「フィガロに恋して」(2020年作品)感想 | 深層昭和帯

深層昭和帯

映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ベン・リューイン監督によるオーストラリア・アメリカ・イギリスのドラマ映画。出演はダニエル・マクドナルド、ヒュー・スキナー、ジョアンナ・ラムレイ。

 

 

<あらすじ>

 

20代後半のミリーは証券会社で働くキャリアウーマンでオペラが大好き。申し分ない給料をもらい、長く付き合うボーイフレンドもいる。一見すると満足な人生も、なんとなく続ける仕事になんとなく長く続いているボーイフレンド。コンサートに行くたび捨てきれずにいるオペラ歌手の夢と、現実との差にもやもやする日々だった。

 

そんなある日、上司との衝突をきっかけにミリーは仕事を辞めることを決心。彼にも夢を追うことを告げ、これまで貯めた貯金を資金にオペラ歌手を目指す。プロへの登竜門のコンテスト<The Singerof Renown>優勝のために、かつて有名なオペラ歌手だったミーガンに頼み師事してもらうレッスンをするが、彼女にはすでにもう一人の弟子マックスがいた。

 

酷い村、酷い宿、酷い教師、それにマックス。ミリーは辟易しながらもレッスンを受け続ける。すると徐々に彼女の才能が認められるようになった。マックスは魔の徐の才能に自信を失いそうになるが、ミーガンはふたりにデュエットをするよう求める。

 

ふたりは徐々にいい関係になりかけるが、そのとき都会から上司で恋人のチャーリーがミリーを励ますためにやってきた。マックスとミリーは互いを意識しながらも、予選通過を果たしたことから本選の準備に取り掛かる。

 

ミリーは順調に歌い切り優勝候補と目されるが、マックスは自分の本番前にミリーに指輪を渡して結婚を申し込んだ。ミリーはマックスと結婚するつもりはなく、指輪をミーガンに預け、マックスが歌い終わるのを待った。

 

マックスはフィガロを歌い上げ、見事優勝を果たす。ミリーは選外となり、都会へ戻っていった。だが彼女は1年だけの挑戦では満足できず、優勝するまで何度も挑戦すると心に決めた。チャーリーはそんな彼女から少し心が離れた。

 

3年後、ミリーはコンテストの優勝者としてマックスの前に現れた。マックスは指輪は返金してもらったと明るく話し、ミリーはチャーリーと他人になったと返した。

 

ふたりは同じ舞台に立ち、息の合った歌声を披露した。

 

<雑感>

 

ミリー役の女優さんはかなり太めの、オペラの歌手っぽい体型をしているのだが、実に魅力的な女性であった。

 

昨今はポリコレの影響で太った女性が主役になることが多々あるが、この作品はそうした「政治的な正しさ」からの配役ではなく、彼女でなければ演じられないからこそ選ばれたのだと映像で納得させてくれる。

 

「政治的な正しさ」は人間の魅力を伝えてくれない。監督が魅力的だと認めた女性だけがスクリーンで輝くのだ。そういう意味ですごく良い作品だった。

 

村にやってきた当初の何とも言えない排他的な感じから、最後は村人がこぞってマックスとミリーの大会優勝を願ってくれる様子に変化していく様も心温まる。最初の印象が悪いので、大きな変化が心地良い。マックスも最初の印象は最悪なのだ、だが往々にしてそう言う異性の方に惹かれたりするものだ。気持ちはわかる。

 

☆4.5。太っちょのミリーがいっぱしのオペラ歌手になって輝いて終わるところに心が熱くなる。