「罪と罰」(1983年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

アキ・カウリスマキ監督によるフィンランドのドラマ映画。出演はマルック・トイッカ、アイノ・セッポ、エスコ・ニッカリ。

 

 

<あらすじ>

 

食肉解体工場で黙々と働くラヒカイネンは、実業家ホンカネンの家に乗り込み彼を射殺した。現場を目撃したケータリング業者のエーヴァは、怖くなって彼を逃がしたのち警察に通報した。彼は3年前にも事件を起こしていたが、そのときは証拠不十分で不起訴になっていたため、警察は今度こそと息巻いて彼を尋問した。

 

ところが面通しをしたエーヴァは、彼は犯人ではないと証言した。釈放されたラヒカイネンは、偽造パスポートで高飛びを考える。路上生活者に罪を擦り付けたラヒカイネンは、エーヴァを口説きにかかる。エーヴァはホンカネン殺しに使った銃を発見すると自分の鞄に隠した。自首を勧めるエーヴァだが、ラヒカイネンにその気はない。

 

ふたりのホテルでの会話に聞き耳を立てていたのはエーヴァの職場の上司ハイノネンだった。話をネタにゆする彼だったが、エーヴァは銃を持ち出して拒否。その銃を手に入れたハイノネンは、ラヒカイネンを殺そうとするも直前で電車に撥ねられて死んでしまった。

 

悩んだラヒカイネンだったが、最後は自首をしてホンカネン殺しを自白。8年後、出所した彼は、「どうでもいい男を殺して、自分がどうでもいい男になった。自分が殺しかったのは“道理”だ」とエーヴァを拒絶した。

 

<雑感>

 

アキ・カウリスマキ監督作品ってアマゾンにたくさん追加されるんだよな。確かに何か心に引っかかる映画を撮る監督ではあるのだが、かといって心底惚れ込むってタイプの監督じゃない。

 

この映画も、たしかにラヒカイネンとエーヴァの関係性はわかるのだけれど、人間のどうしようもないダメな部分に根差した感情であるため、感動に結びつかないのだね。感動はしないけれども、言いたいことはよくわかるし、着眼点は素晴らしい。

 

☆4.0。道理を殺したかったという理由は、別に深掘りするところではないと思う。