「フォロウィング」(1998年作品)感想 | 深層昭和帯

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クリストファー・ノーラン監督によるイギリスのサスペンス映画。出演はジェレミー・セオボルド、アレックス・ハウ、ルーシー・ラッセル。

 

 

<あらすじ>

 

作家のビルは、ランダムに選んだ人物を尾行する遊びを繰り返していた。あるときビルは、コップという男が盗みをする現場を目撃。そして尾行していることが本人にバレてしまった。だがコップは、強盗が目的ではなく、ビルと同じように他人の家に侵入すること自体に興奮しているのだった。

 

ふたりはともに犯行を繰り返す中で、金髪の男女と出会う。ビルとコップは、女の家に侵入して、彼女の持ち物を奪う。ふたりは共犯者のようになり、より大きな興奮を求めてコップはビルに様々なことをやらせた。

 

そして事件が起き、ビルが捕まった。家宅侵入はしたが、大きな事件を起こしていないビルは警察にすべてを話す。ところが警察は、それはすべてではないと彼を諭す。ビルが戸惑っていると、警察は証拠の品々を見せてくる。それらはコップがビルに持たせたりやらせたりしたことばかりだった。

 

興奮するからというコップの言葉はすべてウソで、彼は自分の犯行をビルに押し付けるためにすべてを計算していたのだ。

 

<雑感>

 

クリストファー・ノーランのデビュー作。最初の映画でこれとは、さすがにレベルが高い。その後の映画も凄いのばかりだから、持っているポテンシャルが違う。

 

ほぼアマチュアに毛の生えた程度の映像と、低予算、会話が主体の作品でありながら、作り込まれた構成に驚く。音楽の使い方もサスペンスを上手く盛り上げている。俳優だってそれほど上手いわけじゃないのに、会話の内容の巧さで稚拙な演技をカバーしていたな。

 

なかなかちょっと驚きの処女作だった。この監督は、ヒーローもの専門にならずに良かったよな。「フォロウィング」のあとに「メメント」という作品を撮っているのだが、これがまた傑作なんだ。「バットマン」はむしろ彼の良さを殺している部分があった。

 

☆5.0。まさに衝撃のデビュー作だった。商業作品第1作がこれとはね。