「打ち砕かれた殺し屋 Hors du monde」(2020年作品)感想 | 深層昭和帯

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マルク・フシャール監督によるフランスのスリラー映画。出演はケヴィン・ミシェル、オーレリア・ポワリエ、ジュヌヴィエーヴ・カシル。

 

 

<あらすじ>

 

ミュージシャンのレオは、食べるためにタクシー運転手をしていた。ある日、彼は、聴覚障碍者のアメリを客として乗せた。歌うことしかできないレオと、踊ることしかできないアメリ。次第にふたりは惹かれ合っていくが、レオはアメリが思っているような男ではなかった。

 

レオは、社会に溶け込めない怒りを、女性を殺害していることで晴らしている殺人鬼だったのだ。夜な夜な、自分を無視した女性を襲っては殺していくレオ。

 

レオは、耳の聞こえないアメリをデートに誘う。そこで彼女は、レオの曲を聴かせてもらう。難聴の彼女のために、レオはヘッドフォンを用意していた。踊り出すアメリ。だが近くで家族が夫婦喧嘩を始めた。家族の夫に殴りかかるレオ。制止しようと割って入るアメリ。レオは殴られ、アメリは気を失った彼を介抱して治療した。

 

肉体関係になろうとしたとき、レオの本性が現れる。アメリは腹部を何度も刺されてしまう。わけがわからず戸惑うアメリ。死んでしまったアメリのところに、アメリそっくりの姉が現れる。姉はレオの髪を剃り、アメリを教会に運ぶと、帰り際、レオに復讐を果たした。

 

事故を起こしたレオは、少し離れた場所でアメリの姉に殺されて死んだ。姉もまたレオに殺された。

 

<雑感>

 

フランスのサイトでやたらと高評価だったわりに、日本のサイトには情報がなかった作品。サスペンス映画と違い内容は単純で、ルサンチマンに凝り固まった人生の落後者が、自分より弱い女性を殺して憂さを晴らすというしょうもない話。

 

何がしょうもないって、アメリは性格描写や得意のダンスの意味など何ひとつ掘り下げられることなく殺されてしまう。姉は急に出てきて、急に殺される。殺している方のレオも、幼少期に何かあってそうなったのか、遺伝的欠陥なのか、異常性欲なのか、殺人の動機がまったく描写されておらず、ただ女を殺しているだけなのだ。

 

女性を殺す言ことで男性の暴力性を社会に訴えているのかといえばそうでもない。とにかく何もかも浅いまま終わってしまう。なぜこう評価になるのかさっぱり意味不明だ。

 

☆2.1。グロテスクな殺人鬼を描くにしても、せめて動機くらいは明らかにしてほしいものだ。