「マッチング」(2024年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

内田英治監督による日本のサスペンス映画。出演は土屋太鳳、佐久間大介、金子ノブアキ。

 

 

<あらすじ>

 

ウェディングプランナーとして仕事が充実している一方、恋愛に奥手な唯島輪花は、同僚の尚美の後押しでマッチングアプリに登録をすることに。勇気を出して一歩踏み出し、デートに臨んだ輪花だったが、現れたのはプロフィールとは別人のように暗い男・永山吐夢だった。

 

その後も執拗にメッセージを繰り返し送る吐夢に恐怖を感じた輪花は、取引先でマッチングアプリ運営会社のプログラマー影山に助けを求めることに。しかし時を同じくしてアプリ婚した夫婦が惨殺される事件が連続して発生。被害者たちが輪花の勤める結婚式場で式を挙げていることが判明するのだった。

 

吐夢はその後も輪花に接触し、影山には近づくなと警告する。父親の個人情報も晒され、追い詰められていく輪花は、さらに影山への依存を強めていく。そんななか、不倫画像を娘に送られた輪花の父親・芳樹が惨殺死体となって発見される。輪花はストーカーと化していた父の不倫相手を疑い警察にもそう話す。

 

焼香にやってきたやってきた影山に連れられ、打ち捨てられた団地にやってきた輪花は、そこで影山が父の不倫相手の息子だと聞かされる。影山は、母を苦しめたすべての人間への復讐を誓い、輪花に接触してきたのだった。絶体絶命の彼女を救ったのは、吐夢だった。

 

影山は警察に捕まった。そして輪花は、彼が特殊清掃員として働いていることを知る。彼から影山の母・節子がまだ生きていることを教えられた輪花は、彼女を直接訪ねて父のことを謝罪した。ところが、輪花が節子だと思って話しかけた相手は、25年前に失踪した輪花の母・美知子で、介護をしていた女が節子だった。

 

美知子は節子に拉致され、そのまま一緒に暮らし、精神を病んでいたのだ。輪花の父は、行方不明の妻が、自分の浮気相手節子のところで25年も廃人のようになって生きていたことを知り、絶望していたところを殺されたのだ。美知子は足枷を嵌められ、動けないようにされていた。節子は輪花を殺そうとするが、吐夢が身を挺して守り、節子は警察に捕まった。

 

収監された節子を、吐夢が訪ねてきた。孤児として育った吐夢は、輪花のことを調べるうちに、自分が輪花の父と節子の間に生まれた子供だと知ったのだった。

 

そのころ警察では、影山が取り調べを受けていた。警察は一連の犯行をすべて彼の仕業と考えていたが、彼は自分と関係のあった2件3人の殺害しか認めていなかった。そんなとき、再び殺人事件が起こる。犯人は吐夢。彼は、節子の娘として義理の妹である輪花に近づき、事実を話さないまま彼女の恋愛感情が高まるのを待っていた。

 

彼は、母・節子の代わりに輪花に復讐しようと考えていた。

 

<雑感>

 

土屋太鳳主演のサスペンス映画で、24年の1月に公開された作品。影山が輪花に近づき、不気味な吐夢が執拗に影山のことを忠告していたとき、なんて単純な構図なんだよとちょっとガッカリしていた。だが、美知子が節子に監禁されていたところから急展開してくる。

 

関係性がかなり複雑。吐夢は輪花の父・唯島芳樹と影山節子の子供。影山剛と唯島輪花とは義理の兄弟になる。家族のいない彼は、母の節子にも義理の兄の剛にも悪感情は抱いていない。悪感情を抱いているのは、自分が孤児になるきっかけを作った唯島芳樹と唯島輪花なのだ。

 

剛から輪花を守ったのも、節子から輪花を守ったのも、輪花は自分の復讐相手で自分の獲物だと思っているからで、母と義兄をむしろ守っている立場になる。

 

輪花は、影山家のふたりに加え、永山吐夢にも、さらには実母の唯島美知子にも好かれていない。唯一自分を愛してくれたのは父だが、その父の不倫によって彼女は絶望的なほど深く恨まれる立場になっている。

 

☆5.0。後半からの面白さは抜群。ちゃんとエンタメしていれば、邦画も面白いのである。