「果てしなき情熱」(1949年作品)感想 | 深層昭和帯

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市川崑監督による日本の歌謡映画。出演は堀雄二、月丘千秋、笠置シヅ子。

 

 

<あらすじ>

 

作曲家の三木太郎は、戦争中に1回だけ会話を交わした小田切優子という女性を戦後になっても忘れられないでいた。そんなる日のこと、暴漢に追いかけられる小田切優子と再会。彼女を助けるために相手の男を殺してしまい、刑務所に送られる。

 

出所してうらぶれた生活を送っていたとき、石狩心という女性に優しくされた。彼女のために生きよう。いったんはそう心に決めるものの。また小田切優子と再会する。しかも彼女は結婚していた。心が揺らぎ、しんとの約束を先延ばしする太郎だった。

 

3回目に見た小田切優子の顔は、死に顔だった。愛しの彼女は死んだ。呆然とする太郎の傍には、しんの姿があった。自分はどうすべきなのか。死を選んだ彼の背後で、ムード歌謡は流れ続ける。

 

<雑感>

 

市川崑監督だというので若干期待したのだが、この脚本では誰が監督をやっても一緒だったな。

 

おそらくだが、この映画のフォーマットは戦前のいわゆるトーキーになったばかりのころのものじゃないだろうか? 1949年公開ということは、ラジオドラマの「君の名は」より古いというのだから、悩める男、美しい女、寄り添う女で構成されたストーリーと、物悲しげな音楽で適当なメロドラマをやるのが、当時のフォーマットだったはずだ。

 

そこのやたら陽気な笠置シヅ子が割って入ってくるわけだが、彼女の底抜けに陽気な歌声がこれほど合ってない作品もないだろう。完全に場違いである。

 

☆2.8。主人公の三木太郎が復員兵という設定も時代を感じさせる。