「おもかげ」(2019年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ロドリゴ・ソロゴイェン監督によるスペイン・フランスのドラマ映画。出演はマルタ・ニエト、ジュール・ポリエ、アレックス・ブレンデミュール。

 

 

<あらすじ>

 

スペインに住むエレナは、離婚した元夫と旅行中の6歳の息子から「パパが戻ってこない」という電話を受ける。慌てて探し始めるが、フランスのどこかの浜という以外手掛かりがなく、そのまま息子を失ってしまった。エレナは息子の面影を探して、フランスに住み始める。

 

10年後のある日、エレナは息子の面影を宿したフランス人の少年ジャンと出会う。ジャンはエレナと電話番号を交換して親しくなる。エレナには失意の彼女を救ってくれたヨセバという恋人がいた。そこに、元夫のラモンが会いに来るとの連絡がきた。ヨセバはラモンのこともジャンのことも快く思っていなかった。

 

ジャンの両親もエレナのことを快く思わず、彼女に嫌味を言う。ジャンは息子ではないとヨセバに念を押され、引っ越しを早めようと進言される。だがジャンはエレナと会いたがっており、彼を心配したエレナはジャンの家に押し掛けて両親と揉め事を起こす。

 

ジャンは家を飛び出し、森の中で迷ってしまったと連絡がある。息子を思い出したエレナは慌ててジャンを探しに向かう。ヨセバはエレナと別れる決心をする。エレナはジャンを見つけ、ふたりは互いを必要としていることを確認し合う。

 

ジャンは両親の元に戻り、エレナはひとりの自宅に戻る。そしてラモンに電話をかけるのだった。

 

<雑感>

 

ジャンが本当の子供なのかどうか気になって観ていたのだが、そういう話ではなくて、エレナがいなくなった息子に許しを請わなければ永遠に救われない状況で、ジャンがそれを与えたという話のようだ。ジャンはエレナに本当の息子の代わりに許しを与え、エレナは救われたのだ。

 

エレナは「頭のおかしいスペイン人」みたいな扱いにされていたので、ジャンが気遣って彼女を救ったようだ。ジャンは家族に不満を持っていない。

 

近親相姦を匂わす不穏な演出が必要だったのかどうか、そこはなんとも言えないところだ。ただ、肉体関係ありの救済者としてヨセバがおり、ジャンはヨセバとの対比で本当の救済を与えていることから、ヨセバとの関係上そういう演出がないと成り立ってない気もする。

 

☆3.7。エレナの微妙な心理の変化が面白い作品だった。