「終の信託」(2012年作品)感想 | 深層昭和帯

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周防正行監督による日本のドラマ映画。出演は草刈民代、役所広司、大沢たかお。

 

 

<あらすじ>

 

呼吸器内科に勤務する女医の折井綾乃は、検察庁の待合室にいた。院内で不倫していた彼女は、相手男性がさらに別の女性と浮気しているのを知って自殺を図った。そのとき傍にいてくれたのが患者の江木だった。江木に救われた彼女は、彼から安楽死を頼まれ、承諾してしまう。

 

検察に呼ばれたのは、安楽死を手伝ったことが、医療なのか殺人なのか判断するためだった。そして彼女は、殺人者として起訴され、有罪判決を受ける。

 

<雑感>

 

我が家は夫婦ともども安楽死肯定派。日本人の「死」に対するヒステリー反応にはほとほとウンザリしている。この映画の中の裁判も、患者が終末医療を望まない旨の日記が残されていたのに、チューブを抜いたときに苦しんで、鎮痛剤を打ったことをもって「患者は生きようとしていた」と裁判官が勝手に判断しているのだ。

 

法学部はバカしかいない。バカの法学部出身者に物事の判断を任せることが間違っている。いまはこういう気持ちになっている。判事、弁護士、検事。誰も信用していない状態だ。

 

戦前の死に対する鈍感も、戦後の死に対する鋭敏も、哲学不在の心象がもたらしたもので、死を客観的に語って、自分がこの世から消えていく瞬間をどう法として定めるか議論する雰囲気づくりすらできない。「死」は、戦後民主主義者にとって、「差別」同様飯の種であり、利権なのだ。

 

☆4.0。映画はとても素晴らしい。だが、法律関係者の愚昧な姿を眺めているだけでウンザリしてくる。