「Threads of Blue ほどけゆく残影」(2024年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

宗野賢一監督による日本のサスペンス映画。出演は佐藤玲、筒井真理子、野村宏伸。

 

 

<あらすじ>

 

山道での交通事故で両親と弟を失うという悪夢から目を覚ましたエンは、不吉な予感に襲われる。家族旅行が原因だとわかっていることから、旅行を阻止しようとする。結局旅行は中止となって家族は救われるが、実はそれはエンの脳内で作り出した幻影だった。

 

彼女の家族はすでに事故で全員死んでいた。それを思い出した彼女は、怪しげな団体に近づき、偽の記憶を埋め込まれて、同じ境遇の人間と一緒に同じマンションに集められていたのだった。

 

エンは、国の方針で決められた自殺対策のためのプログラムに参加させられていたのだ。プロジェクトの中心人物岩波博士は、被験者の事故を報告しなかったことで解雇され、プロジェクト自体もなかったことにされていたが、岩波博士は単独で実験を続行。エンが関係した怪しい団体は岩波博士が主催するものだったのだ。

 

エンは、自分の家族がすでに死んでいる記憶しかなかったが、彼女を助けマンションから連れ出した女は家族は生きていると話した。エンにはそれが本当かどうか信じられなかった。女は家族を連れてくるとエンから離れたが、マンションに戻ったところを襲われてしまった。

 

心配になった彼女はマンションに戻った。そこには家族がいる。だが、彼女の父こそ記憶を他人に移し替えた岩波博士だったのだ。エンは、母親の記憶を取り戻させて味方につけた。彼女は本当の母ではなかった。エンは彼女とともにマンションからの脱出を試みる。だがすぐに捕まってしまう。

 

岩波博士は新たに洗脳を試みるが、そのときマンションで停電が起こった。ろうそくの火を使うよう推奨され、住民が一斉にろうそくの火を見つめる。すると彼らは記憶を取り戻した。

 

住民は一斉に逃げ出し、疑似家族を形成していたエンの一家も力を合わせて岩波博士を倒す。そしてみんな元の生活に戻っていった。エンは助かったが、老人になり頭がボケてしまった。

 

<雑感>

 

情報が少ない作品だったので少しだけ詳しくあらすじを書いておいた。

 

物語冒頭、エンの記憶が混乱するのは、夢の中で事故の炎を見ているからだと思われる。マンションの中には被験者の監視者がたくさんいて、記憶を取り戻さないか監視している。その中のひとりが岩波博士に反旗を翻してエンを助ける。それと同時に娘を取り戻しに来た本当の父親の計略により、いっせいに記憶の回復が図られ、岩波博士が殺されて物語は終わる。

 

ここまではなかなか面白かったのだが、最後の場面で老婆が縁と同じ記憶を持っているように描いたことでまた曖昧にされて終わる。そういう脚本の手法もあるだろうが、ここはすっぱり解決させて終わった方が個人的には好みだったかな。

 

エンが年を取ってボケたとあらすじには書いてあるが、記憶を別の人間と入れ替えてあるなど様々な解釈ができる設定なので、ボンヤリさせて終わるのはあまり良い方法とは思えなかった。

 

☆4.0。低予算ながら面白く見ることができるのでかなり高評価。