「病院 Gyala」(2023年作品)感想 | 深層昭和帯

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コンスタンティノス・フラグコウリス監督によるギリシアのスリラー映画。出演はマリア・ダマシオティ、ジョルゴス・カフェツォプロス、コリーナ・グーリ。

 

 

<あらすじ>

 

女性は、見知らぬ部屋で目覚めた。そこはサモス島にある別荘で、誰かが彼女のために用意してくれたようだ。世話人の名は、クリストス。彼女の兄に雇われたのだという。彼は女性の名を、F・アステリウという有名な女性記者だと教えてくれたが、彼女は何も覚えていなかった。

 

F・アステリウは、小児愛症について優れた記事を書いたのだという。少女は何も覚えていない。彼女は金魚と記憶回復の薬を与えられる。

 

ある夜、別の女性が家を訪ねてきた。彼女は、フォティーニという名前を聞くと怯えて家を出ていった。フォティーニとは、クリストスの死んだ妹の名前で、同じ名前を金魚につけたと聞いていた。逃げた女性は度々家にやってきて、警告を与えると去っていった。

 

最初は親切だったクリストスは、女性がストレスを感じて家を出ようとすると本性を現し、彼女を強姦するようになった。女性は家を飛び出し、森の中に逃げ込んだ。そこにはテントがあった。そこで彼女は、警告を与えてきた女性の名がマーロだと知った。

 

マーロは女性に対し、あなたはすでに死んでいると教えた。森を抜けた彼女は、ロック歌手に救われたが、彼と別れたところでまたクリストスに捕まった。彼女は自分が囚われの身であることをはっきり悟った。そして彼女の名は、フォティーニ・アステリウ。フォティーニは、マーロに助けられて、自宅に戻ることができた。

 

そこには書斎があった。

 

<雑感>

 

フォティーニ・アステリウは、幼いころ、孤島の自宅で兄に強姦されて育った。外の世界に出た彼女は、兄と同じ小児愛症(ペドフィリア)に興味を持ち、その犯罪を調べ、自分と同じように被害に遭った女性のことも知るようになった。やがて彼女は本を出して有名になる。

 

うとうととまどろんでいるうちに、孤島の自宅で兄に監視されながら強姦されていた日々を思い出す。彼女は金魚のように外の世界に出ることはできなかった。幼いころの記憶は彼女を蝕んでいく。そして再び彼女は金魚鉢の夢から脱出する。

 

大体こんな話。冒頭から続いているのは現実ではなく、フォティーニの見ていた夢の話。兄は妹に強姦を告発されてすでに死んでいる。だが、夢の世界ではそれが逆転しており、フォティーニは死んだことになっていて、兄は妹が死んだと思い込んでいる。金魚鉢の中と外で世界が逆転しているのだ。

 

マーロは、フォティーニが助けたペドフィリアの被害者で、それが夢の中から逃れられない彼女を助けに来た。そういう構成になっている。また兄に捕まって逃げたわけではない。

 

☆2.4。全体的にわかりにくく、イメージ先行型の作品。フォティーニ・アステリウ宛てに電話をかけてきた相手も曖昧なままだ。