「ボディ・アンド・ソウル」(1947年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ロバート・ロッセン監督によるアメリカのスポーツ映画。出演はジョン・ガーフィールド、リリー・パルマー、ヘイゼル・ブルックス。

 

 

<あらすじ>

 

チャーリー・デイヴィスは、母の反対を押し切ってボクサーになった。戦歴を重ね、有名になってくると、金の匂いを嗅ぎつけて彼の周囲には山師が集まるようになった。詐欺師のロバーツをはじめ、ろくでもない人間ばかり集まってくることにチャーリーは危機感を覚えた。

 

善良な家で育てられたチャーリーは、間違ったことが許せないたちで、人種差別により黒人ボクサーのベン・チャップリンが干されて生活苦に陥ったと知った彼は、ベンをスパーリングパートナーとして雇った。そのころロバーツは、チャーリーを使っていかさまをしようと画策していた。

 

チャンピオンになって、なぜ母がボクサーになることに反対していたかわかった。人を殴って賞金稼ぎをする行為は、悪い人間を招き寄せるのだ。まとまった金を得て引退するため、チャーリーは八百長を受ける決断をする。

 

ところがそれを知ったベンは猛反対した。階級最高のボクサーが、中身のない練習をしてあまつさえ八百長をやって引退することに異を唱えた。そこにロバーツがやってきて、ベンを見下した態度で追い払おうとした。

 

激高したベンは大声で抗ったが、持病が悪化して倒れると、そのまま死んでしまった。

 

チャーリーは、ベンの最後の言葉が耳を離れなかった。考えを改めたチャーリーは、最後まで戦い抜く決心をして、八百長破りをすることを決める。そして最終ラウンドで相手をKOして勝利を収めた。

 

<雑感>

 

金を動くところ、必ず犯罪者がいる。大谷翔平がエンゼルス時代に稼いだ金の大部分を使い込んだ水原一平は、初めは日本にやってくるメジャーの選手の通訳として雇われたが、狙いはいずれメジャーに行くと目されていた大谷翔平だった。水原一平は、日本にやってくるマイナー選手の通訳で終わるつもりはさらさらなく、最初から狙いは大谷翔平を騙すことだった。

 

こんなのは普通で、成功者の周囲に集まってくるのは友人などではなく、詐欺師である。男も女も関係ない。詐欺師しか近寄ってこないのだ。主人公のチャーリーの母親は、そのことをよくわかっていたんだね。

 

☆4.0。醜い人間は、成功者に笑われる普通の人などではなく、成功者の傍で一緒に笑っている人間なのだ。