「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」(2019年作品)感想 | 深層昭和帯

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アグニェシュカ・ホランド監督によるイギリス・ウクライナ・ポーランドの戦争映画。出演はジェームズ・ノートン、ヴァネッサ・カービー、ピーター・サースガード。

 

 

<あらすじ>

 

1933年、ヒトラーに取材した経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズには、大いなる疑問があった。世界恐慌の嵐が吹き荒れるなか、なぜスターリンが統治するソビエト連邦だけが繁栄しているのか。

 

その謎を解くために単身モスクワを訪れたガレスは、外国人記者を監視する当局の目をかいくぐり、すべての答えが隠されているウクライナ行きの汽車に乗り込む。やがて凍てつくウクライナの地を踏んだ彼が目の当たりにしたのは、想像を絶する悪夢のような光景だった。

 

雪の上に並べられた遺体の数々。仕事を求める人の列。食糧難で食料を盗み合う人々。死んだ兄の人肉を食らって生き延びている少女。絶望状況を目の当たりにしたガレスは、突如モスクワに連れ戻されてしまう。

 

ガレスは、ロンドンに戻り真実を書けば、人質を殺すと脅かされて、故郷に帰ることを許された。真実を伝えるべきかどうか悩む。作家に励まされた彼は真実を伝えるが、国内外の共産主義者からウソつきのレッテルを貼られてしまうことになり、一斉攻撃を受ける。

 

新聞社を馘首になり、故郷の小さな新聞社の文化部に配属された彼だったが、新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストを説得。そしてついに「ウクライナに広がる死」について報道する機会を得る。

 

<雑感>

 

共産主義の失敗というのは、官僚組織、公務員のいい加減さが失敗の原因になる。公務員は作文する能力しかないので、どんなデータもどんな目標も全部お手盛りで作文する。そこに真実はひとつもない。計画に従って予算を消化するだけの組織なのだ。

 

公務員が金をじゃぶじゃぶ使う国家は失敗する。公務員が権力を持っている国家も失敗する。公務員が予算案を作っている国家も失敗する。まさに現代日本である。

 

ソビエト連邦の失敗から学ぶことは、共産主義の失敗というより、官僚主義の確実な失敗なのだ。戦前の日本も軍国主義だから失敗したというより、陸軍省海軍省といった官僚主義の失敗が原因だ。失敗の根本原因が官僚主義になるのに、戦争反対だの、軍備反対だのはまったくの的外れであって、意味のない言説である。

 

☆5.0。第三セクターがすべて失敗しても、何も気づかず、何も考えず、戦争反対が幸福につながると考えるバカには呆れるばかりだ。