由、開始日時、解除日時 +誰の指示で、誰が受けたか
 ※現在の精神科病院の隔離拘束問題の混乱の背景は、主に高齢者、認知症、身体合併症の患者の増加があり、精神医学的な判断よりも患者の生活のレベルでの判断、工夫や配慮の必要な領域で起こっている。

【入院の意味を理解する】
★入院のデメリット ①自律性の喪失(自分では何も決められない) ②脱個性化(その人らしさが奪われる)
          ③情報とコミュニケーションの不足(情報が一方向的) ④スティグマ(社会的烙印)

★入院の際に話しておくべきこと(同意の内容)
 ※どれほど患者が混乱状態にあるからといって、説明しても理解できないと決めつけないこと
 ・一度伝えればいいわけではなく、入院後も回復の様子などをみながら確認していく
 ・面会や通信の自由、退院や処遇の改善を請求する権利と方法など、患者の権利については当然伝える

★治療的環境と看護師
 ・すでに治療的環境の一部である
 ・自らのコミュニケーションの癖に気づく

【急性期から回復のエネルギーレベルの変化】
症状 注意点
前駆期 睡眠障害・聴覚過敏・あせりの気持ち・気分の変わりやすさ 過労・睡眠不足に要注意!
急性期 疑い深さ・睡眠障害・幻聴・妄想(陽性症状が活発) 睡眠・休息・安心感が大切!
消耗期 過度の眠気・倦怠感・無気力感・過度の甘え
(精神・身体の両側面に現れる) 数か月単位の休息・就床時間は規則正しく
焦らず無理せず
回復期 ゆとり感の増大・周囲への関心の増加 楽しみながらのリハビリテーション・体力づくり

★慢性期看護でのリハビリテーション
 ①日常生活援助
 ②服薬自己管理…服薬自己管理モジュール(SST)に参加する
★家族へのサポート
 地域にある家族に対するサポートグループや家族会などの利用
精神疾患への意識・理解とともに歩む支援者としての知識を得る

【回復を支える社会を構築する】
 回復の妨げ…地域社会の精神障害に対する偏見や差別

★精神保健従事者がもつべき10の能力…人々のニーズと力(※ストレングス)を明らかにする ※その人の長所や力
 ・ストレングスを第一に考える時代へ(自己決定につなげる)
 ・市民向けのサービス利用も考える

★地域で生活するための原則
 当事者が知っておいたほうがよいこと
 ①悪化のサインを知る  ・疲れの徴候を自覚する ・2日眠れなかったら要注意
 ②手の抜き方を知る   ・小刻みに短時間休む(例:作業所は60分仕事をして10分休む)
 援助者が心得ておくべきこと
 ①本人のニーズや意向を尊重する ②できること、できないことをはっきりさせる ③チーム内で役割分担する
 ※尊重しながらどうすればその人らしく社会生活を送っていけるのかを、共にさがしていくことに意味がある

★生活を支える制度…障害者自立支援法や精神保健法など
★外来看護師に求められる能力…疾患のみならず、精神保健・福祉分野への十分な知識を有している→他職種との連帯

◎ケアマネジメント…精神障害者が地域で生活できるようになるためには、一人ひとりの希望やニーズに合わせて、その生活を支える人との関係や制度の利用を調整する必要がある。
◎アウトリーチ…訪問支援(当事者や家族の抱える様々な課題の解決を「入院」に頼らず、地域で生活することを前提とした支援
体制へ)
◎ACT…包括型地域生活支援プログラム
 ①ACTの特徴…重い精神障害を持つ人が対象 
 ②ACTの重要な考え方…リカバリー・ストレスのコントロール・地域生活・エンパワメント・ストレングス
 ③ACTの効果…精神病院への入院期間の減少、入院率減、地域生活の安定、生活の質の安定、就労効果など。

【精神看護に用いる理論・モデル】
 ※オレムは、「必要とされる要件」という言葉を使って、ニードを定義した。
 ①生きていくためのニード:普遍的セルフケア要件
 ②正常な成長に伴うニード:発達的セルフケア要件     ⇒3つのセルフケアが適切に満たされることが健康への条件
 ③健康状態に伴うニード:健康逸脱に対するセルフケア要件

★セルフケア不足理論
 セルフケアは個人の意図的な行動であり、そのセルフケア活動には2つの側面がある
 ①個人が「決断」すること ②実際に「行動」すること 
しかし、セルフケア限界(知識がない、決断できない、行動できない)が顕著になるとセルフケア不足が生じる。

【オレムーアンダーウッドモデル】
 普遍的セルフケア要件が特に重要として、基本的条件づけの要素(基本的条件づけ要因)として扱うことにした。
 基本的条件づけ要因とは…年齢・性・発達状態・健康状態・社会文化的思考・診断や治療などの内的・外的要因のこと。
★セルフケア要素
 ①空気・水・食物 ②排泄 ③清潔 ④活動と休息 ⑤孤独とつきあい ⑥安全を保つ能力