「田舎女」(1953年作品)感想 | 深層昭和帯

深層昭和帯

映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

マリオ・ソルダーティ監督によるイタリアのドラマ映画。出演はジーナ・ロロブリジーダ、ガブリエル・フェルゼッティ、フランコ・インテルレンギ。

 

 

<あらすじ>

 

田舎育ちのジェンマは、もっと自分らしく生きられる世界で恋愛することを夢見ていた。美しい彼女は、伯爵の嫡男パオロと恋に落ちるが、そのことを知った母親は、ジェンマ自身が伯爵の子であることを打ち明けた。ジェンマと男性は異母兄妹だったのだ。

 

落胆した彼女は、彼女の家に下宿している大学教授フランコと結婚することに同意した。ところがフランコは結婚にそれほど乗り気ではなかった。夫婦は互いにすれ違い、ジェンマはルーマニアの伯爵夫人エルヴィラと仲良く遊ぶようになる。

 

ところがエルヴィラは、ジェンマが田舎育ちの世間知らずだとバカにしており、彼女を売春させて金儲けを企んでいた。そのことを知ったフランコは、自分の振る舞いを反省して、エルヴィラを遠ざけると、ジェンマと和解することになった。

 

<雑感>

 

冒頭にいきなりジェンマがエルヴィラに斬りかかるシーンがあって、何事かと思わせるのだが、そのあとは回想シーンが続き、最後は夫のフランコがジェンマの心象を理解することで彼女を受け入れる構成になっている。

 

田舎育ちのジェンマは、狭い世界で暮らしていることが嫌で、下宿を営む家庭事情の外を見たいと願う。それで伯爵の嫡男と付き合い始めるが、それは願ってはいけない恋だった。それで結局は下宿している教授と結婚する。

 

フランコは妻のこうした気持ちを知らないので、好きにさせていた。外の世界を知りたいジェンマは、ルーマニアの伯爵夫人を自称するエルヴィラにそれを求める。しかし彼女は住所不定のろくでもない世間慣れした人物で、美しいジェンマが夫に不満を持っているだらしない女だと思い込み、彼女に売春を斡旋しようとするのだ。

 

まるで見当違いの見立てをされたジェンマがキレて、ナイフでエルヴィラを襲う。そこが物語の発端になっている。

 

「永遠のガビー」とおそらくテーマは同じ。戦前の作品である「永遠のガビー」はまだテーマ性をハッキリさせることができていなかったが、戦後に作られた本作はより分かりやすくなっている。与えられた運命から逃れて自由になりたい意志が、より明確になっていた。

 

☆3.6。やはり時代とともに、人間の考えていることは明晰になるのだろう。