「乙女の星」(1945年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

クロード・オータン=ララ監督によるフランスの恋愛映画。出演はオデット・ジョワイユ、ジャック・タチ、ジャン・ドザイー。

 

 

<あらすじ>

 

16歳のシルヴィは、自分の住む城の主”白い猟人”といわれる幽霊の存在を信じ、是非会いたいと思う。そのシルヴィをフレデリックという青年が恋するようになる。彼女の最初の舞踏会の夜、幽霊が現れる。シルヴィは”白い猟人”に夢中になった。

 

彼の名はラミュール。シルヴィに恋をしたが、叶うはずがなかった。

 

シルヴィはついに幽霊と会話をしたと喜ぶ。ところが男のウソが発覚してしまう。その様子を見ていた”白い猟人”は、彼女を励ますために偽物がまとっていたマントと頭巾をかぶってシルヴィの前に姿を現した。

 

泥棒、フレデリック、ラミュール、”白い猟人”が同じ格好で城の中を右往左往する。シルヴィは目の前に現れた本物の”白い猟人”を偽物だとして突っぱねる。失恋したラミュールは、フレデリックに彼女を託して去っていく。シルヴィは、全部偽物だと失意に暮れた。

 

そこに本物の”白い猟人”が現れる。シルヴィはそれをフレデリックだと思い込んで拒絶する。”白い猟人”は執事に連れられ舞踏会の会場へ。頭巾を取るとそこには何もない。会場は大騒ぎとなる。

 

そのころシルヴィとフレデリックは愛を誓い合う。シルヴィは夢見る乙女を止め、星のブローチを手放した。それを手に取った”白い猟人”は、静かに成仏した。

 

<雑感>

 

ロマンチックコメディとでもいうのだろうか、楽しい作品だった。シルヴィが”白い猟人”を好きだと公言して、存在を信じるものだから、それに成りすました人間が多数出て彼女の気を引こうとする。それにかこつけて泥棒もやってくる。

 

本物の”白い猟人”もそこにはいたのだが、彼はシルヴィに愛をささやかれるばかりで誰も彼の存在を認知してくれない。それでシルヴィが無関心になったことで、彼はいなくなってしまう。

 

城の中の階段を含めた複雑な構造が映像にアクセントをつけている。光と影の演出もそこそこいい。ただ、ホラー映画ではないので恐怖映像にはなっていない。

 

☆4.2。戦後すぐに撮影したとは思えない出来だ。