「裏の顔 Imposture」(2017年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ジュリアン・デポー監督によるフランスのサスペンス映画。出演はローラ・スメット、アレクシア・バルリエ、ピエール・ペリエ。

 

 

<あらすじ>

 

アリスはカナダを旅行中に母親スザンヌが死んだと連絡を受けた。病院に駆けつけるとすでに夫のアレキサンドロ・コーシーが遺体を引き取ったという。だがアリスの父は27年前に亡くなっているはずだった。家族葬されているというので慌ててマルセーヌへ。すでに葬儀は終わり、遺体は埋葬されていた。そこには、アリス名義の花輪も添えられていた。

 

アリスは葬儀参列者の中に入り、スザンヌの娘を名乗る人物と接触する。その人物(アリス)は、アリスのことを母親の看護師ジュリエットだと認識していた。アリスは自分を証明する必要からパスポートを探すが、それは部屋から失われていた。警察に行くと、対応したのはアレキサンドロの旧友で、彼女はジュリエットという人物が娘に成りすましていると警告されていた。

 

アリス(ジュリエット)を看護していたという人物シャルルもまた彼女をジュリエットだと認識していた。ジュリエットは、スザンヌを看護しながら娘のアリスのことを聞き、自分をアリスだと思い込んでしまった狂人だった。だが本人はまだ自分をアリスだと信じていた。

 

アリスは、シャルルの自宅に忍び込み、銃で脅しながら真実を聞き出す。彼はアリスのパスポートを盗んだと自白した。彼はもうひとりのアリスとグルだった。銃を奪われ殺されかけたが、アリスは事故を起こして逃げ出し、偽アリスの友人ポールを尋ねると自動車の鍵を奪って逃げた。

 

アリスは、幼いころの世話係マーサを頼った。アリスの幼馴染ポールは、なぜジュリエット(アリス)がマーサのことを知っているのか不思議がった。ポールは、幼いころのアリスしか記憶になかった。なぜアリスが共通の記憶を持っているのか不思議だったのだ。彼もまた、偽アリスにウソを吹き込まれて信じ込んでいた。

 

偽アリスは焦ってシャルルに電話する。

 

マーサは盲目だったが、アリスを本人だと認めた。だが彼女は、アリスの父アレキサンドラが生きていると知っていた。アリスの母スザンヌは、アリスに父は死んだと話していたのだ。よく朝目覚めると、マーサはシャルルに殺されていた。シャルルが警察に通報したことから、アリスは逮捕された。

 

アレキサンドラは、27年ぶりに実家に帰ってきた偽アリスをアリスだと信じ込んでいた。偽アリスがアフリカの言葉を話していたことを訝しんだポールは疑いを持ち始めるが、すでに偽アリスに肉体を支配されていた。それでもポールは、警察に赴きアリスと面会した。アリスは幼馴染のポールに、子供のころの話をする。ふたりしか知りえない事実を聞かされ、ポールは動揺した。

 

アリスとポールには共通の友人がいた。名前はテア。テアの家族はアレキサンドラのワイナリーを買い叩くために放火をして、その後南アフリカへ逃げていた。偽アリスはテアだったのだ(以降、テアと表記)。テアは髪を染め、カラーコンタクトを使い、アリスに成りすまして27年ぶりに会った父親とポール(婚約者)を騙していた。

 

シャルルは状況が悪いと逃げる準備を始めた。テアはアリスの父親のところへ向かい、彼の口からテアの父親を殺したのは自分だと白状させる。孤児なったテアは南アフリカへ。妻は娘のアリスとともにワイナリーを離れた。そして27年が経過していた。

 

監房で薬物を摂取したアリスは病院に運ばれた。彼女を医師に扮したポールが助けて連れ出した。アリスはシャルルの隠れ家にポールを連れていく。そこにはテアとシャルルが愛し合う写真が置いてあった。そのころテアは、シャルルを屋敷に招き入れて、アレキサンドラを毒殺しようとしていた。

 

アレキサンドラも、彼女がテアであることを知っていた。ポールもまたそう認め、アリスとポールの婚約発表のパーティーから、テアとシャルルは逃げ出す。ふたりの復讐は失敗し、警察に撃たれて死んだ。

 

<雑感>

 

どこにも情報がなかった作品なので、あらすじを詳しく書いておいた。もうちょっと短く書くべきだったかもしれない。

 

27年前、アレキサンドラはワイナリーを奪おうとしたテアの父親を殺した。正当防衛だったが、テアの一家は離散して、祖母と娘は南アフリカへ逃れた。またアレキサンドラの妻のスザンヌもショックを受けて、夫と別居、幼かった娘には「父は死んだ」と教えていた。

 

南アフリカで祖母を亡くしたテアは養護院に入れられ、シャルルと出会う。社会の底辺で生き延びてきたふたりは、テアの父親を殺したアレキサンドラに復讐するため、フランスへ舞い戻った。するとスザンヌとアリスが長年音信不通であると知り、アリスに成りすましてワイナリーに入り込み、息子同然に育てられたポールと婚約した。

 

母スザンヌの死を知らされたアレキサンドラは、27年ぶりに妻に会い、偽のアリスとともに遺体を引き取って葬儀を済ませる。そこにカナダ旅行中だった本物のアリスが戻ってきて騒ぎになる。本物のアリスの存在を知ったテアは、シャルルを使いアリスのパスポートを盗ませた。

 

この作品はフランスのテレビ映画、いわゆる2時間サスペンスなのだが、大変レベルが高く、アメリカや日本のものとは全然違う。ヨーロッパの2時間サスペンスは、アメリカ、カナダ、日本のものよりも脚本が練られていて複雑だ。視聴者のレベルが高いのか、「より底辺に合わせて作らないと視聴率が取れない」とのマーケティングを否定しているのか。

 

☆4.3。映像も素晴らしい。日本は映像がとにかくダメ。