- 15歳の寺子屋 15歳の日本語上達法/金田一 秀穂
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・大切なのは漢字を記憶することより 言葉で考えることだ!(表紙より)
・国語力と日本語力は違う
…の文句に引き付けられて図書館で借りたのですが、小学校高学年から中学生向きの内容であるため、あっという間に読めました。
しかしながら大人が読んでも面白いと思います。「言葉」とは何ぞや、の漠然とした疑問が、霧が晴れたかのように明らかになります。私は読んでよかったなあ。
文章本、国語本には目がないのですが、どうにもきちんと記録するのが苦手(>_<")
きちんとしない記録ということで、これからザッと残していこうと思います。
(記録しないよりはマシ、程度です(^^ゞ)
ポイント整理
【言葉の役割とは】
・人にものを伝え、人からものを伝えてもらう (コミュニケーション)
しかし、その手前にもう一つ大切な役割がある
↓
・人は言葉で考え、言葉で感じている。ぼくたち人間は、言葉を通して世界とつながっている。
・会話には、情報伝達・意思疎通以前に、人と人を結びつける役目がある。
【正しい日本語、美しい日本語とは】
・TPOに応じた適切な言葉遣いというものはあるが、正しい日本語、美しい言葉遣いに関しては追求することにあまり意味はない。
それよりも
・自分の使う言葉の意味をちゃんと把握しておきなさい。
・語彙を増やし、それを正確に理解しておくと、人は世の中の出来事をきちんと理解し定義できるようになる。
そうやって、人は自分の心を整理することができるようになるのだ。
・正しくて美しい日本語でなくても、人の心を打つ、圧倒的に力強い言葉というのは存在するし、それが人と人との関係をつないでいる。心のこもった言葉こそが、本当に美しく、正しい日本語なのではないか。
【言葉は万能ではないからこそ、人は成長でき、人と人とはつながれる】 (←これは私の感想)
・人は意味の分からない外国の歌に感動することがあるし、言葉の通じない外国に行っても、なんとなく気持ちが通じたりする。「言葉」は便利な記号言語だけではない。心の中にあるアナログな気持ち、言葉にならない気持ちというものを大切にしてほしい。
・人間は言葉を持ってしまったせいで、すべてのことをわかった気でいるし、わからなくてはいけないと思っている。でも、実際は言葉で言い表せていないことのほうが圧倒的に多い。それをなんとか表現しようとして努力する職業が作家や詩人と言われる、いわゆる文学者と呼ばれる人たち。
↓
「自分の言いたいことをこの人たちが書いてくれている」という発見の喜びが読書のなかにはある。
【反面、言葉にはこわい一面がある】
・言葉には、実体がない。人はしばしば、実体がない言葉によって、自分の判断を左右されてしまう。
情報の洪水の中にいると、人はつい情報の波に流され、それが正しいか正しくないか確かめもせず、頭から信じ込んでしまいがちである。これは深刻な問題。
↓
自分の頭で考え、自分で答えを探し出すために、言葉はある。繰り返すが、言葉は覚えるためにあるのではない。考えるためにこそ存在している。(←ここは忘れたくないですね。)
・考える力とは、ある知識とまったく別の知識を結びつけて、別の考え方を作り上げていくこと。
(↑言葉の森でいえば、一般化の主題にあたりますね。)
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このように、「言葉」についてあらゆることが凝縮されているのに、さまざまな具体例とともに非常にわかりやすく書かれています。
「言葉」の役割をあらためて見直し、読書や言葉の力を鍛えることの大切さを実感できました。
これ以降はどのようにその判断力、考える力を養っていけばいいのか、作文のコツなども記されており、そこもなるほどとうなずかされますので、一度手に取ってみてはどうかな。ただし、読んですぐ日本語が上達する! のようなマニュアル本ではないので、そこはご了承ください(笑)
言葉の森の長文課題の感想文、意見分を書くのにも役立ちそうです。
++以下、ちょっと思ったこと++
話が飛びますが、AO入試対策用小論文では「志望動機」が問われます。
取り分け「大学で英語を学びたい」という生徒は多く(笑)、志望動機も「英語を学んで世界で活躍したい」「英語が好きだから、得意だから」のようなぼんやりした浅い動機がずらーっと並びます。。
全員似たり寄ったりでそんな感じなので、添削するほうはあまりおもしろくない(爆)。言い換えれば、個性がない。その人の人柄が見えてこないのです。
少し考えを掘り下げて、上記のような観点から今までの経験を取り上げた上で、
私たちが外国語を学ぼうとする意味は、単に外国人とコミュニケーションを取る、ということだけではなく、言葉を学ぶことでその言語を用いる国の文化や価値観を感じ取ることにつながる。だから私は英語を学び、将来の~という職業に~のように活かしたいのだ。
のように述べて学びたい意欲を示すことができれば、差別化できると思うなあ。
------追記-------
金田一先生が学校嫌い、さらに三年間ニート生活だった…これは知りませんでした。
「まえがき」「あとがき」もそれぞれ面白いです。
脳内BGMはもちろん、アンジェラ・アキさんの「手紙 ~拝啓、十五の君へ~」
この15歳の寺子屋シリーズを最初に手に取ったのは、令丈 ヒロ子さんの「おなやみジュース」だったのですが
こちらもおすすめ。文章・展開がさすがプロ。実に語りがうまく引き込まれたし、アラフォーの私でも(笑)元気をもらえましたよ。
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