「おヤエのママさん女中」(1959年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

春原政久監督による日本のドラマ映画。出演は若水ヤエ子、柳沢真一、清川虹子。

 

 

<あらすじ>

 

おヤエは東北の出身で、女中奉公のために都会に出てきた。奉公先では、踊り子の女性と結婚した息子が喧嘩の最中だった。踊り子の女性は財産目当ての女だったが、あまりの言われように家出してしまった。

 

そこへやってきたおヤエは、息子の両親を説得するために、息子の嫁のふりをすることになった。働き者のオヤエは、故郷から息子を訪ねてやってきた両親にいたく気に入られた。面白くないのは元踊り子の嫁である。すっかり女房気取りのおヤエに嫉妬する。

 

夫妻の娘ミドリは、おヤエに懐き、まるで本当の親子のようだ。その姿を見た嫁は反省して、財産目当てではなく、おヤエのような善き女房になると誓った。

 

役割を終えたおヤエは、ひとり寂しく次の奉公先へと向かう。

 

<雑感>

 

田舎から出てきた純朴な女性が奉公先で活躍するものの、自分の立場を慮って去っていく。昔はこういう作品が多かったものだ。といっても、オレが生まれる前の作品だが。

 

地方と都市部が列車で繋がってからというもの、地方は常に人材供給源であった。都市というのはかなり古くから少子化が進んでいたのだが、地表から人材が流入してくるのでそのことに気づかないままだった。その人材の供給減が枯渇し始めたのが昭和の終わりころからである。

 

農村部に女性が少なくなって、農家の嫁のなり手がいなくなった。その問題を放置したために、地方の人口が一気に減少して、それが都市部を直撃したのだ。都市部自体の少子化は、昭和50年代の初めには始まっていた。田舎から出てきた女性が都市で結婚してい子供を産んでいただけなのだ。

 

☆3.0。中編程度の長さの簡単なコメディだが、東北の女性だったからこうした牧歌的な作品になった。これがいまでは移民に置き換わり、コメディでは表現できない陰惨なことになっている。