誤診を疑え!! | ゴッドハンドではない鍼灸師の日々これこれ

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あすなろ院長が臨床で感じたこと、その他について気軽に書いていきます!(*^-^*)

我々鍼灸師には診断権が無いので、病名はつけられない。

因みに病名を付けることを「診断」といい、医師のみに許される行為だ。

なので、我々ができるのは推定病態だ。

 

推定病態とは「問診・検査の結果、多分○○という病気が疑われますね」というものだ。

また、ここでいう検査とはベッドサイドの徒手検査というもので、機材がいらない。

 

そのような原始的な検査でも時々、お医者様の診断名に対して疑問に思うことがある。

そして、結構あたることがある。

 

整形外科医は、診察の時にした検査画像データがその時の診断名に直結させることが多い。

ただその時の患者の症状とその時の画像が必ずしもイコールとは限らない。

 

腰椎椎間板ヘルニアに関して

患者の臨床所見と MRI 所見が一致していないことは常識となっているようだ。
厳密にいうと患者の痛みの9割は一般的な画像診断を行っても、特定が出来ていないらしい。

 

なので、クリニックや病院で

「椎間板ヘルニアって言われた」

「腰椎すべり症と言われた」

といわれても、本当にその病態が今抱えている症状の原因なのかは分からないということだ。

 

ただ、我々が診断名に対して疑問を持っていても、

それを覆すことは至難の業である。

 

多分そうじゃないかもしれないと患者に伝えても、

その症状を治さなければ患者は信用しない。

 

治せば患者さんは鍼灸師の言うことを信じてくれる。

治さなければ”やっぱり椎間板ヘルニアだから鍼灸で治らないんだ・・・”と思われる。

自分の腕が悪いせいで、医者の誤診も覆せないし、

鍼灸も効かないものだと患者に思われてしまう。

 

なので、これはある意味”戦い”でもある。

自らがそう発したのだから、それなりの責任が付きまとう。

責任とは”だったら治して証明しろ”ということである。

 

また、もう一つ”戦わないもの”もある。

それは”鍼灸の適応外”を見つけたときである。

 

今年だけでも、来院された患者さんの中に

肺癌の骨盤骨転移と側頚部に出来た癌が見つかった。

 

何度も画像検査をした患者である。

 

おかしいと思ってご高診願いを医療機関に提出して

検査をして見つかったものだ。

 

こちらとしては、医療機関で検査をしてもらって問題が無いと

言われたのちに来院してもらうことは悪いことではない。

 

むしろ、安心して施術が出来るというものだ。

しかしながら、やはり鍼灸院でもきちんとできる範囲で検査をして

それをむしろ疑いながら臨床するに越したことはない。

 

画像検査に反対しているわけではないが、

100%信用しないスタイルも必要だと思う。

 

 

日本人は権威や肩書にめっぽう弱い

 

政府や官僚や

有名人や芸能人や

大学教授や研究者が

言っていることは真実だとは限らない。

でもそういうスタンスがそもそもないと気づかないものだ。

 

研究者なら知っていると思うが、

「エビデンスの階層」というものがあり、

その中で最も低いのは”権威のある人や専門家の意見”

である。

 

なんなら、我々鍼灸師の言っていることも鵜吞みにしてはいけない。

かならず情報には偏りがあるからだ。

 

我々は社会的にも弱い

医療の業界でもちっぽけな職業だ

でもそういうことも真実につながるものもある

 

「寄生獣」