「初姿人情鳶」(1938年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

衣笠十四三監督による日本のドラマ映画。出演は片岡千恵蔵、市川正二郎、尾上華丈。

 

 

<あらすじ>

 

家事で焼け出された娘・鶴乃は、たった一人の肉親の父を失い、財産がなくなったばかりか、親が作った借金50両を返済せねばならなかった。しかも抵当に入っているのは彼女自身である。鶴乃を助けため組の金八は、乗り掛かった舟と金策に走る。

 

すると江戸っ子たちは自分も苦しい生活をするなか、少しずつ助けてくれる。そうはいっても50両は大金。金八は博打に手を出してめ組の親分に波紋を言い渡される。

 

ほとほと困っていると的屋の女将が無利子無証文で金を貸すという。返済日まで10日。金八はすぐさまその話に乗ってしまった。だが的屋の女将はしょせんはヤクザの女。鶴乃を売り飛ばす算段で、直前になって金は貸せないと言い出した。さらに金八はヤクザに因縁を付けられ捕まり、拷問を受けてしまう。

 

結局金は都合できず、鶴乃は金貸しに連れられてしまう。そこに岡っ引きがやってくる。金八の家から盗まれたへそくりの50両を盗んだ男を捕まえたというのだ。10両は使われていたが、足らない分はおっとり刀で駆け付けため組の仲間が20両を届けてくれた。

 

かごを追いかけひた走る金八。駕籠屋を足止めして金子を叩きつけると、不安げに泣く鶴乃を助け出したのだった。

 

<雑感>

 

これだよ、これ。人情噺っていいよな。火事場で泣く娘。50両の借金。取り立て屋に啖呵を切る片岡千恵蔵。そして江戸っ子たち。これがいいんだよ。

 

古い作品で音声も悪いが、これは素晴らしい映画だった。こういう作品の修復に政府は金を出してほしいものだ。

 

☆5.0。戦前の片岡千恵蔵は本当に男前だ。