「シンデレラ 砂漠の女王と命の石」(2021年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

アリス・ブレハルト監督によるアメリカのアニメ映画。

 

 

<あらすじ>

 

エラは悪い魔女にネズミにされてしまった王子アレックス達と静かに暮らしていた。ある日、みならい魔法使いのクリスタルがアレックスの呪いを解く方法をみつけ、魔法の薬を作りアレックスに飲ませてみるが、失敗に終わり体調まで悪くなってしまう。

 

ほかに救う方法がないか探すため王子を残して冒険に出たエラ達。森の守り人が持っているという“命の石”があれば王子を救うことができると知る。

 

だが、森の守り人のもとを訪ねた時にはすでに石は砂漠の女王に盗まれたあとだった。石を取り返すために戦うエラ達。だがクリスタルが捕らわれてしまう。クリスタルを巡り、壮絶なバトルが繰り広げられ、エラはようやく石を取り戻した。

 

エラは、仲間の魔法使いエラを元の姿に戻すためにクリスタルを使ってしまう。アレックスはネズミのままの姿であることに戸惑うクリスタル。だが彼女は、命の石の力を吸収しており、もう魔法使い見習いではなくなっていた。

 

そこでみんなで力を合わせて魔法の材料を集め、アレックスは王子の姿に戻った。

 

<雑感>

 

ポリコレ・シンデレラじゃん。こういう強い女性が活躍する作品で全然かまわないとは思うが、「シンデレラ」を改変する必要があるのかという問題だ。

 

「シンデレラ」を改変する必要を感じているのは、フェミニストなどの政治目的を持った人間たちである。彼女らの政治的暴力性に屈したバカな企業家たちが、こういう作品を作るための金を出す。まさに現代の縮図のような作品であった。

 

映像作品も含めた広義の文芸は、様々な価値観を反映すればいいが、どのような創作物であれ、時代という枠組み、広義のイデオロギーからは逃れられない。創作された作品は、時代という額縁の中に収められている。新しい時代の創作物は、その時代にあった額縁がある。そしてそれもいずれは古びていく。

 

古い作品を、新しい額縁に合わせて、まるっきり違う話にするより、新しい作家によるリブートや、まったく新しい創作をさせて、古いものは古いまま残しておく方が良いのだ。

 

☆2.0。この作品は政治的意図が強すぎて、リブート作としても失敗している。