「マロンブラ」(1942年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

マリオ・ソルダーティ監督によるイタリアのドラマ映画。出演はイザ・ミランダ、アンドレア・ケッキ、イラセマ・ディリアン。

 

 

<あらすじ>

 

マロンブラ家のマリーナは突然孤児となってしまい、湖畔で暮らす伯爵である叔父に引き取られた。叔父は彼女に、結婚するまで館から出てはいけないと厳しい条件を付けた。湖畔の館はいつも強風が吹いており、家具のひとつに至るまでいわくがある。マリーナ付きの家政婦は初日から音を上げてしまう。

 

ある日、マリーナはチェンバロの奥から大昔の手紙を見つける。筆者はチェチリア。手紙によれば、マリーナはドルメンゴ伯爵の不幸な妻の生まれ変わりなのだという。手紙には母から譲られたというブローチが添えられており、愛と復讐を忘れるなと書いてあった。

 

手紙には、マリーナがチェチリアの生まれ変わりであること、愛を誓った男性もいずれ生まれ変わることが示唆されていた。そして館に、シッラという男性がやってくる。亡くなった母と縁のある主人に壊れて一緒に仕事をすることになったが、館にいるマリーナの狂気に中てられて怖くなって逃げだしてしまった。

 

後悔するマリーナだったが、時間は瞬く間に過ぎていき、彼女に伯爵家から縁談が持ち込まれた。彼のことは愛していなかったが、マリーナは館から出たい一心で結婚を承諾する。一緒に連れられてやってきたエディトという少女と仲良くなったマリーナは、シッラの消息を伝えてくれるように頼みこんだ。

 

シッラは、マリーナが気になった転生を扱った小説の作者で、マリーナはチェチリア名義で手紙を送っていた。だがシッラの気持ちはエディトに傾いていた。館に戻って来いと催促する手紙には、マリーナの叔父が倒れたと書いてあった。

 

そのころ館では、叔父の病状について推理がなされていた。マリーナが発見したチェチリアという名前とブローチが問題となっていた。マリーナの婚約者は彼女の叔父の財産目当てだったので、とにかく早く結婚するようにと館の使用人をせっつく。一方で、館にはシッラとエディトが戻ってくる。

 

マリーナは、チェチリアの手紙を見せて、シッラこそが自分の運命の人だと告白する。シッラもその気になるが、ついにマリーナの叔父が死んでしまう。結婚前で何も相続できないと知った婚約者一族は館を引き払う。シッラはマリーナの愛を受け入れるつもりだったが、マリーナはおかしくなってしまっており、シッラを拒む。

 

そして彼を撃ち殺し、自分も館を出て断崖から身を投げた。それはチェチリアの悲劇と同じ結末だった。

 

<雑感>

 

マリーナがチェチリアの手紙を読んでしまったことで、彼女の運命がまるで自分のもののように思いこんでしまった。そのカギになっているのがシッラが書いた転生を扱った小説。自分が自殺したチェチリアの生まれ変わりだと信じ込んだ。

 

そしてチェチリアの身に何が起こったのかを調べ始め、自分の叔父が関係していることを知る。それから叔父を憎しみはじめ、チェチリアに代わって復讐を遂げる気になる。そんな話だ。

 

マリーナ役の女優の演技が徐々に狂気じみてくるところが見どころだろうか。個人的には、婚約者の伯爵一家が、館の主人が死んだ途端に勝手に金庫を開けて遺書を読もうとするところが衝撃的だった。そういう演出なのだろうが、あまりにもさもしい。

 

☆4.0。好みの作品だった。