「カラマリ・ユニオン」(1985年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

アキ・カウリスマキ監督によるフィンランドのドラマ映画。出演はマッティ・ペロンパー、プンティ・ヴァルトネン、サッケ・ヤルヴェンパー。

 

 

<あらすじ>

 

カラマリ・ユニオンに所属する15人の男たちは、住みにくいヘルシンキを捨て、別の土地に移住することを決めた。男たちは全員サングラスをしており、すべてフランクという名前だった。彼らは町の反対側にある、エイラという土地を目指した。

 

夜の地下鉄構内に潜入した15人のフランクは、車掌を脅して車両を奪ったが、ひとりのフランクが車掌に射殺されてしまった。15人のフランクはそれぞれ別の方法で、エイラを目指すことになった。バスを奪うもの、銀行強盗に押し入るもの、それぞれが勝手なやり方でエイラを目指した。それでも旅費が尽きたフランクたちは、万引きをして飢えをしのいだ。

 

そうこうするうちに、ひとりまたひとりと脱落していき、最後までエイラを目指しているのは3人だけとなった。ようやくたどり着いたエイラは、開発が進んで理想郷のような場所ではなく、ヘルシンキと変わらなかった。そのうちひとりが、今度はエストニアを目指そうと言い出し、ふたりのフランクが旅立っていった。

 

<雑感>

 

多様な解釈が可能な作品。ユニオンという言葉が使われている以上、多様な個性を持つ労働者を一括りにして同じ目的を持たせることの愚かしさを表しているのだろう。15人のフランクは、サングラスと名前はみんな一緒だが、あまりにも個性的でそれぞれの人生があり、「エイラまで行こう」と目標を議決しても、とてもじゃないが同じ行動を取り続けることはできない。

 

社会主義や共産主義を皮肉った作品であろう。なかなか良くできていたと思うが。

 

抑圧を嫌って旅立った彼らだが、彼らが求める自由などどこにもないし、彼らはルールを守れないだけですでに自由であるのだ。

 

☆4.0。左翼を小バカにした作品であろうなぁ。