紅色吐息 - 京都御苑 - | across the sky, beyond the horizon

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あの空の向こう、あの水平線の彼方…
私は何を見て、何を想うのだろう…

 

momiji* 紅葉シーズンの京都は本当に人が多い

名所と呼ばれるところで落ち着いてもみじ狩りを楽しむのは至難の業

 

 

 

それでも京都御苑ではゆったりと錦秋のひとときを満喫することが出来る

 

 

 

古都のど真ん中にありながらあまりに閑静なこの場所は市民の憩いの場

観光客もいるにはいるのだが広大な敷地の中で方々に散らばっている

近所住まいと思しきおばあさんたちが紅葉の下でおしゃべりを楽しんでいた

「ここのモミジが一番綺麗やんなぁ」

 

 

 

京都御所も最近では広く一般に開かれているようだ

春と秋の一般公開以外では予約が必要だったと記憶しているが、

今は手荷物チェックを済ませるだけで中に入ることができる

 

 

 

御所の中はさらに人も少なく、かつての内裏がこんなに閑散としてていいのかと心配にもなる

しかしそのお陰でゆったりとくつろいで優雅な経験ができるのだ

 

 

 

いにしえの殿上人たちもこんな風に趣き深い秋の庭園を眺めていたのだろうか

現代の中に存在する「過去」を追体験しているようで不思議な感覚を覚える

 

 

 

京都御所を出て再び御苑を散策する

和装の似合う家族を見かけた。白人の一家だったが美しい立ち居振る舞いだった。

そのまま大宮御所の門に入っていったが日本人以上に日本的に生きている姿は印象的だった

 

 

 

この日の天気は気まぐれだった。晴れたり曇ったり時雨れたり。

雨が降って来てもこの街の人々はどうということもなく落ち着いている

観光客だけだ。右往左往するのは。

私も学生のときはこの御苑内を自転車や徒歩で行き来していたが雨など気にもならなかった

 

 

 

急に雨風が強くなったのでカエデの大木の下で雨宿りすることにした

風に巻かれて砕かれた雨が、にわかに顔を出した秋の陽に照らされて粉雪のように光った

 

 

 

ゆっくり、豊かな時間が流れてゆく

この街に住んでいた時のような心持ちになる

ふと、あの頃のことを思い出した

ここでこうして散策して紅葉を見て、笑いあって同じ夢を見ていた

 

 

 

目の前で燃える紅葉に今は居ない君の姿を重ねていた

今なら最高に綺麗な君を撮れるだろうか

でもその前に君は微笑んでくれるだろうか

 

 

 

いつしか晴れ間がひろがり、雨上がりの御苑はまばゆい輝きの中にとけていった もみじキス

 

 

 

 

 

撮影地:京都御苑(2017年11月19日)