「皇帝の宝石 ブルガリ ホテル ローマのメイキング映像」(2024年作品)感想 | 深層昭和帯

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アンドレア・ロベッタ監督によるイタリアのドキュメンタリー映画。

 

 

<あらすじ>

 

豪華さ、美しさ、そして細部への細心の注意が、イタリアで最も高級な場所のひとつであるローマの新しいブルガリ・ホテルの要素です。夢の建設に貢献した、非凡な職人とデザイナーの物語。ローマの中心、このホテルは、偉大なアウグストゥス皇帝の卓越した場所です。

 

<雑感>

 

手作りの職人が、ホテルという場所作りにどのような形でかかわっていくのか描いたドキュメンタリーなのだが、ハンドメイド好きなオレたち夫婦にはたまらない内容だった。

 

「高級ホテル」を作るときに日本などでありがちなのが、海外から高級品を買い付けてきて調度とするものだ。「この椅子はどこそこで買い付けたいくらの品物です」みたいな売り文句で「高級」さをアピールする振る舞いだ。

 

バブル時代などはまさにこうした形でしか自分たちを表現できなかった。高級車などもそうで、「南プロバンスをイメージした~」なんて聞いているこっちがこっぱずかしくなる謳い文句の高級車があったものだ。貧乏人がイメージする「高級」とはそういうものである。

 

それに対してこの作品に登場する「高級ホテルを作ろうとしている人々」は、良いものを見抜く感性を持っていて、それを実現できる職人とともに、イメージするものを作り上げていく。貧乏人が万札で買う「高級品」とは無縁の、手間暇をかけて作られたものがここにはある。

 

職人が手間暇かけて作るから工業製品より高くなり、ゆえに高級と呼ばれる。こんな当たり前のことが理解できない日本人ばかりになったのはなぜなのか。学歴偏重主義や。公務員優遇でこうなったのだろうとしか言いようがない。恥ずかしい話である。

 

☆5.0。アートをないがしろにするただのサラリーマンが、高級品なんか作れるはずがなかったんだよ。日本企業のトップなんて、札束を数えているだけの感性が貧しい人間ばかりだ。