鍼灸師はやめた方が良い職業か??③ | ゴッドハンドではない鍼灸師の日々これこれ

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あすなろ院長が臨床で感じたこと、その他について気軽に書いていきます!(*^-^*)

 ③ 鍼灸 は効かない医療なのか?

鍼が効くか、効かないかということをアカデミックなところで語りますと、

エビデンスが構築されていないので”何とも言えない”というのが現時点でしょうか。

つまり効くのか効かないのかがまだ"はっきり分からない"ということです。

 

一番は鍼灸に関して大規模で正確な臨床試験がされていないというのが大きな問題です。

何故されないのかというと細かいところを話すと長くなりますので割愛しますが

経済的なこと、政治的なこと、社会的なことなど”大人の事情”でそうなっています。

 

個人的には、これほど人体に優しく、効果もある医療は無いのではないかと考えています。

基本的に自律神経を整え、血行を良くするのですから有害のはずもなく、

大変有用な医療だと考えています。

 

鍼灸に携わって20年くらいになりますが、今はそう考えられるようになりました。

今は・・・と言いますのは、鍼灸の免許を取ってから5,6年くらいまでは正直、自信がありませんでした。

実際、治すことの自信がついたのは、開業してからだと思います。

給料をもらっているうちは本当の意味で治療技術は成長しませんでした。

 

開業して、患者さんが来ないこと、そして、”これはもう閉院するしかないかも”という状態

を身に沁みて体験して身についたものだと思います。

人間必死になって3年くらいもがき苦しめば、ある程度の物事は何とか突破口が見つかるものです。

もがき苦しむことが出来なければ、この著者のようにやめた方が良いと思います。

 

私は開業当初、毎朝治療院の朝の掃除のときに吐き気がありました。これが3,4年くらい続きました。

そのくらい自分を追い込んだんだと思います。

特に大崎に戻ってからは24時間、365日治療院をどうしたらうまく運営できるか、

どうしたら治療できるかを考えていました。

一度、仙台での開業に失敗していますから背水の陣ですね。

 

逆にこの著者はなぜそう考えたのでしょうか?

私は申し訳ありませんが、鍼灸という仕事にどっぷりはまらなかったのが原因ではないでしょうか?

 

技術というものはそう簡単に身につきません。

もっと言いますと”技術”=”治せる技”ではないと考えています。

”治せる技”=”患者さんが求めるもの”でもないと考えています。

 

知識や技術だけではなく

人柄やコミュニケーション能力だけではなく

その治療家からにじみ出てくる何かもひっくるめて”臨床技術”だと思っています。

 

そこが分からないと、セミナーや講習会などに行きまくった割に何も残らないことになると思います。

実はそんなに治す技術は必要ないのです。

臨床をひたすらやっていれば何となく身につくものだと思います。

それは何か??というと一言では言えないです。

敢えて言うとその人そのものを成長させるということでしょうか?

 

私がそんなことを言える人間性が無いことも重々知っていますが、

技術ももちろんですが、良いことも悪いことも含めた”人間ぽさ”が鍼灸師の”技術”なのではないでしょうか。

 

私も免許取得後数年は鍼灸はあまり効かないのではないかと考えたこともありますが、

やはりそれを払しょくさせるのは臨床を重ねて苦労することだと思います。

逆にそれしかないのではないでしょうか?

そして、ある一定の努力をした人にはきちんと一定以上の技術が身につくものだと考えております。

 

著者は本当の治療効果を出せる人はごくわずかと言っていますが、本当にそうでしょうか?

私は鍼灸はそれほど習得が困難は医療とは思っていませんし、

一定以上の効果は一定以上の努力をした人ならば大体だせるものだ考えています。

 

ゴッドハンドでなければ食べていけないなら、私はとっくに辞めています。

そしてそのような免許だったら、それは免許としてはおかしなものでしかありません。

私くらいの鍼灸師でも一定以上の修行すれば生活するくらいの収入が得られるものだと思っています。

 

ただ、ひとこと言わせてもらいますと、

今は便利な時代になりすぎたので”努力すること”に抵抗がある人が多いように思えます。

技術とはお金を払ったら手に入れられるものでもありません。

 

そのくらいの努力は覚悟する必要があると思います。

まあ、これは鍼灸だけに言えることではないですがね。